白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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本日のAQ

2018年05月08日 23時59分59秒 | 幽玄の間
皆様こんばんは。
本日は久しぶりに囲碁AI「AQ」の対局をご紹介しましょう。
幽玄の間での練習対局、相手は村本渉初段です。



1図(テーマ図)
村本初段の黒番です。
左下黒△までの進行は前例が沢山ありますが、ここからの打ち方を考えてみましょう。





2図(変化図)
白1、3は棋士好みの打ち方です。
形が綺麗ですね。
井山七冠が打ってから流行ったイメージがあります。





3図(変化図)
しかし、多くのAIは白1のつなぎを好むようです。
切れないところをつなぐというのは違和感がありますが、AとBどちらも利かないようにしています。
AIの真似をして、こう打つ棋士も増えましたね。





4図(実戦)
ところが、実戦は白1の下がり!
これは非常に打ちにくい手で、棋士の対局では見た記憶がありません。
というのは、黒2の当てが見え透いているからです。
この後白Aとつなぐのでは、3図に比べて明らかに効率が悪い姿になってしまいます。





5図(実戦)
と思っていたら、2子を捨てて白1と開きました!
黒が厚くなってしまうので、見た目は白が酷そうに見えますが、白1へ先着することの価値を重視しているのでしょう。
この打ち方はあまりにもドライであり、良し悪しは別として真似したいとは思えませんが・・・。
しかし、AIは気分で碁を打ちませんからね。
こういう打ち方を見る度に、やはり人間とAIの碁は異質なものだと感じます。