やはり、この問い合わせが一番多いですね~
今日は、家庭用の地上式井戸ポンプについてお話します。
水中ポンプやジェット式の地上ポンプは別として、
通常の地上式(吸い上げ式)の井戸ポンプは吸い上げの揚程は、
ほとんどの機種が8mになっています。
これは、150wの物でも750wの物でも、手押しポンプでも、すべて一律です。
なんで力が弱いポンプでも強いポンプでも同じなのか?
前回も述べたように、吸い上げる水には物理的限界があるのです。
大気圧の関係で、水を引っ張り上げるには約10mが限界です。
つまり、水をロープに例えれば10mで切れてしまうと同じ意味です。
「親戚の家は50mの井戸でも地上式ポンプで水が豊富に組み上がるのに、
なぜ、我が家の20mの井戸は地上式ポンプで汲み上がらないの?」
こういった話は珍しいことではありません。
地下水には、表層の不圧水は別として、被圧という圧力がかかっています。
この圧力により、水は上昇してきます。
地面より上がってこれば、自噴井戸(湧水)ですので、ラッキーですね(^_-)-☆
しかし、通常はある程度の深さで落ち着きます。
その落ち着いた位置が、その井戸の水位面になるわけです。
ですから、深さ50mの井戸でも100mの井戸でも、
水位面が8m以内であれば地上式ポンプで汲み上げれるわけです。
ただし、上昇する地下水より汲み上げる速度が速いと、
水位は下がり空気を吸ってしまいます。
ところが、吸い上げ用のパイプが仮に12mの長さとした場合は、
空気は出ずに、いつまでもチョロチョロと水が出る場合があります。
これは、先程述べたように、地下水が10mより下がると水は上がりません。
しかし、ゆっくりでも水が上昇してくる場合は、
その10m以内に上昇する水量分だけが汲み上がってきます。
例えて言うなら、50個の荷物があるとします。
そこに、5個、7個、10個の荷物を運ぶ3台のトラックがあるとします、
それぞれが、荷物を運んで往復してくると新たに5個の荷物が増えるとします。
5個のトラックは、運んでも運んでも新たに5個増えるのでいつまでも運べます。
7個のトラックは、7個減って5個増えるので差し引きマイナス2個です。
10個のトラックは、10個減って5個増えるので差し引きマイナス5個です。
7個と10個のトラックはだんだん荷物が減っていき、増える分だけの荷物になります。
ということは、最終的にどのトラックも5個の荷物しか運べませんよね。
わかりますか?この理屈。
なんだか難しいですよね。
では、Q&Aで解説します。
Q「水は出るが間欠的に空気が出てを繰り返す」
A「地下水の水量が足りていません。汲み上げパイプを11mまで降ろしましょう」
Q「11mまで降ろしたら、空気は出ないが水量がかなり少ない」
A「その水量が地下水の回復速度ですので、地上式ポンプではそれが限界です」
Q「夏は出ていたのに、冬になったら水の出が悪くなった」
A「基本的に夏の方が地下水は上昇する事が多いのでポンプの異常ではありません」
Q「ポンプは動いているが水が出ない」
A「汲み上げパイプが10m以上の長さの場合、それ以下の水位になっている」
「一番多い原因は、パッキンの腐食などによる汲み上げパイプ内のエアー漏れ」
Q「水量が少ないのでW数の大きいポンプに変えたが水量が変わらない」
A「述べたように、水位が10m以下になればその上昇分の水量しか汲み上げれません。ポンプの大きさは関係ありません」
今日の話は少し難しかったかな?
井戸とポンプの関係は、水量、水位によるもので、
井戸の太さや深さに比例するものではないのです。