--Katabatic Wind-- ずっと南の、白い大地をわたる風

応援していた第47次南極地域観測隊は、すべての活動を終了しました。
本当にお疲れさまでした。

ミッドウィンター祭 前夜祭

2006-06-26 | 南極だより・生活
昨日一気に届いたミッドウィンター祭の「南極だより」
あまりにたくさんいろいろなことが書いてあって、私が何かを書こうなど、無粋ではないか、そう思い始めました。
ということで、私の分は極力少なめにお届けします。
(そうしないと、いつまでもアップできなくなってしまいそう)
では、前夜祭からです。
---------------------------------------------------------------
2006年6月19日(月)晴 ミッドウィンター祭 前夜祭

今日からはミッドウィンターフェスティバル週間だ。
ミッドウィンターフェスティバルは単なるお祭りではない。
祭りを通して隊員同士の親睦を深めることはもちろんのこと、精神的にもふさぎ気味になりがちな極夜期の生活に刺激と潤いを与え、これからの半年を乗り切って行く糧にしようという目的もあるのだ。
どこの基地でも同様なお祭りが行われていることを鑑みると、自然発生的に必然性を持って行われてきたのだろう。
太陽が昇らないということは人間が生活する上で厳しい環境なのだろうと思う。

さてミッドウィンターフェスティバルの幕明けは、1800からのオープニングセレモニーだ。
まだ準備が終わっていないので午後から会場のセッティングを行う。

前夜祭の会場のテーマには「闇の中の未来を照らす光」を念頭におき、光を道具に使い幻想的ながらインパクトのある雰囲気を演出するようにした。
19広場の昭和基地の看板の下には、47次隊オリジナルロゴをあしらった背景用の看板。
これは紙をプリントアウトし、適切な大きさに切ったものを接着剤で貼っていく。
4枚の板に貼るところまでは昨晩のうちに行っておいたので、それをつなげて番線で柱に取り付ける作業が残っている。
これは井熊さん@建築にほとんどやっていただいた。
さすがプロで仕事が速い。

看板の左側には雪像。
これは隊長を模したものだ。
ありきたりのペンギンでないところも47次隊らしくていいなと思う。
雪を削って形を作るのは森さん@FAが音頭を取ってくれた。
なお型を取った板が先の背景用看板の板になっており、ごみをできるだけ出さないように心がける。

右側は聖火台だ。
永木さん@環境保全や千田さん@地学が仕切ってくれた。
トップにはボールにJET-A1を入れ、使い古しのシーツを切って浸す。
聖火は壊れたスキーストックの先に古シーツを巻いて針金で縛り灯油を浸す予定だ。

19広場の裏側にはトリマーで開けた透かし文字の裏にビニールを張り、そこにスプレーペンキを薄く延ばして色をつける。
看板を自立させる台の工作はやはり井熊さん@建築。
色付けのデザインは山本さん@宙空、石井さん@多目的アンテナにお願いした。

会場の周りには大小50個ほどのアイスキャンドルが並ぶ。
矢吹さん@気水、岩崎さん@地学、朽網さん@医療が数日前から準備していてくれたものだ。

電飾&音響関係は上原さん@機械にお願いした。
背景用看板を照らすライトが2つ。
雪像を照らすライトが2つ。
聖火台は赤・緑のライトだ。
会場後ろの電照看板には4つのライトを使用した。
さらに天井にはV字型に全体を照らす照明を配置する。
音響装置はアンプとステレオスピーカーを持ち込んだ。

プログラムは下記のとおり。
1730 準備段階では広場の照明およびアイスキャンドルを全部つけておき、
    だらだらした雰囲気を演出。
1800 定刻とともに予告なしに照明を消す。電照看板は点灯したまま。
ミュージック(AEROSMITH I don’t want to miss a thing)スタート。
1803 司会:山口さん@庶務、ポディウムに登場。
ミュージックの終わりと同時にスポットライトをMWFの看板にあてて開会を印象付ける。
1806 MFW開催にあたっての挨拶:神山隊長
1810 聖火入場&点火 原ドク&留美ドク
ミュージック(グリーク ペールギュント組曲第1番 朝)スタート。
1815 アイスグラスで乾杯 音頭:安藤(嘉)さん@電離層
1820 記念放球 放球:尾崎さん@宙空
1830 開会宣言:安藤(浩)さん@MWF実行委員長
宣言終了とともに全照明off
花火連発
花火の終わりと同時に全照明on
ミュージック(宇多田ヒカル Movin'on without you)スタート。
記念写真
プロデューサー?である僕は控え室である廃棄物保管庫にずっといて照明と音楽の操作を行っていた。

途中、放球用に用意していた風船が飛んでいってしまったのであるが、代わりの風船を用意するのに花火係が行ってしまい、花火のタイミングが遅れてしまったという失敗も。
本番中は無線で連絡するように打ち合わせてあったのだが、これも上手くいかなかったのは失敗だった。
練習もしなかったし総合点は70点というあたりだろうか。

次は参加する方で前夜祭を体験してみたいと思う。

オープニングセレモニーの後は麺恋いうどんと機械隊のおにぎり屋台。
麺恋いうどんは47次隊内の有志「麺恋い倶楽部」による手打ちうどん、機械隊のおにぎり屋台は機械隊員による手作りおにぎりだ。
この日の夕食は手早く済ます。
祭りを盛り上げる2000からの芸能大会があるためだ。
皆、準備に忙しい。

芸能大会は
1)居住棟対抗仮装カラオケ 1組目
2)バンド演奏
3)居住棟対抗仮装カラオケ 2組目
4)髪型コンテスト
と続き
5)自主カラオケ大会
へと続く。
各居住棟から審査員1名が出て、5点満点で採点した。

僕のいる2居1階では、
井熊さんヴォーカル、斉藤さん、山口さん、中島さんギター、室田さんキーボード、高松さんドラムによる「タイムマシーンにおねがい」。

渡井ヴォーカル、斉藤さん、山口さんギター、高松さんドラムによる「青い珊瑚礁」。

三浦さん主演、山口さん、井熊さん助演で髪型コンテストに出場した。

「青い珊瑚礁」は準備が大変だった。
曲の1番はそらで歌えるので油断していたのが失敗。
いざカラオケを探そうと思ったらカラオケがないのである。
それなら曲をと思って探すと松田聖子の曲はDVDなどなく、残念なことにCDやLDもなかった。
曲は幸いiTuneに入れてきた人を見つけたのでなんとかなる。
しかしこれでは振り付けができない。
そこでサロンにあるVTRコーナーからそれらしいテープを引っ張り出してきて観測棟でテレビに映してこっそり探す。
振り付けがないのなら他の曲にしようと思っていた。
が、目出度く見つけた。
「ザ・ベストテン」で「青い珊瑚礁」が1位になった時の映像を。
久米宏が司会の頃の映像である。
あまり振り付けが多くなくシンプルなのは幸いだった。
練習は2日、延べ2時間程度だろうか。
当日も準備が大変だった。
前日の衣装探しで衣装は適当なものがすぐに見つかったが、当然サイズは合わない。
チャックが壊れていたので修理をしたりもする。
眉毛を少し剃って、使い捨てコンタクトを1組貰って化粧?もしてもらって鬘もかぶってようやく終了。

それぞれの出し物は腹を抱えて笑うほど面白かったのだが、南極観測隊の品位にかかわるので(?)画像をお見せできないのが残念である。
この後はエンドレスのカラオケ大会へと流れていった。

さて、本日の結果
仮装大会
1居1階 3位
1居2階 4位
2居1階 1位
2居2階 2位

髪型コンテスト
1居1階 2位
1居2階 1位
2居1階 2位
2居2階 1位

ここまでの総合得点
1居1階 150点
1居2階 160点
2居1階 180点
2居2階 180点


-----本日の作業など-----
・CO2, CH4, CO, O3濃度分析システムチェック
・電照看板穴あけ
・オープニングセレモニー会場設営
・オープニングセレモニー
・麺恋いうどん&機械隊おにぎり屋台
・芸能大会

<日の出日の入>
日の出  なし
日の入  なし
<気象情報6月19日>
平均気温-18.6℃
最高気温-15.7℃(0012) 最低気温℃-21.0(2359)
平均風速3.3m/s
最大平均風速6.6m/s風向NE(1610) 最大瞬間風速9.1m/s風向NE(1604)
日照時間 0.0時間

--------------------------------------------------------------
ミッドウィンターを祝う習慣は、いつ頃からできたのだろうという疑問がありました。
文化も違えば、お隣といっても遠く何百キロも離れたところにしか基地がなかったりするからです。
でも、第一次観測隊でも今ほどではないようだけれどミッドウィンター祭は行われていたようで、砂田隊員のおいしい料理をいただいたことなどが書籍にも書かれています。
さらに調べてみると、1912年に南極点に到達したスコット氏の日記にもミッドウィンター祭のことが詳しく記されているようです。
そんなに昔からあったのか・・。
それぞれの国にはそれぞれの文化や宗教や伝統といったものがありますが、どうやらミッドウィンターを祝うのは南半球というよりも、南極だけに限られているようなのです。
でも、南極は国ではありません。
どの国の人でも、南極にきたらミッドウィンター祭を楽しむということみたいなのです。
南極には国を超えて楽しむお祭りがある、それってまさに「国境のない大陸」ですよね。
だから、グリーティングカードにも国旗がないのかもしれないなぁと思ったのでした。

さて、前夜祭の話題に戻りますが、前夜祭の写真がやけに少なくて、どうしたんだろうと思っていたら、証明と音楽の操作をしていたとのこと。
どおりで、前夜祭風景の写真がみんなの輪から離れているわけですね。
お疲れ様でした。
一方、芸能大会の写真はあるものの「南極観測隊の品位にかかわるので(?)」ということで、お見せできないそうです。
渡井さんの松田聖子姿は、アップでなければ掲載可ですとの返事をかろうじてもらったけれど、やっぱり何となく二の足を踏んでいるところです。
渡井さんの名誉のためというよりか「観測隊の品位にかかわる」ので???

やっぱり疑問、あの放球風船は何のためだったのかなぁ?

最新の画像もっと見る