さいえんす徒然草

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エボラウィルスの暴露事故 未承認ワクチンの使用へ

2009-03-20 02:08:44 | 医療・衛生
 ドイツハンブグにあるBernard Nocht研究所で、女性研究者が実験中に誤ってエボラウィルスを扱った注射針で自分の手を刺してしまうという事故があった。研究者の氏名などは公表されていないが、現在隔離施設に収容されているという。

 この事故を受け、米・カナダ・ヨーロッパのエボラ研究者たちの間で緊急のテレビ会議が開かれた。あらゆる治療方法の可能性を検討した結果、まだ未承認で一度も人を対象に使われたことはないがサルに対して有効性が既に証明されているというエボラウィルス用生ワクチンを用いることになった。この治療方法に対し隔離中の研究者の合意が取れたため、事故から48時間でカナダからワクチンが届けられ、すでに接種されたという。

 この研究者が接種された抗エボラ生ワクチンは、主に牛や豚などに感染する水疱性口内炎ウイルス(VSV)のタンパクの一部を、エボラウィルスの持つタンパクに組み替えたものである。このウィルス自体が体内で増えるので、それが何らかのリスクを引き起こす恐れがある。しかし、このワクチンはサルに対象にした実験で、感染した後に用いても致死率を大幅に下げるという有望な結果を出していた。


 エボラウィルスが体内に入っても、必ずしも病気を発症するというわけではない。体内に侵入したウィルスが少量であれば、発症せずに済む可能性が高い。実際、2004年に同様の事故がアメリカで起きたが、このケースではエボラウィルスに暴露された研究者は発症せずに無事生還したらしい。

 しかし、運悪く発症した場合、エボラ出血熱の致死率は 90% である。エボラウィルスの潜伏期間は4日から21日と考えられている。今のところ隔離された研究者に症状は出ていないらしい。3/18 の時点で事故から6日目になる。

参考:
Researchers Worldwide Rally to Help Scientist Exposed to Ebola(Science Insider)