すばらしい!
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人形浄瑠璃
近松作「出世景清」 333年ぶり通し上演
毎日新聞 2018年7月8日 19時42分 (最終更新 7月9日 00時42分)
「出世景清」の一場面。主人公・悪七兵衛景清(あくしちびょうえかげきよ)を操る桐竹勘十郎さん=山口県長門市の県立劇場「ルネッサながと」で2018年7月8日、中澤雄大撮影
江戸元禄期に活躍した近松門左衛門(1653~1724年)の出生伝承を街づくりに生かす山口県長門市で8日、近松作の浄瑠璃「出世景清(しゅっせかげきよ)」が貞享2(1685)年の初演以来、333年ぶりに復活上演された。多額の私費を投じるなど長年構想を温めてきた日本近世演劇研究の大家、鳥越文蔵・早稲田大学元演劇博物館長(90)は「『曽根崎心中』に匹敵する作品を残しておきたいという念願がかないました。大変うれしく思っています」と感慨深そうに話した。【中澤雄大/統合デジタル取材センター】
鳥越文蔵・早大名誉教授の「執念」実る
近松が義太夫節の祖・竹本義太夫のために初めて書き下ろした人形浄瑠璃作品。全五段の時代もので、日本初の本格長編悲劇と位置付けられている。
説話的な従来の古浄瑠璃(義太夫節誕生以前)と当流(現代)の分水嶺(ぶんすいれい)となる重要な演目。ただ、元々は口承芸能であることから、語りや三味線の節付けを記した採譜もなく、再演は困難だったといわれてきた。
初演から300年にあたる1985年、国立文楽劇場(大阪市)で、牢(ろう)破りの場面を中心に一部が演じられたものの、通し上演は不可能とされてきた。しかし、「芝居は舞台で演じられてこそ光る」との信念を持つ鳥越さんの熱意を受けて、文楽三味線弾きの鶴澤燕三(つるざわ・えんざ)さんが2011年から7年がかりで復曲にこぎつけた。
燕三さんが復曲 人形遣いの勘十郎さんらが熱演
鳥越さんが名誉顧問を務める山口県立劇場「ルネッサながと」は、「船底」「文楽廻(まわ)し」など国内有数の浄瑠璃専用装置を誇り、まさに「幻」の演目上演にふさわしい舞台である。
この日は燕三さんらによる三味線の哀切な音色が響くなか、竹本三輪太夫(みわたゆう)さん、豊竹呂勢太夫(ろせたゆう)さんらが朗々と語り、毎日新聞の随時連載エッセー「人形遣いのひとり言」でおなじみの桐竹勘十郎さん、吉田玉男さんらの操る人形が過酷な運命やすれ違う男女の心理を巧みに描写。約3時間の熱演に各地から訪れた観客が盛んに拍手を送っていた。演劇評論家の渡辺保さんは「(復活上演を実現させた)鳥越先生の執念ですね、本当に偉いと思う。先生が言われる通り、戯曲は劇場でかけないと分からない、と今日しみじみと感じました」と語っていた。
あらすじ
源平合戦直後、敗残兵となった悪七兵衛(あくしちびょうえ)景清は、源頼朝の暗殺を企てるが、妻小野姫と遊女阿古屋(あこや)との愛憎のはざまで捕らえられる。入牢した景清に、阿古屋はわびたが許してもらえず、面前で景清の子をあやめて自害してしまう。景清のその後はいかに--。
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この大雨の中上演するのは大変だったでしょうに、これもまた鳥越文蔵先生の「執念」でしょう。目標達成のために、頑張り続ける。見習わないといけません。
こうなると、東京でも上演してほしくなります。あるいは、歌舞伎化も歓迎したところです。とにもかくにも、一日も早い東京上演を期待します。
それにしても、渡辺保先生も東京から山口まで行かれたんですね。招待されたのでしょうが、この環境下、さすがです。
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