2019年10月18日(金)に戻って
子どもの自殺が目立って増えていることが、ここ数日報じられる。痛ましいことであり、対策が急がれることに異論のあるはずもない。ただ少々気になるのは、この件の報道にあたって、
「わが国の自殺者数が減少している中で」
という前置きが決まって付くことだ。
この言明は間違ってはいない。事実2013年からこっち自殺者数は漸減傾向にある。ただし、その結果としてどの程度まで減ったかを検証すべきではないか。
下記は2017年5月19日の毎日新聞の切り抜きで、同年の自殺対策白書の内容を先行紹介したものである。その時点での最新データ比較にもとづき、日本の自殺死亡率は世界で第6位、女性については第3位(!)であることが指摘されている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/b3/a54842c2f08e86d3e955e07b3f25643f.jpg)
この件、とりわけ女性は怒ってよい。日本は依然として世界に冠たる自殺大国、とりわけ女性の自殺大国なのだ。そのことに注目せず、減少傾向ばかりを強調するのはいささか不適切な誘導ではないか。
A 「全体の自殺率が低下する中で、子どもの自殺が増えている」のか、
B 「女性を中心として世界的な自殺多発国であるわが国において、子どもの自殺までもが増えている」のか、
言い換えれば、
A 「おとなは自殺しなくなっているのに、子どもが自殺しはじめた」と見るのか、
B 「おとなに倣って、子どもも自殺しはじめた」と見るのか、
見方の違いは取り組み方の違いにもつながることだろう。
いずれにせよ、自殺問題は過去のものなどではない。われわれの社会を依然として脅かし続ける、闇の力の存在証明である。
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