8月18日と9月15日にDsah島の井戸再生の模様が放送されました。
これに伴い、作業に携わった私より説明と注意したいことがあります。
このブログには井戸に興味を持っている方が多く閲覧していますので、
この場を使って説明いたします。
昨年11月にDash島の井戸再生について放送側から電話連絡が入りました。
電話での説明では現状が分からないので、現地に視察に行きました。
井戸には水が溜まっており、古いながらも充分使える井戸と判断しました。
その時、スタッフから出た言葉に目が点になりました。
それは・・・
人力作業で、かつ、島にある物を極力使ってやりたいと言うのです。
以前ネパールやアフリカに行った「マチャアキJapan」が頭を過りました。
ここで皆さんに言っておきますが、Dash島の井戸再生の手順を参考に、
「俺もやってみよう」と、絶対に真似をしないでください。
一つ間違えば生き埋めになってしまう可能性があります。
また、ある程度の深さのある井戸では酸欠になる可能性もあります。
実際にこのような事故で命を亡くされた方もいます。
ですから、古井戸の再生工事は絶対に業者に依頼してください。
ここで、実際に古井戸の再生工事について御説明いたします。
このブログにも井戸再生の記事を以前投稿しています。
我々が古井戸再生の工事をする際、実際に井戸に入る事はほとんどありません。
高圧洗浄機で、井戸の側面の壁を洗浄します。
そして、井戸の溜まった水に次亜塩素ナトリウムを適量加え、
攪拌してしばらく放置した後、水中ポンプでヘドロと一緒に井戸水を汲みだし、
再び水位が戻ったら、また同じ作業を2~3回繰り返します。
そして、汚れが無くなったら、投入した塩素の(残留塩素)の濃度がなくなるまで
ポンプで汲み上げ、古井戸の再生は完了します。
このように、我々井戸職人でも安易に井戸の中に入ることはしません。
さて、放送された内容について作業の説明いたします。
井戸にTOKIOのメンバーが入ると言うことでドキッとしました。
井戸は、ご覧のように石積みの堀井戸です。
石積みの裏には、水を求めて木の根っこなどが集まってきます。
その木の根が成長すると根は太く育ち、石積みを押し出してきます。
つまり、石が動くということは=崩れるということです。
その為、あのような木枠を組みましたが、
それでも絶対に大丈夫というものではありません。
例えて言うなら、車のシートベルトやエアーバッグと同じであり、
無いよりあった方が安全ということで、絶対大丈夫という事ではありません。
次に、殺菌ですが、先程述べたように通常は塩素を使います。
海藻のクロメやヌタウナギのムチン?
はっきり言って、そんな気持ちの悪い物を使う話は聞いたこともありません。
でも、確かに殺菌作用はあります、しその葉なども殺菌効果はあるんですよ。
まあ、このへんのところはスタッフの提案でもあり、私もいい勉強になりました。
無人島での作業ですので、頼もしい発想ですね。
それから、ヘドロを取り除き石を井戸に入れましたが、
石の入れ方は、最初に細かい石、後から大きい石です。
それは、浮遊物が沈殿した時に石の隙間に入り汲み上げの時に舞い上がらない。
もう一つは、そこ面からも地下水は入ってくるので、そのための濾過機能です。
井戸の中に炭を入れましたが、これは井戸水をきれいにする効果があります。
ヤシガラ活性炭なら更に効果は出ますよ。
ここで皆さんに、井戸に対する認識を再度説明します。
古井戸の再生作業とは、井戸の清掃作業ということです。
つまり、井戸内部の溜まった汚れを取り除き、壁や井戸底を綺麗にする。
これが目的なのです。
井戸が綺麗になったということは、器がきれいになる。
つまり、水タンクをきれいにしたという事ですね。
これにより、井戸の中の一般細菌は減りました。
昔ながらの堀井戸は水道水のような基準の水を期待することはできません。
雨が降れば井戸の水に濁りが出る。一般細菌の量もその影響で増減する。
でも、これが昔ながらの掘り井戸というものなのです。
ほんの半世紀前まで、日本中の人々がそんな井戸水で生活していたのです。
「雨降りの日は生水を飲むな」と、我々子供時代はよく言われました。
そんな時代に戻って、今の時代の水質基準で検査したら、
水質基準に適合する掘り井戸なんてほとんど無いのではないでしょうか。
世界WHOの水質基準にも一般細菌の検査項目はありません。
日本って、世界一水質基準が厳しいんですよ。
世界には、あのDash島の井戸水を喜んで飲む人たちは多いと思います。
いや、ほんの50年前は日本人でも抵抗なく飲んでたはずです。
井戸水は飲めなくなったのではなく、飲まなくなったんですよ。
あの放送を通じて、皆さんに水の大切さを知って頂ければ幸いです。
では(o・・o)/