ライブ インテリジェンス アカデミー(LIA)

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橋本忍なしでは黒澤明の存在はなかった!? 

2020-10-22 14:40:46 | 雑感

日本を代表する脚本家「橋本忍」。黒澤明監督作品「生きる」「七人の侍」「羅生門」など数々の黒澤明監督作品をはじめ、野村芳太郎監督作品「砂の器」、森谷司郎監督作品「八甲田山」など、映画化された脚本は71作品にのぼる。昭和の映画史に刻まれている作品のシナリオを書いた人である。

用事があって兵庫県神崎郡市川町を訪れ、帰り途中に一休みで立ち寄った「市川町文化センター」。ここで目に入ったのが「橋本忍記念館」。なんで橋本忍の資料などがここに、と思いながら見ると、ここ市川町が橋本忍さんの郷里だった。
ここ文化センター内に橋本忍作品の台本や構成本などが展示されていた。ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞の「七人の侍」の盾や台本、「風林火山」や「羅生門」の台本などなど興味のそそるものばかり。手にとって覗き込んでみたいと思うほど貴重なものだった。


その中で、興味を惹いた展示パネルに橋本忍の「シナリオ作法」というのがあった。その一部を抜粋し紹介する。
「橋本忍は素材選びに最も時間をかける。ツボにはまった素材を得、そして構成へと進む。その瞬間こそが橋本忍の技がさえるときである。(中略) 橋本忍はシナリオを書くにあたっては1/3システムを採用している。1/3書き進むごとに構成をふりかえり、生じた誤差や欠点をただしていくこのシステムにより、緻密さと重厚さが増し、シナリオの完成度が高まっていく。」


脚本家は、監督や出演者の陰に隠れてしまっているが、実は監督以上の役割があると言われている。作品の生みの親のような存在である。黒澤明とって橋本忍は欠かせない右手であり左手でもあった。大げさにいうなら、橋本忍なしでは黒澤明は存在しなかった、といっても過言ではないだろう。

残念ながら2年前102歳で人生の幕が閉じられた。日本の映画史を支えた大きな大きな宝物であった。筆者の好きな「生きる」をまた観たくなった。

 


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