白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

本因坊戦第1局封じ手予想

2018年05月14日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日、安田泰敏九段の訃報が・・・。
囲碁普及に熱心な棋士で、近年はふれあい囲碁の活動に力を入れられていました。
惜しい人材を亡くしましたが、安田九段の理念や活動が後に引き継がれていくことを願います。

さて、本日は本因坊戦七番勝負が開幕しました。
挑戦者の山下敬吾九段は、番碁で本因坊文裕を破ったことのある数少ない棋士の1人です。



1図(実戦)
山下挑戦者の黒番です。
黒1の肩衝きに対して、従来の常識からすれば白AかBと受けるところです。
しかし、実戦は手抜きで白2と構えました。
本因坊は、左下周辺は小さいと判断しているのでしょうか?
もしそうなら、黒1がおかしい手ということになりますが・・・。





2図(実戦)
しかし、黒1と打った場面で白AとBと守らず、手抜きで白2と左辺に回りました。
やはり、本因坊も左辺は大きいと判断している模様・・・。
白△の存在により、白2がより効果的な手になるということなのでしょうね。
1図から2図にかけての進行は、見た瞬間は理解し難い打ち方ですが、本因坊の頭の中ではかなり先の未来への展望が描かれていたのでしょう。





3図(打ち掛け局面)
お互いの×の石をポン抜く、派手な展開になっています。
そして、白△とつないだところで打ち掛けとなりました。
山下挑戦者が次の手を封じましたが・・・。





4図(封じ手予想)
私の予想は黒△のつなぎです。
こう打てば次に白はAと切り、捌きを目指すことになるでしょう。

黒△は、大半の棋士にとって最初に思い浮かぶ1手でしょう。
ただ、他の選択肢も考えられる場面なので・・・。
当たる確率は50%ぐらいのイメージですね。

おかげ杯、開幕!

2018年05月14日 23時55分50秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日、第9回おかげ杯が開幕しました!
おかげ杯は地域のイベントとしても魅力的です。
棋士が野外で真剣勝負をする姿など、なかなか見られないでしょう。

16名の選手はそうそうたる顔ぶれですが、なんといっても注目の1局は、村川大介八段対一力遼八段!
1回戦にも関わらず、いきなり決勝戦のような組み合わせになりましたね。
碁の内容も、期待に違わぬ凄まじいものでした。



1図(テーマ図)
村川八段の黒番です。
黒△と黒模様を広げました。
黒模様の完成イメージは赤のラインですが、そうなってしまうとあまりにも大き過ぎます。
当然、白としては邪魔しにいかなければいけません。
皆様なら、どこに入りますか?





2図(変化図)
左辺は黒石が非常に多い所です。
ですから、私ならまず白1のように軽く制限することを考えます。
黒2と受けられると左辺は黒地になりますが、その程度は仕方ないとみて、他の所で対抗するということです。
このような考え方をする棋士が多いのではないでしょうか。
大きな成果は上がりませんが、危険もありません。





3図(実戦)
ところが、実戦は白1、3!
黒石の多い所で、ここまで深く突入するとは!
黒4と退路を断たれて、私なら生きた心地がしませんが・・・。

しかし、一力八段は全く違う考え方をしていたのでしょう。
それは、「黒石は多いけれど弱点もあるので、そこを狙いたい!」ということですね。
なんという厳しい発想でしょうか・・・。

この場面、複数の棋士がツイッターで驚きの声を上げていましたが、私も目が丸くなりました。
ここまで踏み込めるようでないと、頂点争いはできないのかもしれません。





4図(終局図)
終局図です。
見た目にもお互いの石が多く取られていると分かりますが、既にアゲハマになった石も多数あります。
激闘としか言いようがありません。

そして、これで半目勝負というのですから・・・。
もう、参りましたという感じです(笑)。

明日は準決勝、決勝と3位決定戦が行われます。
対局の模様は幽玄の間で中継されますので、ぜひご覧ください!