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私立中高「切り札」は共学化 校名変えたら…受験者急増

2024年09月03日 20時05分43秒 | 受験のこと

2021年度から共学化し、校名も変える首都圏の私立中学・高校が、初年度入試で人気を集めている。共学化を機に英語教育強化などの改革を行った学校が多く、受験者が大幅に増えるケースも出てきている。(柏木友紀、高室杏子、川口敦子)

 【写真】光英VERITAS中の理数特待入試に挑む受験生=2021年1月20日午後2時35分、千葉県松戸市秋山、高室杏子撮影


 ■「国際的な教育」で高倍率に  

2月1日午後3時過ぎ、広尾学園小石川中(東京都文京区)の真新しい校門を受験生たちが次々とくぐった。同校は、2018年から広尾学園(港区)と教育連携をしてきた村田女子高校(文京区)が新年度から「広尾学園小石川中学・高校」と校名を変え、中高一貫の共学校としてスタートする。 

 「娘は海外留学を考えており、ここは英語に力を入れているので志望した」と、受験生の娘を見送った母親は言う。この日午前は、グループ校の広尾学園を受験した。 

 新しい校名での1期生を選抜する入試。1日午前の1回目入試から出願倍率は10倍を超え、この日午後の2回目は定員20人に対し582人が出願した。計5回の一般入試全体では計90人の定員に出願者数は3210人、このうち受験者数は1713人で、341人の合格者を出した。

  「倍率を見て驚いた」という男子受験生も広尾学園と広尾学園小石川を併願していた。建築家志望で、父親は「広尾学園系列は国際的な教育をしていると聞いた。海外でも通用する英語でのプレゼン能力を鍛えさせたい」という。  広尾学園小石川の松尾廣茂校長は、07年に順心女子中学・高校を共学化して広尾学園をつくり、教頭として学園の改革を先導した。松尾校長を含め、16人の教員が広尾学園から異動し、受験指導に関して実績を持つ5人の教員が他の進学校から加わった。 

 1学年約300人の広尾学園に対し、広尾学園小石川は約120人で、アットホームな雰囲気が売りだ。広尾学園と同様にインターナショナルコース(80人)を設け、同園と同等・同質の教育を目指すという。 

 このコースでは、日本人とネイティブスピーカーの教員2人が担任となり、ホームルームでは英語を使う。「帰国生がクラスにいることで、英語だけでなく、教員に積極的に質問する姿勢などで、生徒全体が刺激を受けると期待している」と松尾校長は話す。高校の受験者数などは非公表だが、24年度からは高校募集を停止し、完全中高一貫校になる予定だ。 

■理数系・探究型…授業に特色 


 光英VERITAS(ヴェリタス)(千葉県松戸市)も、新年度に聖徳大学付属女子から校名を変え、中学・高校ともに共学化する。聖徳大・聖徳短大へ2~3割が内部進学するが、国公立大やGMARCH(学習院大、明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)の合格者が年々増えている。 

 広いグラウンドを備えた学内への通学は、自家用車による送迎も認めている。1月の中学入試は受験者総数が608人(男子247人、女子361人)で昨年度の約3倍、2月15日現在の入学予定者は102人(男子38人、女子64人)で昨年度の約2倍となった。 

 娘が受験した東京都の女性(40)は「学校行事で足を運んだのが志望のきっかけ。家から電車とバスで40分で通学圏内だし、娘は男友達が多いので、共学になるのも魅力。コロナがいつまで続くかわからないけれど、通学の電車が都内と反対方向で空いてるという利点もある」という。次男が受験した東京都の女性(51)は「息子はゲームや機械の組み立てが好きで、計算も得意なので、好きなことを学ぶ下地を作ってあげたいと思い、理数系に力を入れているこの学校の受験をすすめた」と話した。

  高校入試も昨年度に比べ受験者が増加した。433人が受験し、合格者は241人で実質倍率1・8倍だった。受験者は昨年度の約2倍で、男女ともに増えたという。  長く男子校だった芝浦工業大付属(東京都江東区)も共学にして受験者が増えた。女性の技術者・研究者の人材育成を目指し、17年度から高校のみ女子の募集を開始し、新年度からは中学も共学化する。

  探究型授業で力を発揮できる生徒を集めるため、今年から中学入試では出題形式を変えた。放送を流し、聞いた情報を元に問題を解かせる方式を算数と国語の一部で導入。過去最多だった昨年の約1・5倍となる計1609人(男子1348人、女子261人)が受験した。新入生は161人で、女子は約25%を占める。高校は一般入試の受験者が123人で、昨年の約1・2倍だった。 

 担当者は「中学は共学化で学内の雰囲気も変わっていくと思う。探究心あふれる生徒に育ってほしい」と話す。

 ■再スタート、目立つ志願者増  

首都圏では近年、共学化に伴って校名を変えて再スタートし、志願者数が増加する学校が目立つ。15年に共学化した開智日本橋学園中(中央区、旧校名・日本橋女学館)、同年の三田国際学園中(世田谷区、同・戸板)、19年の武蔵野大中(西東京市、同・武蔵野女子学院)、20年の品川翔英中(品川区、同・小野学園女子)などだ。 

 首都圏の進学事情に詳しい森上教育研究所の森上展安代表は「共学化と校名変更に併せて大きな学校改革や校舎改築などを断行し、注目を集めて偏差値が大幅にアップする学校が増えている。逆に言うと、ここで人気が上昇しないと、もう次はない」と指摘。

「共学化は社会の流れであり、最後の切り札とも言える。その後は各校の教育方針と進学実績が問われるため、国際性を重視したカリキュラムや難関大進学を目指す選抜クラスなどを導入する学校が多い」という。 (変わる進学)


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