読書をする気力が沸いてこない。年々悪化する視力(老眼やね)
名古屋日帰り出張があったので東京駅で購入。肩慣らしによさそうなエッセイ。
選択ばっちり。ぴったり往復の新幹線で読了。
「いつか王子駅で」がとても良かったので他の小説もいづれ読んでみたいと思っていた(いつも思っているだけですが)堀江敏幸。
やはり文章が巧みなので至福の車中。
「どうしてなのかはわからないけれど、子どもの頃から身のまわりに存在する日用品、電化製品、文房具、玩具といったあらゆる種類の「もの」に関心があった。
以前はよく見かけたけれど、最近ではすっかりすがたを消してしまった、「ほんのちょっとむかしの」製品。」
筆者がパリの裏路地の古道具屋で出会った製品、写真付きで語られる本の持ち主の生活の匂い。古道具屋のちょっとした言葉でついつい身請けすることとなった「もの」たち。
実際に足を使っての発見と、発見を可能とする優しい眼差しの感覚。
横着物にはこのエッセイによって新しい趣味の世界を疑似体験するだけでしかないけれど、楽しい。
またモノクロだけど写真も素敵で、出来る事なら「堀江敏幸もののはずみ展」なんてイベントを開催してくれたら・・・これは絶対行きたいな。
世田谷文学館あたりで企画してくれないか。
ただ買っては放り出され息子におもちゃにされている怪獣フィギュアたち。
彼らに対しても、もっと優しい気持ちで触れ合いたくなる。そんな気にさせる名エッセイでした。
個人的には
「十九時五十九分の緊張」
「空気が一変した」
が出色と思います。
旅のお供に再読三読もOK
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