8時起床。朝食は妻が作っておいてくれた目玉焼きと納豆ごはん。
ベビーサークル内の魅力向上策だろうか、妻が新しいおもちゃを出してきた。以前に私の母からプレゼントしてもらった積み木だ。四角いものはまだ少し怖いので、丸いものだけを出す。滑り出しは好調で、きちんと興味を持ってくれた。高く積んでいって崩す、という流れが好きなようで、私が積んでいる段階から「エヘヘ」と笑い、積み終わると手を伸ばしてきて崩し、また笑う。
昼前から妻が美容室へ出掛けたので、日中は娘と2人でひたすらゴロゴロして過ごす。食事やおむつチェンジ以外、大半の時間をベビーサークルの外にいて、色々なところを噛んでいた。最初こそ「そこは固いからダメ」とか「そこは汚いよー」と止めていたのだが、よく考えてみれば噛んでみることで物と対峙しているんだもんなと思い直し、危険のない範囲で自由にさせるようにした。ただ、少し目を離した隙にどこからか見つけてきた妻の葉書をかじっており、その端っこを食べてしまった。少しだから大丈夫だったが、注意しないと。
ベビーサークルの下に敷いているマットの端を噛んでいる。
ベビーチェアのベルトを噛んでいる。
引き出しの取っ手を噛んでいる。
妻が帰ってきてから交代で昼食をとりに出掛けようと思っていたのだが、カラーリングに思った以上の時間が掛かったそうで、17時前まで帰ってこなかった。さすがにお腹が空いたので、急いで「星乃珈琲店」に向かう。
注文は、トマトクリームソースのオムライスとフルーツティー。デザートには秋限定のモンブランのフレンチトーストを注文。以前に食べたビーフシチューのオムライスもそうだったが、ここのオムライスは美味しい。フルーツティーも、果物の酸味や甘さがしっかり出ていた。普通のドリンクより若干高いが、それで3杯分ぐらい量があるのも嬉しい。フレンチトーストも美味しかったが、さすがにお腹いっぱいで食べきれなかった。もったいないことをしてしまった。注文した時にはかなりの空腹だったので余裕で食べられると思ったのだが、今度からデザートまでまとめて注文するのはやめようと反省した。
帰りに駅ビルに入っている三省堂書店に寄り、2冊の本を購入。武さんの新刊目当てで行ったら、もう1冊面白そうな本に出会ってしまった。
武豊『名馬たちに教わったこと』双葉社
鈴木和幸『勝ち馬がわかる競馬の教科書』池田書店
19時前に帰宅して娘をお風呂に入れる。夕食は抜き。というか、さっきの食事が夕食みたいなものか。
『名馬たちに教わったこと』を読む。武豊騎手がこれまでに騎乗した馬の中から33頭について綴った連載をまとめ、加筆・修正した一冊だ。私がこの本を手に取ったのは、その33頭の中にサイレンススズカがいたからである。今からちょうど20年前、1998年11月1日の日曜日に開催された第118回天皇賞。「沈黙の日曜日」と言われたその日の出来事を、私はリアルタイムでは知らない。レース映像も1度見たきりで、それ以降は怖くて見られない。それでも、その日起こった悲劇に思いを馳せると、胸にこみあげてくるものがある。ただの競馬ファンである私ですらもそうなのだから、パートナーとして一緒に走り、その背中を知っている鞍上の心中は察するに余りある。武さんも、未だに当時のことを詳しくは語らない。
もしも……もしも、あの府中の4コーナーを、何事もなく回っていたら、どうなっていたんだろう……。今でも、ふとした拍子に、そんなことを考えてしまうことがあります。20年経った今でも、彼のことを思い出すと、喉に刺さった棘のようにちくりと胸が痛みます。
(中略)
彼との思い出はたくさんあります。語るべきことも、まだ、まだ、あります。でも、今でもまだ、その傷口は膿んでいて、瘡蓋をはがすと、血が噴き出してきます。忘れることは生涯ないと思いますが、いつか……そう、いつか……傷が癒え、瘡蓋を剥がしても血がにじむ程度になることがあったら、そのときは、彼の話をしたいと思います。
本書の中で、武さんは(天皇賞のひとつ前のレースである)毎日王冠までのことを語っている。しかし、その先のことを聞けるのはまだ先になりそうだ。私を含め競馬ファンの多くが、その時を静かに待っている。