社会を見て、聞いて、感じる。

人生そのものがフィールドワーク。

2月7日(火)

2017年02月08日 08時10分47秒 | 2017年

  7時半起床。大浴場でシャワーを浴び、ゆっくりと身支度を整える。授業開始は9時40分で、寮の部屋を9時30分に出ても余裕で間に合う。

  今日は、グループ演習を挟みつつの講義。事業承継という、ニーズが顕在化しにくく、むしろ企業から敬遠されがちなテーマの支援をするために必要なことは、アプローチ方法の工夫である。「御社の事業承継について話をしましょう!」と直球を投げて玉砕する(実際にこの形でアプローチをして、社長から「俺に引退しろと言ってんのか!」と出入禁止にされた人もいるらしい)のではなく、例えば「御社の今後10年の展望についてはどのようにお考えですか」という形で話を持ち出し、会社全体としての将来の構想を眺める中で徐々に対話を進めていくことが望ましい。そのための武器として、私たちが日頃から扱っている様々な支援テーマが活用できる。では実際にどのようなアプローチ方法が考えられるか、そして、私たち支援機関は支援に際してどのような連携が取れるのか、ということについてグループ討議を行った。私たちの班では、青年部を通じた後継者側からのアプローチと、今流行り(?)のBCPへの取り組みを通じたアプローチが有効なのではないかと考えた。

  昼食は、大学校の近くの住宅街の中にあるイタリアンレストラン「フェリーチェ」へ。前回の研修の際にはタイミングが合わなくて来られず、それが残念でならなかったお店だ。注文は、ほうれん草入りのカルボナーラ。ランチでは、サラダとガーリックトーストがつく。サラダはビネガードレッシングのかかったきちんとしたものだし、ガーリックトーストもサクサクで美味しい。そして、肝心のパスタ。ここのパスタは本当に熱々で出て来るので、ラーメンのようにフーフーしながら食べる。ほうれん草もベーコンもたくさん入っているし、ソースももちろんだが、何よりアルデンテ風の麺が美味しい。これだけ麺が主張するパスタも珍しいのではないだろうか。そうだった、ここはこんなに美味しいんだった、大盛りにすれば良かった…食後の紅茶を頂きながら、内心かなり後悔した。

  午後は、事例研究が中心だった。その内容を通じて私が最も感じたのは、情報収集の難しさである。事業承継というテーマを掲げることなくそれに関する必要な情報を聞き出すことは、かなり難しい。後継者は誰なのか、承継するにあたって重要な知的資産(決算書などには表れない技術やノウハウ、社会関係資本、こだわりなど)や、現在の役割分担(誰が何を担っている?)といった内容を把握しなければならない。一方で、私はそもそもの前提としてある、「事業承継」をテーマに掲げてアプローチすることが難しい、ということに疑問を抱いてもいる。一見さんのお客さんならともかく、私たちのように会員制を取っており、既に一定の関係性が出来ているお客さんとの間では、案外正面から行っても大丈夫なのではないだろうかと思うのだ。実際、ごく自然にそういう話をお聞きする機会も多い。ただ、こればかりは実際に深入りしようとするとどうなるかはわからないので、やってみるしかないだろう。そして、実際にやってみるためのツールをこの研修で学ぶことが出来そうに思う。

  授業終了後、東大和市の街を散策。夕食をどこで食べようかと30分以上うろちょろしたのだが、結局昨日のおばちゃんの笑顔が忘れられず、2日連続で中華料理屋「ひさご」を訪れる。昨日、メニューにあった「北京ライス」が何なのかという話をしたことをおばちゃんが覚えていてくれて、「あら、さっそく食べに来てくれたの?ありがとうね」と喜んでくれた。

  注文は、その北京ライス。おばちゃん曰く、「玉ねぎが好きなら絶対に好きなはず」というそのメニューは、その通り玉ねぎを主役にした肉野菜炒め丼だった。そして、これが聞いていた以上に美味しかった。しゃきしゃき感を残しつつも柔らかい玉ねぎ、にら、人参、豚肉、卵の炒め物。素材の相性はもちろん、味付けが絶妙なのだ。一見すると自分でも作れそうな感じだが、実際にはこの味のバランスを出すのは難しいだろう。ちなみに、メニューの中で北京ライスと同じくらい異彩を放っていたのが、オムライス。ん?中華料理屋さんだよね?という疑問と、この並びで入っているからにはこれもまた美味しいんだろうなという期待感。この研修中に何とかしてもう1回来なければ。

  寮へ戻り、大浴場で汗を流して洗濯を済ませてから、部屋でゆっくりと読書。今さらながら、論文の書き方について勉強している。昨年末から職場の若手中堅層で受講している内部研修(職場活性化研修という名の業務改善提案研修)で、3月に最終的なレポート提出が課されることになり、どうせだから本物を作って出してやろうというわけである。この手の本は確か大学入学時にも読んだと記憶しているが、内容は全くと言っていいほど覚えていない。だから、今改めて読んでみても、とても新鮮だ。こればかりは、自分の記憶力を嘆くというよりも、むしろ感謝したいところである。


2月6日(月)

2017年02月07日 08時00分45秒 | 2017年

  昨晩から、東京都東大和市にある中小企業大学校(東京校)へやってきた。毎年恒例の1週間泊まり込み研修である。寮での暮らしも慣れたもので、もはやそれほど新鮮味もない。ただ以前と違うのは、日頃は妻と一緒に生活しているので、1人の時間が格段に増えるという点である。妻は(少なくとも表面上は)寂しがっていたが、私はアフター5をゆっくり過ごせることに若干の喜びを禁じ得ない。

寮の部屋からの景色。

  今回のテーマは、「事業承継」。正直なところ、それほど興味のあるテーマではない。というのも、ここ数年この手の研修が続いており、もう興味のあるテーマは受講済みなのだ。だから、今年も「希望する研修を書いて提出するように」と上から指示された際には、半ば消去法的にまだ受講していないテーマを選ばざるを得なかった。

  ところが、である。初日の講義を聴いて、これは案外面白いぞと思った。これまで一般的に考えられてきた事業承継支援の考え方とは、かなり異なる内容なのだ。先生曰く、事業承継はそれをテーマとした特別な支援手法があるわけではなく、日頃行っている通常のお客さんとの対話や支援の中から応用できるものなのだそうだ。新事業開発などの経営革新や販路開拓、業務の効率化(生産性向上)や事業再生といった、よくある支援と同じフィールドで行うことができる、いやむしろ、同じフィールドで行わなければいけない、というのである。法律関係や相続税、株式の移転といった「事業承継といえばこれ」といったテーマはもちろん重要であるが、それは専門家に任せればいい話で、その前提やそれ以外の部分の支援が重要なのであり、そのような部分の支援には、日頃のやりとりの中から得られる情報が重要となってくる。実際、必要となる情報やその整理の仕方を見てみると、なるほど確かに、普段から聞いたりまとめたりしている内容が多い。事業承継という特殊なテーマだからといって、何か特殊な材料が必要なわけではない。材料の取り扱い方を少し変えるだけなのだ。そしてすなわち、この取り扱い方を幅広く学ぶことで、事業承継に限らず、様々なテーマの支援に活かすことが出来るようになる。

  昼食は、東大和駅の近くにあるタイ料理屋「カオチャイ」で、日替わりの「ラープ・ムー」(豚挽肉のスパイシーハーブ和え)を頂く。大学校研修に来たら、必ず1度は来るお店だ。理由は簡単、何を食べても美味しいからである。今回も、期待通り幸せなランチタイムを過ごさせて頂いた。

ミニ生春巻き。スパイシーなソースとの相性が抜群。

メインは、安定感のある美味しさ。私が一番好きなガパオに近い味だ。

デザートのココナッツアイス。毎回食べている。冬でも、これは食べずにいられない。

  事業承継支援の最大の特徴は、ニーズがないこと。正確に言えば、ニーズが顕在化していないことである。事業承継は長く続く企業にとっては避けて通ることが出来ない取り組みであるが、その難しさや問題点を認識している経営者は少なく、セミナーをやっても人は集まらないし、相談窓口を設けて待っていても相談などほとんど来ない。むしろ、セミナーに参加したり、相談窓口へ相談に来る企業はもはや私たちの支援を必要としておらず、会計や法律に関する専門家へ取り次ぐだけで済む場合が多い。私たちの支援を本当に必要としているのは、セミナーにも興味がなく、相談に行くことなんかこれっぽっちも考えたことのない大多数の企業のほうなのである。そういった企業へアプローチし、必要な情報を聞き出し、課題を認識してもらうことが、私たちの役割なのだ。しかし、そのような企業に対しては、最初から「事業承継」をテーマにアプローチしていっても、真剣に話を聞いてもらうことは難しい。そこを何とかするためにどうするか、というのが今回の研修の大きなテーマのひとつになるだろう。

  夕食は、東大和市駅前を通り過ぎてしばらく歩いたところにある(寮からだと片道徒歩15分といったところだろうか)中華料理屋「ひさご」で、半ラーメンチャーハンを食べる。昔ながらの中華料理屋さんで、ちゃきちゃきとした明るさとのほほんとした優しさのおばちゃんがいる。ラーメンは、昔ながらの醤油ベース。懐かしい味である。チャーハンはこれぞ究極の定番といった感じで、味付けは薄め。しかし、刻んだチャーシューがたくさん入っているので、その塩味が効いてちょうどいい塩梅になっている。これは、プロのなせる業だ。久しぶりに心底美味しいと思えるチャーハンを食べたように思う。また、おばちゃんが本当に温かい方で、少しお話しただけですっかりファンになってしまった。これは、今週中にもう1回は行かないと。

  今度は寮を通り越して反対側へ行ったところにあるヤオコーのショッピングモールへ行き、その一角にあるケーキ屋「モン・プレジール」に寄って食後のデザートを買ってから帰る。

  寮へ戻って夕食を済ませてから、デザート。買ったのは、カシスとマロンのケーキ、甘平タルトの2種類。前者はカシスの甘酸っぱさ満載のクリームと、中に栗が入っている面白い組み合わせのケーキで、それが意外にもよく合う。後者は糖度の高い甘平を使っているためか、柑橘系のタルトの中では甘さが強く、されどさっぱりしているので美味しい。また、良いケーキ屋さんを見つけてしまった。

  夜、寮の施設で洗濯をしたのだが、4台中2台の乾燥機が壊れていた。動かすと、すぐに途中で扉が開いてしまい、エラーになってしまうのだ。おかげで、乾燥だけで3時間近くの時間を費やしてしまった。まあ、それでも十分に時間はあるから良いのだが。