今年はアフリカのケニアでしたね。
結果は井戸業者によって水は確保できました。
番組を見て、いろんな意見はあると思いますが、職人は本当に頑張りました。
人力の井戸掘りの場合、一般的に堀鉄管を打ち込むやり方が主流になります。
日本の伝統的掘削技術である上総掘りは、まさにこの工法なのです。
現在、日本でも上総掘りの機械化であるビームパーカッションの工法で
井戸掘りをしていることは珍しくありません。
この工法をアフリカの大地に人力で立ち向かうことは本当に至難の技なのです。
今回は地表面付近から岩盤が姿を現し、人力の井戸掘りを苦しめました。
実際のパーカッション工法での堀鉄管の重量は1t程あります。
それを動力で連続的に打ち込めば、あれくらいの岩盤は掘り進めます。
しかし、人力ではまず無理と言えます。
仕事人が岩盤を手掘りで砕き3mほど掘ったのはすごい判断です。
そして、少し柔らかくはなったとは言え、
あの堀鉄管から放す金属音は、かなりの硬さであったことは間違いありません。
長い日数の作業の末、5分5分の判断でポンプを取り付けたことには、
人力の限界の考えての決断だったのでしょう。
結果は水量が足りなかった。
あのままもう少し掘り下げれば、と言う意見もあるかと思いますが、
私はやむを得ない事だったと思います。
「業者が掘るなら最初からやれ!」とか、
「救いようのない番組だ!」とか、
必ず冷水をかけるような言葉がネット上に飛び交いますが、
仕事人の技と努力は認めていただきたいものです。
マチャアキJAPANは、ただ単に井戸を提供する番組ではありません。
井戸掘りの技術を村人に提供するために井戸を掘っています。
「井戸を掘ってもその後は放置様態だろうな」っていう書き込みを目にします。
そうですよ。
確かに井戸を完成させた後は放置状態です。
だからこそ、村人がメンテナンスもできるように井戸掘りを教えているのです。
そこがマチャアキJAPANの最大の支援なんですよ。
上手くいっても、上手くいかなくても、
井戸掘りをしたことのない村人に井戸掘りの技術を教えた。
今後、村人たちが「みんなでまた挑戦しよう」と立ち向かってくれれば
必ず自分たちの力で水を出すことが出来ると思います。
我々、井戸職人も、過去に何度も失敗を繰り返した経験があります。
職人であっても完成された人はいません。常に毎日が勉強なのです。
ハイテクな井戸掘り機は、簡単に井戸を掘ることが出来ます。
そんなハイテクな機械は確かに優れものですが、
こうした機械には、地道な井戸職人の技が組み込まれていることを分かってください。
貧困なアフリカの村人には、多額のお金をかけて井戸は掘れません。
だからこそ、ローテクな人力の井戸掘り技術を教えるのです。
今回奮闘された井戸職人、田中さんに心より拍手を贈ります。