ライブ インテリジェンス アカデミー(LIA)

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千光寺の巨岩には時の鐘を偲ばせる歌などが刻まれている

2021-12-27 21:37:59 | 地域発展

この度の尾道取材旅行で最初に訪れた名所は、やはり海の川といわれる尾道水道を見渡せる大宝山の中腹にある千光寺。予定ではロープウエーで上がる予定でいたが、尾道訪問の日から3週間ロープウエーが安全点検のため運休。ロープウエーから見下ろす景色を楽しもうと思ったがやむを得ずタクシーで向かった。乗車時間は15分ほどで公園入口に着いた。

目的は千光寺への参拝と、ご住職に千光寺について取材をさせていただき千光寺の周辺を撮影させていただくことだった。公園から千光寺までのわずかな間で海や山々の雄大な景色が目に飛びこんできた。タクシーを降り公園の入口で迎えてくれたのが、尾道名物の野良猫たち。寄ってくるわけでもなく逃げるわけでもなく、悠然とよそ者を見るかのような目を向けベンチに座っていた。

 

そして尾道市美術館を横目で見ながら千光寺境内へ。本堂へ行く山沿いの道から臨む景観は、箱庭的都市といわれている所以の一端を見せてくれる。そこには、ご老人が立ち眺めておられた。聞くと、毎朝の散歩コースで、この景色を見て一日が始まるという。その方にとっては、暮らしの中の風景になっているようだ。

 

歩いていると山肌にでかい岩が見えた。目に留まったのが岩に刻まれている歌の一節。

 

それは

 

岩のまに

古きほとけのすみたまふ

千光寺山かすみたりけり

 

その横に解説の木の板看板が立てられてあったので、それを参照させていただくと―

小杉放庵という人が書いた歌とあった。明治・大正・昭和の時代に活躍した画家で、この歌は終戦後、尾道を訪ねたときに書き記したもの。

 

そしてその先の岩にも歌が刻まれていた。

 

音に名高い千光寺の鐘は

一里聞こえて二里ひびく

 

作者不明のようだが、みなと尾道でうたわれ続けた俚謡(りよう/民間で歌い伝えられた歌、さとうた、俗謡)の一つ。千光寺の時の鐘は、尾道で育ったものには忘れられないもの。沖合の船上で働いていた人たちもこの鐘の音を聞き励みにしたといわれている。

 

大みそかには標高140mの山空の千光寺から除夜の鐘が周辺の山々や尾道水道に響きわたる。22時30分よりご住職の読経がはじまり、それに続いて除夜の鐘が始まる。24時には2022年の新年を告げる鐘が八つ鳴る。その鐘の音が尾道の山々、街々に一年の安全祈願の守護鐘として鳴り響くことだろう。

尾道・文化紀行ブログ/ https://asulight0911.com/hiroshima_onomichi/


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