JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

日高敏隆 「セミたちと温暖化」

2010-03-06 | BOOK


日高敏隆先生が昨年11月に亡くなられていたのは知らなかった。
先生のエッセイ集を読むのは「春の数えかた」に続いて2冊目。これはタイトルは夏っぽいけれど連載エッセイなので内容は春夏秋冬全て含まれる。それでもやっぱり、この先生のエッセイは春を待つこの季節に読むのが似合ってる。
またまた大野八生のカバーが素敵。
ポツリポツリと読んで行って、何のかんのと1ヶ月以上かかった。
虫好きの先生が子供の頃、この季節に春を探して歩く様子、自分は虫にあまり関心のない子だっただけに面白い。

村上陽一郎の解説によると科学の定義として
1.知識の進歩のための科学
2.平和のための科学
3.発展のための科学
4.社会のなかの、そして社会のための科学
の四つを挙げている。

日高先生しかり、ファーブルしかり、1.に近いけれど文学としての科学という側面がとても重要。
エッセイの中には理科系文科系についても興味深く論ぜられているけど、私のような科学疎く、無縁といえるような人間が楽しく読めるのはありがたい。

生物が生き残るため、繁殖するための不思議な習性。それを彼らの戦略とする表現が面白い。
「人は実物が見えるか?」が最後のほっこりした落ちまで含めて印象的で好きな話でした。
「鳥たち」空を飛ぶ鳥の魅惑的なメカニズムを解りやすく説明され、これには賛嘆。
「概念時計」を読んでいた頃、ちょうどNHKのプロフェッショナルで生命科学者、上田泰己氏をやっていました。

もう日高敏隆の新しい文章は読めない。

日高 敏隆(ひだか としたか、1930年2月26日- 2009年11月14日)は、日本の動物行動学者。京都大学名誉教授。
「チョウはなぜ飛ぶか」「エソロジーはどういう学問か」は読んでおきたいと思いながら四半世紀・・・

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