みちのくレースのおたのしみ

岩手競馬にまつわるあれこれ。とか。

高崎競馬・ライブドア どうなる? (前編)

2004年10月28日 | 岩手競馬
 先日のライブドアが高崎競馬に参入意向発表。おもしろいですね。
 これを現実性がある話と見るか、それともIT企業らしい(?)アドバルーンと見るか、至近に迫った高崎競馬廃止の期限とも絡み合って、ネット上でも評価が分かれていますね。

 こうして「競馬運営に民間企業が参入」を考えられるようになったのは、来年1月1日から施行される改正競馬法にある『都道府県又は指定市町村(注・地方競馬の主催者もしくは構成団体)は、政令の定めるところにより、競馬の実施に関する事務を他の都道府県又は指定市町村に加え、日本中央競馬会及び私人に対しても委託できるものとする』(第二十一条関連)によるものです。

 競馬に関する事務というのは日程や番組の編成、レースの運営(裁決や審判など)、馬券の発売、払戻金の決定だとか多岐にわたるのですが、競馬が刑法の特例として認められている、という前提があるので、改正競馬法の中では委託の対象者がいわゆる「胴元」にまでなる事は想定していない様です。また競馬の公正に関わる部分も主催者が行う事になり、改正競馬法の「委託」が考える範囲は馬券発売事務や警備など、つまるところ馬券売り場そのものの『お店』の部分が中心の様ですね(そういう部分しか委託しないから、競馬の公正を害したり刑法の特例には触れないのだ、という事を、競馬法改正の議論の中で国側が頻繁に言っています)。
 ついでに「日本中央競馬会に委託できる」という部分が何を指すかを説明しておきましょう。現在、地方競馬各場でJRAG1をはじめとするJRAのレースの馬券を発売しているのですが、現状では互いに委託できないため、例えば盛岡競馬場のJRA発売所は“JRAの人員がJRAのレースを担当している・JRAが雇用している”という形になっています。逆に東京競馬場や福島競馬場の岩手コーナーでは岩手競馬の人員でもって発売をしています。
 改正競馬法はこれを、今の地方競馬場相互間の場外発売のように、主催者同士が互いに発売を委託しあう・されあう形にしようというものです。その分、手数料を支払って経費に充てる事になり、JRAから地方競馬側へのそれは発売額の3%程度になるだろうといわれています。

 委託云々の部分の変更は、やはりこのJRA-地方間の委託関係の簡略化がキモでしょう。
 それは、地方競馬でJRAの馬券を売る際、またその逆の際、人員を確保しなくてはならないという制限がけっこう大きかったのです。これがなくなれば、岩手競馬であれば全テレトラックでG1発売とか、極端な話、盛岡競馬場の全窓口でJRA馬券を併売する、なんて事も可能でしょう(現実にはマークカードと発券機の対応が必要ですが)。PATで地方競馬の馬券を、という話もより現実的になってきます。

 では私人云々は民間に発売所を委託できる程度の話で、おまけなのか?いえ、そんな事はありません。
 改正競馬法の議論の中ではその程度で留まりそうな、留まるだろうという話だったのですが、考えてみれば「○○は委託していいが○○はダメ」というような細かい縛りはないわけですし、主催者としての権威なり、監督能力なりがあればいいわけです。主催者側は県知事あたりを形の上でのトップに置いて、現場もごく少数のスタッフでやって管理責任や権威づけの部分を負えばいい。実際の運営やそのためのプラン作りはすべて委託された民間でやってしまっても、いいのです。

 これは決して拡大解釈ではないはずです。改正競馬法の中のもう一つの重要な改正点・『競馬連携計画』は、上に書いた事をやらないと何の意味ももたないからです。

#長くなるので続きは後編へ・・・