今日も気分はニニ・ロッソ

私J.Yasudaがニニ・ロッソの思い出など、思いつくままに語ります。
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ニニ・ロッソ(7) 晩年のニニ

2007年03月19日 00時20分09秒 | ニニへの回想
突然音が出なくなる。

トランペット吹きにとって、これ以上恐ろしいことは無いと思います。
が、現実には、時々目の当たりにします。

この間まで、ものすごい演奏をしていた○○バンドのリードトランペットが突然、音が細く、薄い音に変わってしまい、自慢のハイノートも影をひそめ、客ががっかりした。とか、有名なトランペット奏者がいつの間にかトランペットをほとんど吹かなくなり、たまにステージで見かけるとバルブトロンボーンを吹いていた。とか、僕の周りですら数えるときりがありません。

そしてその原因は、多くの場合「歯」です。
歯槽膿漏で歯を一遍に失うようなことが奏者の身に起こると本当に一大事です。
そして、元の音を取り戻せる可能性は低いといわざるをえません。

ちなみに最近トランペット奏者は健康なうちに歯の型を取っておくことが重要だといわれているとか・・・

また、ニニ・ロッソがエッセイの中でこんなことを言っています。
「トランペット奏者に絶対必要なものは何か分るかい?腕のいい歯医者の友達さ。」

ニニの情報をいろいろ書いていますが、僕はあまり触れたくないこともあります。
この話題に触れるのはたぶん今回が最後だと思いますが・・それは晩年のニニの演奏です。

ニニが歯を患ったのかどうかはわかりません。
また、ニニの年齢を考えれば当然かもしれません。

1989年ごろのコンサートに行ったときに、突然ニニの音が今までと変わってしまったのを覚えています。5線紙の第4間のミの音から上の音がにごり、苦しそうでした。
トランペットを演奏している時間は、全盛期よりはるかに短く、「枯れた味わい」はあるものの、歌やメンバーのアドリブソロでどうにかしのいでいる感じでした。
結局1993年の最後の来日のコンサートまで、ついに回復することはありませんでした。

このころのニニしか知らない人は、明らかにニニのことを誤解しています。
でも、このころのニニしか知らない人が多いのも事実でしょう。
ニニが逝って13年も経ってしまったのですから。

ニニの見事なハイノートや、スリルあふれるアドリブプレイ、凄まじいばかりの涙が溢れ出るようなバラード、そんなニニを知っている人は、確実に減っています。
ニニのそんな演奏はどんどん忘れられているように思うのです。

僕がこのブログを立ち上げた理由のひとつがそこにあります。
ニニは今知られているより、ずっとずっと多くのものを僕たちに残してくれたのだということを少しでも伝えたいのです。

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