アイデアリズム idealism daydream

ピロリ菌の真相 その3

(その2から)

-----ピロリ菌の真相-----

 N林さんは度重なる腹痛に襲われ、日に日に衰弱しているように見えました。病院で検査してもらったところ「胃からピロリ菌が検出された」そうです。
 ただ私は「ピロリ菌=腹痛」と説明するには少し変だなと当時でも思っていました。

「あの頃は金貸しから催促の電話が鳴りっぱなしだったなぁ」
「一体どれだけ借りてたの? 何社くらい?」
「んー、700(万)くらいかなぁ・・・。主要なところからほとんど借りてた」
「よく借りれたね。貸す方も貸す方じゃん・・・」
「いやぁ、一応年収700万って事になっとるけん、オレ」
「なるほど・・・(事務処理もやっていたので)アンタ、自分で給料明細作ってたんだよね、そういえば」
「そそ」
「そう言えばあの頃腹痛はピロリ菌って言ってたけれど除菌すりゃ良い話じゃねーの?」
「それが・・・別にピロリ菌はウソじゃないけど、それよりも内視鏡検査で胃とか十二指腸にいくつも潰瘍とか炎症がありますって言われてさ」
「えっ・・・本当はそうだったの?!・・・やっぱストレスで?!」
「そうみたい。"ぶっ殺す"とかそう言う電話がよくあったし。ガスター10は良く効いてたんだけど・・・」

 私がちょこちょこ会社に出入りしていた頃、N林さんは相変わらず金策に追われていたそうです。その時がピーク時だったそうです。
 程なくしてN林さんは「病気療養」の為、しばらく会社をお休みする事になりました。結局それ以降会社を訪れる事は二度とありませんでしたが・・・。

-----あらぬ噂-----

 それから程なくしてO村から"これ秘密にしていて欲しいんだけれど"と言う前フリで、「N林さんが以前勤めていた会社の車の部品を勝手に持ち出し、Yahooオークションで売りさばき、横領の罪で警察に捕まった」と話を聞きました。

「これってホントの話なの? 噂?」
「いやぁ、横領で捕まったのは連れ(以前の会社の同僚)のほう。オレはただ単に連れの身元保証人になっただけじゃけん・・・心配せんでもええよ」

-----自己破産へ-----

 その後、有限会社O村工房は株式会社Fに名称を変更。
 O村は知り合った人たちを次々と会社の役員(出資者)にし、同時にネットワークマーケティングを展開して会員(エイジェントさんと呼んでいた)集めをしながら資本金を増やしていきました。
 一方N林さんは多額の借金だけが残り、ついには自己破産をしたそうです。
 但し、債権者(お金を貸した側)リストの中に「田舎の一人暮らしのおばあさん」はあえて入れなかったそうです。N林さん曰く、

「自己破産すれば確かに返済義務が無くなる。だけれど業者である金貸しとは違い"おばあさん"の今後の事を考えるとやはり自分は人として返済すべきだろう」と。

(その4へ続く)

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