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株式会社藤田商店     藤田 和夫 社長

2009-08-24 07:00:00 | インタビュー記事

●日時 2009年8月3日 10:30~11:30 
●場所 株式会社藤田商店 社長室
●株式会社藤田商店のホームページは 
こちら
●環境対応商品カタログ「e-plan」の詳細は こちら
●インタビュアー 起業家育成塾 三潴 克彦 (みつま かつひこ)
  
●藤田和夫(ふじた かずお)氏 プロフィール 

昭和24年、岐阜県岐阜市生まれ。
名城大学大学院医薬品分析学科修士課程卒業。
大学卒業後、マルコ製薬株式会社に入社し、
3年勤務の後、藤田商店に入社する。
平成3年に社長に就任し、現在に至る。
ポリシー:「慈愛と感謝の心」
趣味:読書
資格:薬剤師免許、中学1級、高校2級化学の教員免許
 
013b
今回は創業60年以上の歴史がある藤田商店の藤田和夫社長
にインタビューさせていただきました。事業内容から、現在注目
が集まっている環境対応商品カタログ「e-plan」について、そして、
藤田社長の人生観と今後のビジョンを中心にお話を伺いました。

  
   
◆御社の事業内容を教えてください
 
私達の事業は、簡単に言いますと、プレミアム商品や販売促進用の
景品の提案と販売です。具体的な商品としては、季節商品(正月・
クリスマス、夏祭り)や健康・レジャー用品、インテリア雑貨、キッチン
用品、ハウスワーク(防災防犯グッズ等も含む)、ステーショナリー、
アイデア商品、有名ブランドのタオルやバッグなど様々です。
 
これらの商品は「Zee‐Plan」というカタログに掲載し、ギフト小売店、
企画・広告・デザイン関連会社、百貨店を中心に販売しています。
本社は岐阜ですが、支店は岐阜にもう一つ、それから東京、大阪、
広島、福岡にあり、販売地域は日本全国に及びます。現在の商品
数は、全てのカタログを合わせて約1万点、売上高は40億円程度
です。
  
最近特に力を入れていることは、環境対応商品の販売や啓発
グッズ(マタニティマーク、ハンドルキーパー)の販売です。環境対応
の商品のカタログを「e‐plan」といいまして、ここに掲載されている
エコポイントでカタログ掲載商品を購入できるのですね。近年の
環境への社会的な意識の高まりによって、お陰様でたくさんの方々
にご利用いただいています。商品数は現在約800点ほどです。
 
Zeeplan2_3   
「Zee‐Plan」のカタログ
 
Winternow2
季節商品のカタログ

   
  
◆「e‐plan」に関して詳しく聞かせていただけませんか
 
「e‐plan」は実は今から10年前に始めました。環境に配慮をした
商品がこれからは大切だと思ったことがスタートのきっかけです。
初年度の売上は、1億円以上ありましたが、それから2年、3年と
経過していくうちに、どんどん売上が下がっていき、厳しい状況に
なっていきました。
 
そんな時に、私は社員に「もうe‐planはやめようと思うんだけど、
どう思うか」と聞きました。私はやめる気はありませんでしたが、
社員の全員の本当の声が知りたかったんですね。そしたら、みんな
が、止めずに続けよう、と言ってくれたんです。周囲からも「環境に
ついてよく考えている藤田さん」と言われ、親しまれるようになって
きていました。
 
そして本当に最近のことですが、転機がやってきました。私達の
「e‐plan」が経済産業省のエコポイントと交換可能な商品のカタ
ログとして認定され、ホームページで紹介していただくことになり
ました。 有難いことに、環境対応商品をカタログで販売している
会社は私達だけだったので、注目も集まりました。お陰様で、
特に経済産業省のホームページからのアクセスが多数あり、多く
の方々に支援される商品カタログになりつつあると感じています。
  
経済産業省 グリーン家電普及促進事業HP

 
10年やってきて本当に良かったと思います。一般の方々が環境
に配慮した商品に注目していることを実感できて嬉しいですが、
何よりも、止めずに続けてこれたのは、本当に素晴らしい社員や
取引先に恵まれていたからです。有難い限りです。
 
Eplan
環境対応商品カタログ「e-plan」 
 
  
  
◆会社の強みやこだわりを教えてください
 

やはり誠実できめ細やかな対応が強みだと思っています。
仕事の内容上、非常に細かい注意が必要とされます。それを
実行してくれている優秀な女性スタッフが大勢います。また、
長らく環境商品を扱ってきたこともあり、「環境商品は藤田さん」
と周囲から言っていただけることが大きいと思います。そうした
周りの声をいただいて、安心・安全の商品をお届けしている
会社としても認知されていると思います。そして、自己資本が
あつく、資金繰りが安定していることも私達の強みですね。
 
 
◆藤田商店様はこれまでどのように歩まれてきたのですか
  

藤田商店は、昭和21年、祖父の和傘の製造が始まりです。
それから、時代の移ろいに従って和傘製造に加えて洋傘も扱う
ようになっていきました。そして、父はその洋傘をギフトとして
箱詰めにして贈答することにしたんですね。当時、ギフトとして
送る傘は新しい取り組みでした。つまり、祖父は販路を変えたん
ですね。これが大きな成功を収め、会社が伸びていきました。
 
その後、輸入品の傘が大量に日本に入ってくるようになり、傘だけ
を扱っていたのでは、経営が立ち行かなくなってきました。それで、
セールスマンが必要なく、置いてくるだけで営業ができ、コストを
削減できるカタログ販売に注目しました。この時が、昭和62年で
傘の製造を廃止し、現在の姿の基盤ができた頃ですね。
 
018b
 
 
◆藤田社長が代表を務められるようになってからのお話を
聞かせてください

 
私は父から平成3年の9月に引き継ぎました。引き継いだ当時の
私にとっては、自らの言葉で経営理念をどのように表現するかが
最大の課題でした。考え抜いた末に、到達した理念が、「慈愛と
感謝の心」。当時から私には、環境悪化の問題が念頭にありました。
地球を守らないといけない、企業活動を通じて安心して暮らして
いける社会を作っていかなければいけない、命に関わる問題を
考えていくことが最も大切なのではないかという思いがあり、
このような思いを理念に込めたのです。
  
そして、環境へ配慮をした商品を扱っていこう、環境に良い商品の
カタログを作ろう、と思い始めようとするのですが、当時は、社員も
取引先からも反対されました。でも、私は「慈愛と感謝の心」を商品
カタログに入れていきたかったんですね。いろいろと苦労の末に
「e‐plan」の発刊にたどり着きました。
 
003b
藤田商店の岐阜本社
  
 
◆「慈愛と感謝の心」という経営理念にはとても温かい思い
を感じます。藤田社長がこの理念に込められた思いを詳しく
教えていただけませんか?

 
先程少し、お話をさせていただきましたように、環境問題への
思いと安全で安心な社会の実現が常に私の念頭にありましたが、
私がこのように考えるようになったきっかけをお話させていた
だきます。
 
私は小さい頃に小児麻痺を患い、それ以来現在まで足が不自
由な生活をおくっていました。人生を振り返りますと、自分が困っ
た時や苦労している時、いつも自分の傍に助けてくれる人がいま
した。自分一人の力では何一つとしてできなかった、周りの人が
支えてくれてきたから今があると切実に思います。
  
慈愛とは、親が子供をいつくしみ、かわいがるような、深い愛情
のことであり、代償を求めない愛のことです。私は他の人以上に
人に支えられて生きてきました。自分がどれだけ無償の愛をもら
って生きてきたことか、と感じざる得ません。
 
社長に就任した当時、仕入先の結婚式にいきました。そこで、
薬師寺の高田管長が「盲母1本の杖」というお話をされました。
題名だけ見ると、盲目の母親の話かと思うのですが、内容は
少し違います。それは、目の見えない夫を支える妻の話だった
んですね。どんな困難や壁に遭遇しても夫を助け、一緒に生き
ていく強く逞しい妻の姿。
 
この話を聞いた時、私の中で何かが変化し、「慈愛と感謝の心」
という言葉を自分の中から周りに発せらるようになったんです。
正直なことを言いますと、それまで「慈愛と感謝の心」は私の
中にはありましたが、周囲に伝えていくことに関して、躊躇があ
りました。この話がきっかけで私の深い部分に行き渡ったんだ
と思います。
 
022b
  
 
◆これからの事業展開のビジョンは何ですか?
 
まず、商品に関しては、「e-plan」と啓発グッズの拡大を考えて
います。「e-plan」は藤田商店のホームページから見ていただく
こともできますし、現在、約2000店舗のギフト商品の小売店でも
カタログを扱っていただいていますので、そちらでご覧になってい
ただくこともできます。商品販売に加えて、環境保護への活動も
積極的に行っていきたいと考えています。
 
啓発グッズは、マタニティマークやハンドルキーパーのバッジの
販売を行なってます。この内マタニティマークに関する商品を
現在は保健機関や市役所、企業を中心に顧客開拓を行って
います。妊婦さんへの社会的な配慮など、まだまだ浸透してい
ないと感じていますので、こちらも商品の販売と同時に啓発
活動の促進も行っていきたいです。
 
そして、今後の会社経営全体のことを考え、幹部の人材育成
にも積極的に力を入れていこうと思い、研修を予定しています。
  
   
◆具体的にはどういった研修を予定されているのですか?

 
企業戦略がわかるレベルを目指し、それに応じた研修を取り
入れようと考えています。時代の変化と共に、今までやっていた
ことを同じようにしていてはいけない、課題を見つけて解決して
いけるような人材が育っていく企業風土にしていかなければ、
と思っています。明日の藤田の発展を託す幹部候補を育てます。
 
 
◆藤田社長の夢や目標は何ですか?
 
会社のことになりますが、5年後には、年商50億で粗利益2割
の会社にしたいです。それと先程お話した、働く社員の全員が
戦略を持って経営に携わっていける会社にしていきたいですね。
 
 
◆大変素晴らしいお話を聞かせていただきありがとうございました
 
  
****************************
 
藤田社長は周りに助けられて生きてきたことについて、とても
真剣にお話してくださいました。そして何よりも私の心に響いた
ことは、藤田社長の温かいお人柄です。その片鱗というべき
ものは、インタビュー数日後もずっと私の心に残っていたように
感じました。藤田社長のその温かいお心からくる空気が、インタ
ビューに行かせていただいた際に、藤田商店様全体を流れる
安定感に繋がっているのかな、とさえ思えました。本当に
素晴らしいお話を聞かせていただきありがとうございました。
 
記事作成 水谷 翔 (起業家育成塾)
  
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