白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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AI囲碁ソフトの進化

2018年05月02日 23時37分53秒 | AI囲碁全般
皆様こんばんは。
本日は8名のお客様にお越し頂きました。
ありがとうございました。

明日は本因坊戦予選で王立誠九段と対局します。
幽玄の間で中継されますので、ぜひご覧ください。

さて、今回は先日幽玄の間で中継されていた、柯潔九段と囲碁AI「Golaxy」の対局の感想を述べたいと思います。
囲碁AIが人間に追い付き、追い越したことは大変な驚きでしたが、その後も停滞せず実力を伸ばし続けていることにも、また大きな驚きを感じます。
人間なら、実力が上がるにつれて上達はどんどん難しくなっていきますからね。
私は碁を覚えて1年でアマ3段ぐらいになりましたが、プロになってからはコミ1目強くなることにすら苦労しています。
しかし、AIは人間レベルを超えたにも関わらず、年にコミ数目というレベルで強くなっているのですから、恐ろしいですね・・・。



1図(テーマ図)
Golaxyの黒番です。
黒1のカケに対して、白2、4と出切ってきました。
ここで当然黒Aと動くと思いきや・・・。





2図(実戦)
実戦は黒1の当てから、どんどん押していきました。
白に先に伸びさせてしまう、いわゆる車の後押しという打ち方ですね。
打ったばかりの黒×が置いてけぼりになっていることもあり、見た目は黒が酷そうですが・・・。





3図(実戦)
壁を背景に黒1と迫り、白×を飲み込む狙いでした。
黒は先に酷い損をしましたが、「白の方が酷いんじゃないですか?」と言っているようです。
とは言え、中央が真っ白になったことにより、左辺一帯に大きな白地ができそうにも思えますが・・・。





4図(実戦)
黒は「後からいくらでも入れますよ」と言っています。
実際、いとも簡単にサバいてしまうのですから憎らしい限りですねぇ・・・。

最近は人間対囲碁AIの対局を見ても、どちらが勝つかというより、いかに人間が粘れるかということに注目しています。