生駒のアラ還の独り言

医療業界のあることないことを独断と偏見で綴る

開業医の地域医療再生への積極的参画を

2010-03-13 17:40:49 | 日記

 医科診療所の新規開設数は依然として高い水準を維持しているようです。
元々開業医を目指している医師もいれば、中には勤務医の激務に疲れ果てた結果として開業医を選択する医師もいます。その他様々な開業理由があると思います。
 専門や標榜科目によっては、億単位(場合によっては10億超)の巨額の初期投資が必要になりますが、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、神経内科等では、比較的少額の投資で開業が可能です。
 銀行によっては5千万円程度までなら、無担保・無保証人で長期融資を許容しているところもあり、比較的新規開業は楽になっているようです。
 さて、病院の経営状況は依然として厳しく又そこで働く勤務医の疲弊状況を考えると、開業医がもっと地域医療再生に主体的に貢献する必要があるのではないでしょうか。
 地域病院の小児科や産科の医師不足の惨状は目を覆うばかりですが、小児科や産科の開業医が週1回程度当直に当るような仕組みが構築されれば、状況は様変わりします。例えば、産婦人科をやめて婦人科のみを標榜する開業医が増えていますが、元々産科の腕があるのですから是非こうした仕組みに前向きに参画して欲しいものです。
 現在の医療システムは、公立病院・民間病院・開業医をそれぞれ別個のものとして捉え、それぞれが全く別の方向を向いていてもベクトルを修正し合致させる機能が無く、本当の意味での地域医療連携が充分に果たせないものになっていると思います。各地域で知恵を絞って、せっかくある医療提供能力という財産を有効に使ってゆくことだとおもいます。
 生駒市に市立病院が開設された暁には、こうした真の意味の地域医療連携システムが構築されんことを願っている次第です。


中小病院の経営力

2010-03-09 21:19:37 | 日記

 今日は、概ね200床未満の中小病院の経営力についての話です。
 以前から、中小病院の生き残りは難しいと言われてきました。要はベッド数が「中途半端」で、何をやろうとしてもベッド数の限界という理由で全てが中途半端になり、これからの厳しい医療行政からは脱落してしまうしかない という悲観論でした。現に全国各地で、こうした中小病院が廃院もしくはベッド返上という事態になっています。病院数も、ピーク時比1000ほど減っていますが、その多くはこうした中小病院でしょう。
 私が思うに中小病院の廃院の原因は、厳しい医療行政のためというよりは、その貧困な経営力にあったのではないかということです。理事長、院長、事務長等の経営幹部の能力の問題だと思います。能力のない経営者が運営するビジネスは結局破綻します。しかし医療ビジネスは他のビジネスと異なり、本来は極めて破綻リスクの低いビジネスです。公定価格に守られダンピング競争が無いこと、保険診療であるが故に貸し倒れのリスクが無いこと、地域医療計画のベッド規制により競争相手となる新規参入が阻止できていること 等々他業界では考えられないほどのメリットがあるにも拘わらず撤退をしているのです。
 勿論一方で生き残りのための厳しい現実があることも事実です。医師や看護師が採用できない とか、患者が集まらずベッド稼動が上がらない とか、救急部門が大赤字だとかあります。しかし厳しい言い方ですが結局は経営力の問題です。
 私は、
自院の強みを作らずまた特化もせず、総合病院的な厚化粧を漫然と続けてきた結果 だと結論付けます。「選択と集中」と言い方がされますが、まさにそうです。
 昔と違って、今は地域医療も役割分担の時代です。開業医・二次医療急性期病院・三次医療高度医療病院・亜急性期病院・慢性期病院 等々それぞれの機能を果たす役割を担っています。自院が二次急性期対応が無理なら、亜急性期や慢性期にその使命を変更すればよいのです。昔の名前で出ているような格好付けは必要ないのです。自院で不可能なことは、可能な他医療機関に任せるべきです。
 地域における自院の能力と役割を冷静に分析し、その将来像を描きいち早く行動に移す。それが中小病院の幹部に今求められていると考えます。それができなければ経営者失格ですし、国民経済的にみても大きな損失です。
 生駒市においても自院の立ち位置の判断ができていない中小病院が存在します。新市立病院が開設される頃までには、各医療機関がそれぞれの機能を十二分に発揮できるような地域医療連携体制が構築されていることを期待しています。
 以前に「合成の誤謬」の話をしました。本日の話も同じことではないかとの疑念も出てきますが、各医療機関が地域医療再生を市民が希求しているのだ という根っこさえ押さえてさえいれば決してそんなことにはならないと思っています。
 


医師会の合意なくして地域医療行政は成り立たないのか

2010-03-01 23:27:17 | 日記

 いつも医師会というものに対してのアンチテーゼばかりですが、今日も同じ話になります。
 そもそも医師会という存在と地域医療行政との関係はどんなものなのでしょうか。
検診とかを予防注射等を中心に行政が医師会に”おんぶに抱っこ”の丸投げ行政を行ってきた今までの経緯があります。それはお互いにメリットがあった故のことだと善意に解釈しています。行政の手抜きや丸投げも事実ですが、それにしても現在の医師会サイドの傲慢さは目に余るものになっています。
つまり、今や医師会抜きでの地方医療行政は成り立たなくなっており、医師会に首根っこを抑えられている状態です。でも医師会抜きで地方医療行政は本当に成り立たないのでしょうか。本来やるべき地方医療行政が医師会という一団体に右往左往する事態が正常と言えるでしょうか。独禁法にも抵触する話で、私はとんでもないことだと思っています。
 地方行政もそろそろ医師会という業界団体から一線を画す もしくは決別の方向に進むべき時期にきているのではないかと考えています。特定の業界が地方行政の裁量を決定的に阻む権限を持ってしまうということは、実態的にも法的にも余りにも逸脱していると思うからです。
 私は医師の見識や存在価値を否定しているわけでは決してありません。しかし、医師会という組織になった途端に個々の医師の意思が変な形で総和され、ひいては地方医療行政に決定的な打撃を与える医師会という存在を批判乃至否定しているのです。
 生駒市においても、そろそろ医師会との決別を決断してもよいのではないでしょうか。一時的にはハレーションは起きるでしょうが、結果的にはソフトランディングすると考えています。医師会は別にして、生駒市の個々の開業医さんは市民病院開設には決して反対していません。
 いずれにしろ誰が元凶とは言いませんが、ここまで来てしまった医療崩壊ですから、地域医療行政も医師会の意向とかは関係なくガラガラポンでゼロからスタートすればよいと正直思っています。

 疲れました、今日はここまでです。