●日時 2007年8月28日 16:00~17:30
●場所 株式会社エスワイフード会議室
●株式会社エスワイフードについての詳細は こちら
●インタビュアー 塾長 三潴 克彦
●山本重雄氏 プロフィール
岐阜県生まれ。
高校卒業後に自衛隊に入隊。
その後、飲食業界で数年間修行し独立。
1981年に新栄に第1号店の
「やきとり・串かつやまちゃん」を創業。
現在は居酒屋の「世界の山ちゃん」をはじめ
全国で52店舗を展開する。
名古屋に住む人なら「やまちゃん」という名前を
聞いて知らない人はいないくらい有名な居酒屋。
今回はその創業者であるやまちゃんこと山本重雄氏に
お話をお伺いしました。
◆現在のお仕事について聞かせてください
初めに現在出店している店舗のお話からしたいと思います。
名古屋で31店舗、東京に14店舗、九州に1店舗、
札幌に4店舗、全部で50店舗展開しています。
ほとんどが居酒屋の「世界の山ちゃん」という名前で
経営しています。
その他には、ラーメン屋が1店舗、ちょっと大人向けに
グレードを上げた「山」という店も経営しています。
それら全てを合わせて現在52店舗ですね。
全て直営で行っています。変化に柔軟に対応できますし、
名古屋中心で、目が届く範囲ですので、そういった
こともあり現在は直営なのです。
将来的にはのれん分けは考えていますが、
フランチャイズは考えてはいません。
私が最近力を入れていることは経営に関するセミナーや
勉強会に出席しています。
もちろん、もっと会社を良くしようと思うからです。
去年から接客についても今まで以上に力を入れて
現場のスタッフやアルバイトの人々に対して力を入れています。
社員には夢や目標を語ってもらい、さらにお店を
良くしていこうという試みを行っています。
そして頑張ったことの発表会なども開催してます。
◆会社を始めたきっかけを何だったんですか
高校を卒業する時に進路について迷っていたのですが、
結局自衛隊に入隊しました。
理由はその当時自衛隊の人からこんな一言を
言われました。
「自衛隊では料理もできますよ」
料理が元々好きだったし、得意の柔道で鍛えた経験も生かせる
ということで自衛隊に入隊しました。
しかし、実際に海上自衛隊に入隊して、訓練を積んで
いたのですが、暇な時間が結構ありました。
なので、もともと本が好きだったこともあり、
たくさんの本を読みました。
特に衝撃だったのが、福富太郎さんの
「あなたも一億円貯められる」という本です。
本書の中で「商売を行うなら特に焼鳥屋が良いですよ」と
書いてあったのを覚えています。「これや!」と思いました。
その当時は金利が8%くらいでしたので、
一億円貯めて金利生活を送ろうと思ったのです。
そうして、3年間の自衛隊の勤務を終えてから、
商売のイロハを学ぶために居酒屋で働き始めることに
なりました。栄太郎で一年、村さ来で一年働きました。
そこで味付けや焼き方などを学びましたね。
23歳のころに店長をやっていたのですが、
その時は大変でしたね。みんな言うことを聞かないし、
意見は対立する。正直やめたいと思うこともありました。
そして、このように働いている時にある中国人の方に
出会いました。名前はチンさんという方です。
中華料理を経営している方で、この方からは
商売についても、料理についてもとても多くのことを
教えていただきました。
実はこの方との出会いが、私がやまちゃんの一号店を
出店するきっかけにもなりました。
年齢は24歳の時でした。
その場所は、今から思えば決していい場所とは言えず、
店も4坪と狭くて、古くて権利金も当時で120万円は
とても高い買物でした。
しかし、ほとんど知識が無くて、場所が良いとか
条件が高いとか考えず、とにかく一号店をオープンする事に
なりました。
一人で3年間黙々と営業し、約1千万円の現金が
手元に残りました。
福富太郎さんの本も嘘では無いな、と思い店を
広げることにしました。
2号店は、不動産屋さんのすすめるまま決めた物件でしたが
雑居ビルの一番奥で目立たず、同じビルには組の事務所や
ぼったくりバーが2店入っているという、今なら絶対に
出店しないような条件でした。
あまり調べることもせず、知識も無かったので、
出店出来たと思います。
今から思えば、住吉の2号店の出店はとても良かったと
思います。
当時は知らないことだらけで、実際にやってみて失敗したな
と思うことも多かったけれど知らないからこそ良かったな
と思います。知らないことで一歩踏み出すことが出来た
と思います。
◆学生時代の考え方や行動について教えてください
そうですね、それはかなり昔まで遡ることになるかも
しれません。私は岐阜県の山奥で生まれ、
小さいころから山や川で遊びながら育ちました。
釣りが大好きで本当によくやっていました。
そして、釣った魚を自分で料理したりもしていました。
このあたりの経験が後に影響を与えたのかもしれません。
小学校、中学校の頃のことだったと思います。
高校の時は卓球や柔道が好きでしたね。
その当時は基本的にチームプレーよりも個人技の方が
好きでした。でも、のちにチームプレーの大切さを
知ることになります。
いろいろやっていましたがこの時は明確な夢は実は
ありませんでした。
また、同時に高校生も終わりに近づくと進路選択を
しなければいけなくなりました。
でも、大学には行こうとは思いませんでした。
大学は勉強をするだけのところだと思っていましたから。
当時は大学の情報がほとんど入ってくることが
無かったので、そもそも大学がどのようなところかも
わからなかったです。そして成績も実はあまり良く
なかったので大学という選択肢は外れていくわけです(笑)
だから就職活動をすることになりました。
といっても選択肢は少なかったですね。
まずは、警察はどうかと考えました。それは柔道をやって
いたからです。次に料理の道はどうかと思いました。
小さいころの影響もあり、料理は好きでした。
そして、最後は自衛隊に入隊ということでした。
結局さっきも言ったように甘い誘い文句にのり(笑)、
自衛隊に入隊しました。
◆自分に影響のあった出来事について聞かせてください
そうですね、12~13店舗目になった頃から考えるように
なったことがあります。
「社長の仕事って何だろう」
この時、私は正直この問いに答えることができずに
自分の趣味に時間を割いていたりしました。
そして、社長としての自信を無くしている時期でも
ありました。
そんな時に素晴らしい方との出会いがありました。
それは一倉定さんという経営コンサルタントの方です。
私は経営者としてすでに10数年やってきていました。
経営者というのはよほどのことが無い限り、
怒られることが無いんですよ。
でも、この一倉先生は違った。
社長の経営に対して厳しく叱ってくれる方でした。
そうして、私は一倉先生からあらためて、
お客様の視点に立つことを学びました。
それと同時に経営計画書の立て方を学び、
また社長としての自信を取り戻すことができたのです。
それからまた素晴らしい出会いがありました。
志功塾という勉強会に参加しました。
そこで中村会長に出会いました。
私はそれまで金持ちになる、という夢をずっと
持っていたものですから、どこか自社経営に対して
腑に落ちていない部分があった気がします。
そんな時に中村会長が、
「社長は社員を守ることが大切だ」
このようにおっしゃいまして、また私は衝撃を
受けました。
これがきっかけとなり、私自身の中に、
会社のための経営哲学が生まれていきます。
その後、社員ともよく話し合い、
徐々に会社が変わっていきました。
それからはやまちゃんの本店でやまちゃん塾と
いうものをやったりして、自社でも学んだことを
社員みんなで共有していこうという動きになりました。
会議を作戦会議なんて言って行っていました。
今でもよく覚えているのが「史上最大の作戦」と
言って、とにかくお客様の要望に答えるためには
どうすればいいか、ということを軸にした会議を
開催していました。あれは本当に楽しかったなあ。
◆理想の人生と将来の夢について教えてください
私は金利生活を夢見て焼き鳥屋を始めましたが、
その当時は一億円貯まればよいと思っていたわけですから、
一億円たまるまで店を経営しようと思っていたと思います。
しかし、ある時に遊び心で年商100億円の会社にしようと
思ったのです。今は創業27年目ですが、
年商70億円まできました。だから今はかつて言った
年商100億円を本気で目指そうと頑張っています。
そして、お客様の満足度を今以上に高め、
働く従業員が本当に喜ぶ会社作りをしていこうと
思います。これが私の夢ですね。
そのために今から社員の人間的成長のための勉強会や
セミナーを自社で行います。
店の4階に100以上入れるセミナールームを作っています。
社外の人にも参加頂けるようなセミナー計画を計画を
しています。
◆夢や目標に向かって頑張っている人達に一言お願いします
まずは知らないからこそできることもあることを
知ってほしいですね。
やはり私は一号店を出す時も二号店を出す時も
知らないからこそできたと思います。
あまり、多くのことを知ると動けなくなりますから。
何かやろうと思っても、あまり念入りにやっては
いけないのです。思い切ってやるからこそ上手く
いくこともあると思います。
頑張って真剣に取り組んでいれば案外何とか
なっていくものだと私は思います。
最後になりましたが、私は過去は変えることが出来る、
変わると思います。
物事の流れは過去から未来へ行くものではなく未来から
過去にいくものではないかと思います。
つまり、今が良いと悪かった過去も良くなるのです。
過去にどんな苦しいことがあっても未来がよければ
それは過去を良い教訓として楽しい思い出に
変わってしまうということです。
このように考えて、今を精一杯頑張ってほしいですね。
◆本日は大変お忙しい中、本当にありがとうございました
山本社長のお話をお聞きしていて感じたことは
ご自身の幼少時代での経験や出会いによって飛躍の人生を
生きられていると感じました。
また、考えるよりもまず実践するということを重視されて
いるということが自分にとってとても印象に残りました。
日々の生活の何気ない時間をいかに充実して過ごすことが
できるか、そのように私は感じました。
そして、最後の過去は変えることができるというお言葉。
この言葉の意味をしっかり理解し、これからも
真剣に毎日を過ごしていこうと思いました。
今回は大変お忙しい中にも関わらず、
温かくトップインタビューに答えてくださる姿はさすが
一流の経営者の方だなぁ、と思いました。
本当にありがとうございました。
インタビュー記事 法人部代表 水谷翔
東名高速のサービスエリアで「世界の山ちゃん」グッズやお菓子を見た時・・どこまで行くのだろうか?と心配になってきました。
はは・・・(笑)
山本さんは自分と同じ年齢・・・同じ「山ちゃん」でもあり、共通の友人や恩師がいるということで身近な感じでいましたが、こちらは事業を半分あきらめ、地方議員生活。もちろんやりがいはあるのですが・・・まだ本質をつかめきれない状態です。
きっと波乱万丈であったにもかかわらず、坦々と生きている。そんな感じに映ります。
無理なく坦々とそして思う存分生きてください。
今度は、一坪店舗でやってみたいです!
助言、アドバィスを頂けたら嬉しいです。
宜しくお願いします!唐突で失礼致します。今後の御活躍を楽しみにしております。