さいえんす徒然草

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毒素の源

2007-01-31 22:17:56 | 生態学・環境
 ヤマカガシ Rhabdophis tigrinus は日本で最も普通に見られるヘビの一種ですが、このヘビが人を殺すほどの毒を持っていると知られるようになったのは比較的最近のことのようです。彼らは奥歯の根元にその毒腺を持っていますが、それとは別に頚部にも別の毒腺があり、捕食者などに襲われた時にここから別の弱い毒素を分泌して追い払います。この毒素はブファジェノライドと呼ばれる物質で最初ヒキガエルから発見されたようですが、今では昆虫など広範囲の生物が持っていることが確認されています。


 米オールド・ドミニオン大と日本の京都大学らのチームは今回、ヤマカガシはヒキガエルを食べることでこのブファジエノライドを獲得していることを突き止めました。もともと、ヒキガエルのいない金華山島などのヤマカガシはこの毒素を持っていないという観察事例も以前からあったようです。

 
 毒のある生物を食べることで、自らその毒を蓄積して利用するというやり方はその他の生物にも見られます。例えばオオカバマダラという蝶の一種はトウワタを食べることで、アルカロイドを体内に蓄積します。以前紹介したマダガスカルのドクカエル類では餌の昆虫から毒素を蓄積しているようでし、フグのテトロドトキシンは細菌が作り出したものが貝類を通じて生物濃縮されたものであると考えられています。


<参考>
Snake Bites the Toxic Toad That Feeds It--and Spreads Its Poison(Scientific American)
ヤマカガシ(Wikipedia)
生薬の話(求心HP)

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