京のおさんぽ

京の宿、石長松菊園・お宿いしちょうに働く個性豊かなスタッフが、四季おりおりに京の街を歩いて綴る徒然草。

灰になって

2012-04-01 | インポート

 玉の輿。

 西洋風にいえば、シンデレラストーリー?

 そう、それは女性の憧れのライフプラン……なのか?

 

 さて、玉の輿に乗りたい女性諸君。

 今宮神社へ行こう。

 なぜならそこに「玉の輿守」というお守りがあるのだ。

 

 今宮神社は大徳寺の北にある。

 ひっそりとある。

 規模としては、さほど大きくない。

 

 なぜここに「玉の輿守」なるものがあるのか。

 事の始まりは江戸時代初期。

 江戸幕府第三代将軍、家光の時代である。

 

 その頃、今宮神社の近辺、西陣にお玉という女性がいた。

 なんと言うこともない、町人の娘である。

 その娘が、大奥に仕えることとなり、そしてやがて、家光の側室となった、というのだ。

 

 家光の側室になったお玉は、やがて子供を産むが、これが後の第五代将軍、綱吉である。

 世に言う犬公方、生類憐みの令を出した将軍様だ。

 お玉は、家光の死後、仏門に入り、桂昌院と呼ばれるようになった

 

 桂昌院は、地元愛からか、この今宮神社の修復に力を注いだ。

 そういった事跡にちなみ、今宮神社が「玉の輿守」の授与を始めたというわけだ。

 まあ、桂昌院が修復に力を注いだのは今宮神社だけではないけども。

 

 さて、今宮神社といえば「玉の輿守」だけではない。

 他に名物が二つある。

 もっとあるかもしれないが、大きなものは二つ。

 

 一つはあぶり餅。

 門前の参道に、向かい合って二軒、あぶり餅のお店がある。

 きな粉をまぶした餅をあぶり、白味噌ベースのたれを塗ったものである。

 

 二軒の店は、どちらも歴史がある。

 一軒においては、創業1000年を誇るというから 恐るべし京都、である。

 もう一軒の方も、創業600年と、歴史は充分で、まあ、どちらに入るかは好みである。 

 

 さて、もう一つの名物は、やすらい祭。

 鞍馬の火祭、太秦の牛祭とならんで、京都三大奇祭に数えられている。

 始まりは1000年前に遡る、伝統あるお祭りである。

 

 盛衰を繰り返し、応仁の乱後は一時途絶えもした。

 それを復活させる契機となったのが、先の桂昌院による社殿の修復である。

 今では神社の最大名物なのだから、桂昌院様様である。

 

 さて、この祭の主役は、風流傘と呼ばれるもの。

 傘のふちに暖簾を下げたようなもので、これが練り歩く。

 いや、もちろん練り歩くのはそれを持っている人だが。

 

 このやすらい祭、現在は4月の第2日曜日が祭礼日となっている。

 桜の季節である。

 風流を楽しむのにもってこいである。

 

 春の魁の祭りでもあるやすらい祭。

 ぜひともご覧あれ。

”あいらんど”


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