みちのくレースのおたのしみ

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競馬組合再建案発表/その解説

2004年11月25日 | 岩手競馬
  先週の土曜日になりますが、11月20日に岩手県庁において「岩手県競馬組合改革 実行計画」というものが発表されました。競馬組合副管理者・柴田氏はじめ組合関係者だけでなく、増田知事らも臨席しての発表となり、会場を通常の記者クラブでなく広い会議室に移したり、11時半から14時近くまでかけたり、発表する側も受けるマスコミ側も、相当に力が入ったようです。

 この計画は競馬組合再建にむけた「アクションプラン」という位置づけで、今後の経営計画や営業戦略を記載したものになっています。計画の資料は競馬組合のホームページのこちらにpdfでアップされています(注・「新着情報」というコーナーにあってすぐ場所が変わりそうなので、あえてファイルに直リンクしました。できればトップページから辿ってください)にありますので、お時間があればこちらを見てみて下さい。このファイル自体の裏(?)についてはあとで補足します。



 計画の要点は「平成19年度に経常損益の黒字化、平成28年度末までに累損解消」を目標として、増収策の展開、改正競馬法の活用、コスト削減・組合組織のリストラ、企業会計の導入の5点を挙げています。

 まず増収策ですが、ここでは『セグメント別営業戦術』をとってファン層別の商品展開、イベント展開を図る事を中心としています。目につくのは来年度は「126日開催で実施」としている事、「平成18年度以降3年ごとにJBC競走を実施する」と明記されていることですね。
 前者については、昨年度の開催時に“採算性の悪い開催日を取りやめる”という名目で126日の予定を6日削減し、今年度は当初から120日で日程が組まれた経緯がありました。これは結果的に「経費最小=競馬開催なし」の発想につながるものでしたから、とりあえず方針転換したものとして歓迎したい部分です。

 (競馬の「商品」はレースなわけで、レースが開催日として組まれた時点で「商品」がお客様の前に「陳列」されるといえます。ただし、その「商品」の資材たる馬や人は常に在庫状態にあり、店舗も流通経路も稼働状態にありますから、「商品」を売りに出さなければ単なる不良在庫でしかなくなってしまうわけですね)
 
 資料にはありませんが、会見の場では「売り上げで優位な水沢のウエイトを増す」意の説明があったそうで、現行の「盛岡10回・水沢11回」よりは水沢分が多くされることになりそうです。“水沢の方が客単価が高い、水沢は周辺の支援も強い”ことからの判断のようですが、イベントなどを併催した時の集客力は圧倒的に盛岡優位ですからね。ちょっと微妙かと思います。

 個人的に驚いたのはJBC開催を明記した事ですね。2度とやらないと言うかと思ってました。4つある交流重賞も現状維持でいくそうです。それをやる事による運営の厳しさよりは、イベント性の高さ、基幹競馬場としての機能の維持を取ったのでしょう。

 改正競馬法の活用に関しては発売施設(テレトラック)の民間委託とインターネット投票導入、M&Kでのブロック化推進が挙がりました。
 施設の民間委託がうまくいかなかった場合は不採算施設の統廃合に進むと記されています。決して赤字ではないにせよ収支が厳しい所は多いですから、合理化をしつつ、できれば整理もしたいという意図だと思います。
 関連して、これも資料にはないですが、小規模場外の導入、少し具体的にはパチンコ店への併設の話が、会見では出たそうです。
 インターネット投票は、やはりライブドアなり、現行D-NETの進出なりを念頭に置いている模様。
 ブロック化はまずトータリゼータシステムの統合という形で現れると思われます。

 コスト削減の部分は、まず競馬組合・振興公社職員の削減(現120名→80人。40人減)と各種委託費の削減が柱です。
 職員削減はただ数を減らすだけでなく、競馬組合は副管理者以下10名程度の運営部門だけ残し、開催関係の人員はすべて振興公社に移すという大改革になります。以前このBLOGでも書いたような「組合は責任担当部分のみに特化」という組織改革になるわけですね。
 ただし、リストラというものが「はいそうですか」で済むものではない以上、まだ紆余曲折がある部分でしょう。
 委託費の削減は、来年度分の削減目標17億円のうちのほとんどがこれを見込んだもので、東北映像・R-NAC・プラスミック・振興公社など各所に対しての委託費がほぼ30%減になるといわれています。
 以前の経費カットの際に水沢競馬場の大型ビジョンがなくなったのは記憶に新しいところですが、こうした経費削減が結局ファンサービスの低下につながらないか心配です。
 とはいえ、委託費の高さ、というか関連会社との関係が、周辺からは経営難の要因と見られているだけに現行通りでは周りが許してくれそうもなく、政治的には微妙な、難しい部分ではあります。

 企業会計の導入云々については実行策は特に記載されず、「官から民への意識改革」や組織改革を含めた全体の中で位置づけられているようです。

 もう一つ、構成団体の支援を仰ぐということで、県に10~50億円の融資今後10年間、頼む事が書かれています。これを受け、早速この12月議会で補正予算案として提案される予定で、今議会の議論の中心になりそうです。
 これは「借りたままで溜まっていく」ではなく毎年借りては返しという形になり、要は運転資金です。毎回の開催資金(払い戻し用の資金準備など)について、銀行から短期融資を受けていたものを県に頼もう、という事と、この先数年は組織改革に伴う経費用も見込んでいると考えられています。



 長くなりますので各マスコミの反応や評価の部分は別にしますが、最後に賞金について一言。
 来年のレース体系等について、資料内では明記はされていませんが、会見での質疑で出てきた話として、やはり賞金削減がある、という事と、その替わり、特に2歳馬に重点を置いて出走手当の増額があるそうです。
 賞金削減はざっと10%程度になりそう。出走手当増額は、若駒確保を主眼として行われるそうですが、具体的にどれくらいという示唆はなかった模様です。

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