散日拾遺

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放送大学の卒業式

2014-03-22 11:23:50 | 日記
2014年3月21日(金)

 正しくは学位授与式と呼ぶらしい。
 年に一度のNHKホール詣で、全国では学部4,418名、院320名におよぶ卒業生の、どれほどが集っているか分からないが、赤ん坊から相当の高齢者まで、同伴者の多彩なことも放送大学らしいところである。
 例年通り3階席左端の急斜面に席を取る。やがて隣の空席に、H先生がやってきて着席された。障害をもつ学生への支援に一貫して尽力し、先日のFDでもきわめて有益な発表をしてくださった。開会までの時間、雑談の中に示唆多々あり。
 学生の謝辞2名、特に院の修了生は学長と同郷、高校の後輩だそうで、ユーモアたっぷりに二年間を振り返るスピーチが満場を涌かせて見事だった。テーマというのが、パン(クロワッサン)に注目してウィーンあたりの文化史を展望したものだそうだ。クロワッサンの由来は当ブログでも紹介したばかりである(⇒ 『クロワッサンとトルコ風』(2月8日)、『クロイッサントとモウタクトウ』(2月18日))。そのうえ、今度院に入ってくるGさんがウィーン周辺の精神医療史に関心をもっているという具合で、まことに世界は狭い。
 今回から始まった優秀授業表彰、今春で退官なさる僕らのコースのU先生の名前が呼ばれた。保健体育の専門家らしく、ホールに響く「ハイ!」の返事に大股で背の伸びた歩き姿、颯爽たるものだ。

 

 これまでは学位授与式だけで引き上げることにしていたが、今年は高級ホテルの立食パーティーに初参加。大型の送迎バスで、都内を約20分かけて移動。こういう角度やルートで都内を見ることはめったになくて面白い。
 途中、赤坂に豊川稲荷があるのに初めて気づいた。三河の豊川にあるから豊川稲荷なので、それが東京のど真ん中にあるのはどうしてだろうと、今さら気になる。帰って調べたら「大岡越前守忠相が豊川稲荷から吒枳尼天(だきにてん)を勧請し、屋敷稲荷として自邸で祀ったのを由来とする」のだ。
 大岡氏は三河以来の徳川股肱の臣で旗本から大名へ取り立てられた。三河時代から豊川稲荷を厚く信仰していたらしい。曹洞宗なんだな。
 Wiki の記載が面白いので、拝借する。

 「大岡越前守は、江戸南町奉行としての活躍や、旗本から大名へ取り立てられたことでも知られる。それにあやかり江戸の豊川稲荷も、立身出世や盗難避け、失し物・失踪人などの効験で評判となる。川柳にも「石川は 盗み 豊川 盗ませず」と詠まれた。
 また明治以降の赤坂は、料亭や芸者などが集まる花柳界が発展し、芸道を生業とする人々からの信仰も増えた。
 現在も、ジャニーズ事務所所属タレントをはじめ、著名な芸能人、スポーツ関係者からの信仰を集めていることでも知られ、2月の「節分会」には各界有名人も多数参加する。」

***

 パーティー会場で、首尾良く学生たちと出会う。宮城・山形・大阪などからも無事到着、会場中に熱気が充ち満ちている。
 後半、直接面識のない学生たちから挨拶されることが続いた。臨床心理関連の人々で、『精神医学特論』や『臨床心理学特論』の受講者なのだ。大いに励まされる。中には桜美林の卒業生に「お世話になりました」という人もあり、小さな世界である。こんな具合に広がりかつまとまった community を意識すること、自分をその一員と位置づけることは、人間にとってきわめて重要な作業なのだ。
 「人は誰でも架空の党派の闘士として行動する。わかりきったことだ。」
 サルトルの言葉である。自分はどの党派のメンバーか?

 卒論生のMさんは前にも触れたと思うが、ベテランの助産師である。どこか神がかったところがある、というと貶し言葉のようだが、そうではなくて。physical なプロセスの中に、spiritual なあるいは devine なものを生き生きと見てとる、そうした感受性がきわめて鋭いのだ。事実、ある宗教(キリスト教ではない)の誠実な信徒でもある。
 このMさんが、一方なかなかのアイデア・ガールで、ゼミの時にブラインド・ウォークや出産(される)体験などのワークをしてくれたことが、皆の経験をきわめて豊かにした。今日はA4判の「石丸ゼミ」バナーを作ってきて(というか、おそらくは御主人に作らせてきて)、これを棒の先にかざしてツアコンよろしく仲間を誘導した。
 このバナーを、退席時にいつのまにが僕が持たされ、人垣の中を拍手で送り出される形になった。そのうち広報課がネットに動画を載せたりなんかしたら、いちやく全国的に有名になってしまう。
 目立つのは特に嫌ではないけれど、この形は想定外、Mさん最後までやってくださいましたね!

 

 気疲れしたんだろうか、帰りの電車で深く眠り込み、珍しく最寄り駅を乗り過ごす。一駅分歩いて家に戻ったら、息子達が大騒ぎしている。
 センバツ開幕だ。

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