さいえんす徒然草

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世界最小のヘビ

2008-08-04 00:30:26 | 生態学・環境
 バルバドス島で、これまでに見つかっている中で世界最小となる蛇の仲間が見つかった。長さは約10センチで、太さはスパゲッティー程しかないらしい。Leptotyphlops carlae と名づけられた。

  今回発見されたのは2匹の雌だけのようだが、発見者によると過去に別の人間によって採集された古い標本のなかに同種が含まれている可能性があるという。小さい種のため同定が難しく、既存の種として分類されてしまっているかもしれない。

  通常、ヘビの仲間は一度に複数個の産卵を行うが、興味深いことにL. carlae は一度の産卵でたった一つの卵しか産まないらしい。ただ、産まれてくる幼蛇は大きく、成蛇の半分のサイズもある。人間で言えば、27000g の赤ちゃんを出産するようなものだ。

 これは恐らく、産み落とす子供に投入できる資源量の制限が関係しているようだ。どんな生物にでもあてはまるだろうが、生殖にかけられる資源は無限ではなく、それゆえに作り出す子孫の「数」と「質」の間で常にトレードオフが存在する。例えば、この蛇が同じ資源を投入して2個の卵を作ろうとするならば、1匹に掛けられる資源の量は半減してしまい、単純に考えると卵1個を産むときと比べ半分の大きさの子孫しか作れないことになる(正確には2の三乗根分の1か?)。

 L. carlae が一つの卵しか作らないのは、そのもともとの小ささゆえに、それ以上小さくなると餌を自力で捕るのが難しくなるのだろう。ちなみに、同種はシロアリ類を餌としているらしい。そうだとすると、L. carlae の大きさは、生態学的に可能な蛇の最小サイズと言えるのかもしれない。

参考:
World's smallest snake discovered (BBC)


 

 

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