JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「スペル」

2009-11-13 | 映画(DVD)
「スペル」2009年 米 監督:サム・ライミ

ライバルに勝ち、銀行で昇進したいクリスティン・ブラウン(アリソン・ローマン)は、上司に仕事ができることをアピールする必要に迫られていた。そこへ、ジプシー風の老人(ローナ・レイヴァー)が不動産ローンの延長願いを申し出る。クリスティンが拒否すると、老人は態度を豹変。敵意をあらわにし、クリスティンに飛びかかる。

珍しく新作です。

この映画は「死霊のはらわた」のサム・ライミ監督の原点回帰の作品なんだそうである。と言われても「死霊のはらわた」観てないし、思い入れのない者にとっては良く解らない。「スパイダーマン」はレンタルで観たけどサム・ライミさんの本質なんてさっぱり解らない素人。

だいたいホラー映画って観ない。スプラッタの方は少し観るようになったけど・・・
ホラー映画と銘打ったものって驚かせる事はあっても怖いという印象が無いので(それでいいんだろうけど)あまり観たいと思わない。

この映画もご多分に漏れず、怖くないけどちょっとビクッと驚かされる部分はある。
脚本はオープニング・エピソード(これが1番怖いか?)から結末へよくまとまっている。
スプラッタにお笑い要素が大切なのと同様ホラーにもお笑い要素は大切なんですね。

この映画はなんと言っても、主演のアリソン・ローマンのイモっぽさ。
怪老婆ガーナッシュの孫に「あなた以前太っていたでしょ」と言い当てられたり、恋人の母親から「農家の娘」と蔑まされたり。アリソン・ローマンだからそいういう設定が考えられたのか、そういう設定に適する役者を探してきたのかわかりませんが嵌りすぎです。

ユーモアの中で進む展開(主にポルターガイスト)はやや中だるみがあるもののそれなりに楽しい。

発端の不条理性も好ましいし、ガーナッシュ夫人の義眼、入れ歯などの汚らしさも素晴らしいです。車上の闘争での義眼ステープラー。

霊媒師が登場するけど、あそこで羊の頭をぶった切れないドジな男がいけない。
しっかりぶった切れよ。ぶった切ったら話は終わっちゃうけど・・・

菜食主義者で動物を愛するアリソン・ローマンは自分を守るため可愛いペットを生贄に捧げます。
しかし、憎むべき不正を行って自分を陥れたライバルに地獄行きのプレゼントを捧げる事は良心が邪魔をしてできないんですね。
所詮、動物愛護ってのはその程度のもんなんだな、実際。などと関係ない事を考えたり・・・・

そしてクライマックスの雨中での墓あばきからラストへのテンポの良さがとても秀逸。
正直言って、結末は充分読めてしまう。それでも納得させられるラストの展開。結局アリソン・ローマンが引きづりこまれて原題のスーパー「DRAG ME TO HELL(わたしを地獄へ引きずりこんで)」でのENDに内心「お見事!」と快哉を叫んでしまう。



「死霊のはらわた」は観ておくべきかな。

TOHOシネマズ六本木

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5 コメント

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やったね! (gs)
2009-11-14 00:07:24
僕ほんまに この映画が好きです。
サムライミどんの一番の肝「阿呆阿呆さ」のドーパミンと先走り汁出まくりの潮吹き大作
この数年度のナンバーワンまちがいなし。
わざとらしいまでの説明描写(これがまたもっちゃりとしてたまらなくイイ)。これみよがしのわかりやすいカメラワーク(「ほら ほら 今 ヒロインの不安感を表してますよー」ってめっさわかりやす過ぎ)たまらんもんだらけです。
あ~全然怖くなく阿呆らし~。
「死霊のはらわた」は こんなにスピーディーで上手な作りではないので かなりキっツイ(退屈とゆーイミ)ですが、もっちゃりライミ節の阿呆阿呆さの土だらけの原石なので頑張って耐えてみましょう。
 あ~「スペル」のブルーレイが早く欲しい 
なんべんも なんべんも 巻き戻して観たいシーンのテンコ盛りでございました。

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 (とらねこ)
2009-11-14 13:19:04
入れ歯があんなに恐いなんて、あんな描写ありませんよねん
もー素敵ですっ!楽しかったよ~ん。
imaponさん、死霊のはらわたは私、15歳の頃からお気に入りですの
見て欲しいですぅ~!
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Unknown (imapon)
2009-11-18 23:06:58
gs様、コメント感謝です。
また、えらい気に入りようですね。
エンターテイメントとして解りやすく、楽しめました。サム・ライミ初心者でも・・・
「死霊のはらわた」は必修科目のようですね。
返信する
 (imapon)
2009-11-18 23:11:45
とらねこさんへ

怪老婆ガーナッシュ。よくあんな婆さん作り出しましたな。入れ歯、指、義眼、ハンカチ・・・
「死霊のはらわた」見ます見ます、待ってて。

ところでとらねこさんのコメントタイトル●って良いですね。
とらねこさんからコメントいただいたってすぐ解りますから。
いつも感謝!

返信する
大好きな映画「スペル」 (風早真希)
2023-06-07 10:04:35
大好きな監督、サム・ライミ。
そして、大好きな映画「スペル」。

このサム・ライミ監督の映画「スペル」は、老婆に呪いをかけられた女性が直面する、恐怖の3日間を笑いと恐怖で描いた、ホラー映画の傑作です。

お話自体は、お馴染みの筋書きですが、実は、この作品は"アメリカン・ホラー"の久し振りに見る愉快、痛快な大傑作だと思う。

首が飛んだり、血が噴き出したり、人体に危害が及ぼされるのがホラー映画の特徴ですが、とはいえ、現実の肉体に似れば似るほど悪趣味に堕して、映画的な表現から遠ざかってしまうものです。

実物にそっくりにしないままで、我々観る者を怖がらせるのが、まさにホラー映画の妙味、醍醐味なのだと思う。

昔のホラー映画は、厳しく規制されていたため、実物そっくりに映せないから、逆に映画らしい工夫が数多くあったと思う。何でもありになってしまうと、喜ぶ人も確かにいるだろうが、それではもう映画ではなくなってしまうと思うのです。

このあたりは、例えてみるとポルノ映画によく似ている気がします。
裸に頼れば頼るほど映画ではなくなるように、残虐シーンに頼れば頼るほど映画としてはダメになると思う。

最近の多くの"アメリカン・ホラー"は、そこを誤解しているようなのだ。
実物そっくりを目指したためなのか、コンピューター・グラフィックス(CG)に頼る残酷シーンばかりが増えて、よほど悪趣味の人でなければ、観る気にならないのではないかと思う。

そして、その行き着く果てが、日本製のJホラーのリメイクを作るところまで、落ちぶれてしまったのだと思う。

このようなホラー映画を取り巻く惨状を前に、敢然と立ち上がったのが、我らがサム・ライミ監督なのだ。

このサム・ライミ監督は、当時、「スパイダーマン」シリーズなどの大作路線に走っていたのですが、もともとは"ポップカルチャー"としてのホラー映画を熟知した人。
この「スペル」は、「死霊のはらわた」の初心に戻って撮っているのです。

ホラー映画の技法は、タイミングのずらし方にそのポイントがあります。
怖くなるぞ、怖くなるぞとゆっくり盛り上げ、ふっと軽く安心させて、緊張がゆるんだ瞬間にどっと襲い掛かる-------。

この呼吸が絶妙なので、首などが斬り落とされなくても怖くなります。
凡百の出来の悪いホラー映画だと、終わりには恐怖に慣れてしまいますが、この「スペル」は、後になるにつれて、もっと恐ろしくなってきます。
最後まで、安心して怖がられるのです。

そして、何といっても、この映画の素晴らしいところは、全編に渡ってユーモアが満ちあふれているところだ。
恐怖とユーモアは紙一重だとよく言いますが、まさにこの映画は、そのあたりの案配が、実に絶妙なんですね。

また、恐怖のネタもハンカチ、携帯電話、蝿、そして入れ歯と、怖がりながらも、つい笑ってしまうのだ。

とにかく、この映画は徹底して不真面目なんです。いい加減なんです。
そして、それこそが、"アメリカン・ホラー"の伝統であり、痛快B級ホラー映画の復活たりえているのです。
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