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さいえんす徒然草

つれづれなるまゝに、日ぐらしキーボードに向かひて

遺伝子組み換えネッタイシマカの放飼がマレーシアで始まっていた

2011-02-05 22:48:41 | その他
 遺伝子組換え技術を利用した新時代の不妊虫放飼法ともいえる害虫防除法が、デング熱や黄熱病の媒介蚊として知られるネッタイシマカの駆除に用いられようとしている。

GM Mosquitoes Released On Cayman Islands


 不妊虫放飼法とは、防除したい害虫の雄を何らかの方法で不妊化(つまり“タネ”無しにする)し、それらを野外に撒く方法である。野外に放たれたこの不妊の雄は、その場所に生息している野生のメスと一定の割合で交尾する。不妊雄を交尾の相手と選んでしまった不運な野生の雌は、卵を産むがそれらは正常に発育せずに死に絶える。不妊虫放飼法の素晴らしい点は、野外の個体数が減れば減るほど正常な雄個体に対する不妊雄の割合が高くなるので、放飼する数が一定ならばその効果が加速度的に上がっていくということだ。島など隔離された小さな地域などでは、目的の害虫個体群を根絶することもできる。また、殺虫剤と違い標的としている種だけにその効果を限定することができる。

 従来の不妊虫放飼法では、雄の不妊化に放射線を利用していた。しかしながら、この方法では個体が弱ってしまい正常な野外のオスと十分競合できないことがある。また、放射線により不妊化されたオスと交尾した雌から生まれる子孫は大抵の場合胚性致死(卵の状態で死んでしまう)が次に述べるようにこれがネッタイシマカなどの昆虫を対象に使う際に大きな欠点となる。

 現在応用されようとしていう遺伝子組換え技術を利用する方法では、条件的に抑制できる優勢致死遺伝子を組み込むことで蚊の雄を不妊化する。この遺伝子組み換えの蚊(GM蚊)の系統は実験室や工場内で特定の化学物質(テトラサイクリン)を与えて飼う限りは致死遺伝子が発現せず、大量に増やすことができる。野外に放たれた雄は雌と交尾しその雌は子孫を残すが、野外にはテトラサイクリンが存在していないためその子孫では継承した致死遺伝子が発現し最終的に死んでしまう。実はここでもう一つ仕掛けがあるのだが、この致死遺伝子は幼虫時代の後期で発現するように仕組まれていて、致死遺伝子を持つ個体でも卵から孵化し比較的長く生きることができる。ネッタイシマカはその生態において幼虫期に密度依存的な種内競争(密度が高いと死亡率が上がり、低いと下がる)が激しい。従来の放射線による胚性致死では、結果的に幼虫の密度を下げ正常な野生の集団の死亡率の低下をもたらすが、これが不妊虫放飼の効果を相殺してしまう。遅効性の致死遺伝子を持った子孫であれば、幼虫期までは正常な野外集団と競合するためその個体数を大きく減らすことができる。死ぬタイミングまで調整できるのは、遺伝子組換え技術ならではだろう。

 この技術を利用した遺伝子組換えネッタイイエカを開発したのはOXITECという英のベンチャー企業だが、昨年既にケイマン諸島で300万匹を野外に放飼する実施試験を行ったと発表した。結果は非常に良好だったようで、数ヶ月間の放飼で野外個体群の個体数が80%も減少したという。しかし、この放飼に関してはOXITEC側から事前にアナウンスが殆ど無かったこともあり、遺伝子組み換え技術をあまり良く思わない自然保護団体だけでなく基本的にこの技術の利用を支持してきた研究者からも批判が巻き起こった。そしてまたつい先日、マレーシアでも既に野外試験を既に終えていたことが明らかになり、これもまた事前の情報がなかったことで新たな批判の火種となっている。マレーシアで行われた放飼は6000匹という少数のもので、主に不妊雄の生存力と移動能力を確認することが目的だったらしい。

 昨年このブログで同じ会社が開発した「OX3604C」という致死遺伝子の発現に性特異性(雌だけで働く)を加えた系統を紹介したが、現在実際に実施試験に用いられているのはそれ以前に開発された「OX513A」という系統で雌雄どちらも致死になる。OX3604Cでは雌だけ死滅するため、放飼する前に雄だけを自動的に選抜することができるという利点があるが、OX513Aではサナギの大きさで雄だけを選別しているようだ。

 デング熱はマラリアと同様にいまだ予防ワクチンは無く、世界で毎年5000万人の人間が発症すると推定されている。遺伝子組み換え技術を利用した不妊虫放飼法は、蚊の駆除法としてはこれまで行われてきたどのような方法とも比べ格段に効率的かもしれない。それ以上に、遺伝子組換え生物のこのような形の利用は画期的で、ある意味歴史的ですらあると思う。しかしOXITEC社がこれまでに行った二度の実施試験は、蚊の研究者や専門家ですらそれが行われていたこと自体、発表があるまで知る由がなかったらしい。いまのところOXITEC社、あるいは恐らく全面的な協力しているであろうそれぞれの行政機関があえて秘密主義を貫いているのかどうかは分からない。ただ、遺伝子組み換え生物を野外に放すということに多くの人間の合意が得られるかが最大の問題のひとつであるだけに、少しでも疑念を抱かせるようなやり方はをとるのは、結果的にこの技術の可能性を大きく減じることに繋がるかも知れない。

Bad project

2011-01-29 00:22:00 | その他
 twitterで話題になっていた冴えないプロジェクトにハマってしまった大学院生の悲哀を描いたパロディ動画。

Zheng Lab - Bad Project (Lady Gaga parody)


 ベイラー医科大学でアルツハイマーの研究をなさっているラボの学生(?)さんたちらしい。なかなか本格的に作っていて凄いなー。再生数が凄いけど、あまり話題になったらボスにバレて「お前俺のプロジェクトが気にくわないのか?」とかなったりしないだろうか(笑)
 
 -I don't wanna be poor-
 
 笑いながらも、ふと自分のことを思うと後ろ寒い物を感じたりもする・・・

イグノーベル賞

2010-10-03 00:20:48 | その他
今年の栄えある“イグ”ノーベル賞で、去年当ブログでも紹介したコウモリのオーラルセックス行動を報告した研究者に生物学賞授与された。

Winners of the Ig® Nobel Prize


イグノーベル賞、言わずと知れたノーベル賞のパロディで、「笑えること、考えさせること」を条件に少し風変わりな研究に与えられる賞である。今年の受賞研究はこんな感じ。

工学:無人ヘリを使った鯨の鼻水採集方法
医学:ジェットコースターを用いた喘息症状の緩和
交通計画:粘菌を用いた最適な鉄道網の決定(注:受賞者には日本人が含まれる)
物理:靴の外側に靴下を履くと凍った道でも滑って転倒しにくいことの証明
平和:悪態をつくと痛みが緩和されるという通念を科学的に確かめたこと
公衆衛生:研究者のヒゲに付着する微生物の研究
経済:利得を最大化し世界経済にたいする金融リスク、またはその一部を最小化する新たな投資方法の考案とその宣伝(注:証券会社に対する一種の皮肉っぽい)
化学:水と油が混じり合わないという古い迷信に対する反証(注:メキシコ湾で石油流出事故を起こしたBP社に対する皮肉)
経営:「適当に選んだ部下を昇進させること」が組織の効率を高めることの数学的証明
生物学:フルーツバットのフェラチオの科学的記述

このイグノーベル賞の授賞式は毎年ハーバード大学で行われ、受賞者は自費で参加することを求められる。主催者側は毎年行われるこの授賞式において、古来から人々を悩ませているある深刻な問題、すなわち、受賞者が興に乗って規定時間を超えるスピーチを行うことを止めさせるにはどうすれば良いかという問題に関してひとつの実証研究を行っている。その解決方法がこちら、


Improbable Research Collection #129: The Best of Miss Sweetie Poo



(規定時間をオーバーすると"Miss Sweetie Poo"と呼ばれる8歳の可愛らしい女の子が出てきて「Please stop! I'm bored!(もうやめて!つまんない!)」と連呼する。)



あの伝説のフリーキックの秘密が明らかに?

2010-09-04 23:37:41 | その他
 サッカー好きの人で無くともこの動画を見たことのある人は多いと思う。

[HD] ~ Roberto Carlos - Free kick vs France 1997 ~



 元ブラジル代表のサッカー選手、ロベルト・カルロス(通称ロベカル)が1997年に行われたフランスとの国際試合で放った驚異的なフリーキックだ。ゴールから約35m離れた場所から弾丸のような速さで蹴り出されたボールは、壁を作るフランス選手のはるか右脇を飛んでいった。通常であれば、こんな軌道のボールがゴールに入るとは思えない、と我々は考える。しかし、ボールは軌道を左に変えゴールポストに当たって入ってしまった。

 球技において「曲がる球」は別に珍しくはない。野球にも、カーブやスライダーといった球種がある。あまり詳しく無いがテニスや卓球でも、そういった変化球は良く使われるらしい。球を曲げるには、球に強い回転をかければいい。これはマグナス効果という現象で、流体(例えば空気)中を進む球体にスピンがかかっていると、進行方向に垂直の力(マグナス力)が働く。ちなみに、野球のストレートは縦回転がかかっているので上方向にマグナス力が働く一種の変化球である。殆ど回転しないフォークやナックルでは、ボールは重力に従って放物線を描いて落ちる。

 カーブもスライダーも素人はなかなか打てるものではない。しかし、プロ野球選手ならちゃんとバットの芯に当てることができる。テニスや卓球でも、変化球を出せば必ず相手を出し抜けるというものではないだろう。これは、彼らが変化するボールの軌道を見極めて、自分の手元に来る時の球の位置を予測することができるからだ。しかし、ロベカルのフリーキックを受けたフランスのゴールキーパーは、あんなに遠くから蹴られたにもかかわらず一歩も動くことが出来なかった。まるで、最後まで枠から外れることを確信しているかのようだ。地元フランスで行われた代表戦で、彼は怠慢なプレーをしたのだろうか?いや、あの時、ロベカルが放ったボールは彼の予測のはるか上を行く変化をしたのだろう。

 ロベカルのフリーキックのこの「予想外」の変化の秘密を説明できるモデルが、(奇しくも?)フランスの物理学者らによって報告された。彼らの提唱したモデルでは、回転するボールは一定の曲率を保ったまま進むのでは無く、だんだんと曲率を増しながらその軌道はカタツムリの甲羅のようなスパイラル状になるらしい(こちらの図参照)(正直原著論文を読んでも私はチンプンカンプンなのだが、要約された別の記事から察するに、ボールは空気抵抗を受けながら速度を減少させていくが、マグナス力はそれほど落ちないので、進行距離に対する変化率が大きくなるということみたいだ)。

 つまり、曲率がゴールに近づくほど急激になっていくため、ゴールキーパーはその軌道を全く予測できなかったのだ。

 ロベカルのフリーキックではいくつかの好条件が重なった。まず、飛行距離が長かったため、より曲率の高い段階まで変化が進んだということだ。野球やテニスでは理論的には同じようにスパイラル状の軌道を描くとはいえ、飛行距離が短いためそのような大きな変化を見せる前に終着点に着いてしまう。また、彼のシュートが非常に速かったこともより急激な変化につながったらしい。

【参考】
Roberto Carlos wonder goal 'no fluke', say physicists (BBC)

ルービックキューブを解くための最大必要手数

2010-08-15 02:11:48 | その他
ルービックキューブは何手あれば解けるか?こんな疑問が一部の数学者にとって30年来の研究対象となっていたらいしい。ルービックキューブを解くために必要な手数の最大値(God's Number)は1995年まで18手であると予測されていた。しかし、この年に数学者のMichael Reid が最低20手を必要とするポジション(Super-flip)を発見し、研究者たちは目下、これ以上の手数を必要とするポジションを探すことに心血を注いでいた。
Rubik's cube pattern #5 SUPERFLIP


   そして2010年の今年、20手こそがルービックキューブを解く必要最大手数、つまりどんなポジションからでも20手あれば解くことができることが証明された。意外に少ないんですね。証明方法は半分力づく。あり得る全てのポジションをスーパーコンピューター上で再現し(実際には対称性を考慮して計算時間を大幅に削減している)、21以上を必要とするポジションが存在し無いということを確かめたとか。ちなみに20手を必要とするポジションは全ての組み合わせ約4.3x1019個中に10個以上存在しているらしい。

 以下はルーブックキューブの最大手数を巡る発見の歴史(参照)。
  最多手数  
下限 上限  範囲 備考
1981 18 52 34 どんなポジションからでも52手以内で解けることが証明される
1992 18 42 24 どんなポジションからでも42手以内で解けることが証明される
1992 18 39 21 どんなポジションからでも39手以内で解けることが証明される
1992 18 37 19 どんなポジションからでも37手以内で解けることが証明される
1995 18 29 11 どんなポジションからでも29手以内で解けることが証明される
1995 20 29 9 20手必要なポジション(super-flip)が発見される
2005 20 28 8 どんなポジションからでも28手以内で解けることが証明される
2006 20 27 7 どんなポジションからでも27手以内で解けることが証明される
2007 20 26 6 どんなポジションからでも26手以内で解けることが証明される
2008 20 25 5 どんなポジションからでも25手以内で解けることが証明される
2008 20 23 3 どんなポジションからでも23手以内で解けることが証明される
2008 20 22 2 どんなポジションからでも22手以内で解けることが証明される
2010 20 20 0 20手以上を必要とするポジションは存在しないことが証明される

<参考>
Rubik's Cube quest for speedy solution comes to an end (BBC)

アブラムシの草食動物に対する忌避行動

2010-08-11 01:56:29 | その他


Creative Commons LicenseThis work is licensed under a Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 Unported License.


 大型の草食動物にとってアブラムシはご馳走ではないが、アブラムシにすると彼らは寄主植物と一緒に自分たちまで飲み込んでしまう迷惑な存在だ。そんなわけで、アブラムシには草食動物の接近を感知して一斉に植物からポロリと落ちる習性があるらしい。アブラムシにとって、一時的にでも植物から離れることは大きなリスクを負うことになるが、食べられてしまっては元も子もない。こういう間接的な捕食者-非捕食者の関係っていろいろ考えてみると面白そう。

 ところでアブラムシは何を手がかりに草食動物の接近を感知しているのだろうか?植物の振動?影? 答えはどうも、動物の出す「呼気」らしい。実際、蚊などの吸血昆虫では呼気中の二酸化炭素を吸血源の探索に利用することが知られている。ただ、アブラムシの場合はそのような特定の成分に反応しているわけではなく、呼気中の湿度温度という二つの物理的な要素に反応して植物から逃亡するようだ。どちらか片方だけではダメで、両方の要素が合わさった空気でのみスイッチがはいるらしい。あまり敏感になりすぎると、間違えてポロポロ落ちて命が持たないからかね。

 こちらの動画は人間の呼気に反応するアブラムシたち。

サンショウウオと藻類の細胞内共生

2010-08-07 22:09:21 | その他

Scott Camazine

 サンショウウオで藻類の細胞内共生が報告されたらしい。このサンショウウオは 英名 Spotted Salamander (Ambystoma maculatum) という北米種で、わりと普通種のようだ。このサンショウウオが胚期に Oophila amblystomatis という藻類をゼラチン質に住まわせて酸素を供給させていることは、以前から知られていたらしい。したがって共生関係自体は目新しいものではないようだが、今回分かったことは、この藻類が細胞外に留まらず細胞内にまで及んでいるということだ。藻類と動物との細胞内共生これまでサンゴ(刺胞動物)などで知られているが、脊椎動物では初めての事例らしい。一般的に、脊椎動物は高度な免疫システムが発達しているので、“非自己”である共生生物を体内で安定的存在させることは他の動物よりも難しいと考えられている。藻類がどのような機構でサンショウウオの免疫系からの攻撃を回避しているかも興味深い。

 藻類とサンショウウオは具体的にどのような物質のやりとりをしているのか。単純に考えれば、藻類が光合成で得た酸素と炭水化物をサンショウウオに、サンショウウオが窒素原や二酸化炭素を藻類に、という関係が想像される。実際、報告した研究者によるとサンショウウオ側のミトコンドリア(有酸素呼吸を行う細胞内小器官)が細胞内に入った藻類の周りに集まっているのが透過電顕で観察されているようだ。

 

脱走するGM作物

2010-08-07 00:50:26 | その他
 

Tilo Hauke, Deutschland




 アメリカで除草剤耐性の遺伝子組み換えナタネが圃場以外の場所で生育しているのが見つかったというニュース。アメリカ国内では初めての事例になるらしい。結構意外。

 記事によると、研究者がノースダコタのGMナタネ栽培地周辺に自生していたナタネを調べたら、約80%がグリホサート(ラウンドアップ)かグリホシネート(リバティー)という各二種類の除草剤に耐性を付与する遺伝子産物(タンパク)のうちのどちらかが検出されたとか。さらに、両方の耐性遺伝子産物が検出される個体も見つかっているという。市販されているGMナタネには、どちらかひとつの耐性遺伝子を組み込んだものしか存在し無いので、これらの個体は圃場外で交配しながら世代を経ていることを示唆している。

 日本でも、自生している遺伝子組換えナタネが見つかったという話はよく目にする。港で多く見つかっているようで、恐らく輸送中の車両からこぼれ落ちたものが発芽してしまっているようだ。ナタネ自体は雑草ではないが、もし他の近縁種の雑草と交配すると、その雑草種の集団内に除草剤耐性遺伝子が広まる可能性がある。言ってみれば、人間が作物を守るために導入した遺伝子が、巡り巡って敵側に利用されて食料生産が脅かされてしまうということ。無視できない問題ではある。

 先日、三重県の路上で、イヌガラシとGMナタネが交雑したと思われる個体が見つかったというニュースがあった。もし本当なら大変だなあと思ったが、件の個体を詳しく調べている国立環境研究所の中嶋信美氏の途中経過発表によると、どうやら交雑個体ではなく、生育不良で形が変になったGMナタネのようだ。

 いずれにしても、GM作物の管理区域外への拡散と、それが自然環境や食料生産に与え得る影響は今後も注視し続ける必要があるだろう。ただ、露天で大規模に栽培する以上は、外に飛び出していく種子を100%物理的に封じ込めるのは恐らく不可能だろうと思う。次世代を作り出せなくするGURT(Genetic use restriction technology)、いわゆるターミネーター技術を使えばかなり安全性は増すと思われるが、こちらはこちらで別の批判が強いのだろうか。

セミの脱皮

2010-08-06 00:18:37 | その他
 今日の帰り道、セミの幼虫を拾ったので、家に持ち帰って、脱皮のシーンを撮影させてもらった。ミンミンゼミかな。脱皮したては、まだ模様が見えないので分からない。

 この時期の夕方、セミのいる公園などで下を向いて歩いていれば、ヨチヨチ這っているのが見つかるだろう。長い地中生活を終えて出てきたばかりの終令幼虫だが、必ずその日のうちに脱皮して成虫になる。子供がいれば、一緒に観察してみるのもきっと楽しいだろう。家の中で観察するのが便利だが、その場合、朝までに外に出してあげるのをお忘れなく。






















Impossible motion

2010-05-12 00:18:24 | その他
日本の数学者・杉原厚吉教授が開発した、騙し絵的立体作品。先日フロリダで開かれた Vision Science Society の年次大会のイベントとして行われた Best Illusion of the Year なる競技会で最優秀賞となったらしい。

Impossible motion: magnet-like slopes


種明かしをされても、まだキツネにつままれたような感じだ。多分、柱になっている部分が「垂直に立っている」と思い込んでしまうことが敗因なのだろう。


杉原教授によると、人間は長方体のような整然とした図形を、そうでない(より一般的な?)形に対して、より当たり前のものとして認識するらしい。それは我々は幼い頃から、直方体を基本とした人工な構造物に囲まれて生きているからだろう。実際、まだ認知機構が発達していない幼稚園児などは、この類のだまし絵には騙され難いらしい。

<参考>
Gravity-defying ramps take illusion prize(Nature News)