いちごわさびの徒然草

アニメ大好き! ガンダム大好き! そんなこんなを徒然なるままに・・

<目次> 第1話 から 16話までのリンク / ガンダム外伝

2007-08-31 09:34:42 | [小説]ガンダム外伝

「いちごわさび の ガンダム外伝」

<目次> 第1話 から 16話まで!  (^O^)/

「<第1話>宇宙暦0079年 12月11日・・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/5a747c41d00b1628eb0c8e21e849a9e6
「<第2話>ソロモン海戦まであと13日」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/3657079adce925aa852a122ddf8467dc
「<第3話>敵襲!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/febb0ea54cab1eec8a5e43ef3c1fc04e
「<第4話>ESFSグリフィン 発進!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/442a20813586f90d0374f30ede983102
「<第5話>訓練開始!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/69b4168945e2ac0387709862e531bf2d
「<第6話>MS戦闘論」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/8c95957df215b12e4eb73b298b0bc0f5
「<第7話>索敵!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/261f46ba13114524daf67b7b59e8b46a
「<第8話>初めての戦闘!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/2735929407d935b8ffe65adba543f819
「<第9話>捜索・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/b0d54d30299ac0b2dd3cbc2f50ff1da2
「<第10話>地獄耳?」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/fce28cf5b960fc78bf7e731c7ea0714b
「<第11話>連邦軍の内情・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/4ceb149cd5bc66d3b05140f580d79a39
「<第12話>艦隊戦!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/5eb7d34311a4712d15ee730d4f493f8c
「<第13話>防衛戦!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/4a661111cb22be7e9be5de0507a92b06
「<第14話>軍法会議か?・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/a36a64d8648ab658f376df17dfe7ba33
「<第15-1話>ミルクで乾杯♪(1)」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/1f38217a78c9d455e2bb733d9d36650f
「<第15-2話>ミルクで乾杯♪(2)」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/5ba12ddc048e622954d6182f88797360
「<第16話>お誘い?」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/8c475f90edc1dccae1c3870586d15f11

・・・

<補講>
「ガンダム外伝を楽しむための補講(1)ラグランジュポイント」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/5568bd9e6a727ee790bc1ebec0e0042c
「ガンダム外伝を楽しむための補講(2)MS運用艦グリフィン」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/6db85f7b1fcf391b3f6bfc42d339cbc1
「ガンダム外伝を楽しむための補講(3)MS小隊の構成と運用」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/f1a12da2cbb09456acce246711ca2997
・・・・・


<第16話>お誘い? / ガンダム外伝

2007-08-31 09:33:12 | [小説]ガンダム外伝

<ここまでの話>
「<第1話> から <第12話>までのリンク」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/682baa0483aeeb72a8318be2f14ef424
「<第13話>防衛戦!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/4a661111cb22be7e9be5de0507a92b06
「<第14話>軍法会議か?・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/a36a64d8648ab658f376df17dfe7ba33
「<第15-1話>ミルクで乾杯♪(1)」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/1f38217a78c9d455e2bb733d9d36650f
「<第15-2話>ミルクで乾杯♪(2)」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/5ba12ddc048e622954d6182f88797360


私は、マスミン特務大尉の部屋の前にたどり着いた・・
通路には人影もなく、階も異なる事から食堂でのにぎやかな声も聞こえない・・
何の話だろう? 全く予想もつかないが、参謀に対しまだまだ話しておかねばならない
事も沢山あることは事実だ・・

大きく深呼吸して、参謀の部屋をノックした・・

「だれだ?」

「ワサビィです・・」

「ロックは解除した・・ 入って来ていいぞ・・」

IDカードをセンサーにかざし、ドアを開け中に入る・・
軍艦の中の部屋でもあるので、殺風景ではあるが、やはり女性の部屋だ・・
いい香りがする♪

「遅くなって、申し訳ない・・ 確か、呼んでいましたよね・・」

「ああ・・ 一度、話をして置かねばと思っていた・・」

やはり、待っていたようだ・・ もう少しで忘れるところだった・・
危ない危ない・・
自分の部屋の中でもあるため、マスミン大尉はリラックスした格好だ、
上着を脱いだ白のアンダーシャツ姿に新鮮さを感じる。

「まぁ・・ そこにでも・・」とベッドを指差した・・
彼女は作業机の椅子に座ったまま、椅子を回転させ私の方向に向き合った・・
まぁ座るという表現ではあるが無重力であるので、椅子に吸い付くという
イメージと考えればよい・・・

「幾つか聞いておきたい事と話しておかねばならない事がある・・
 まず・・ 要員の話なのだが・・ MS小隊は要員的に十分か?」

「要員ですか?・・ 現在の5名でメンバーとしては申し分ないですね
 不足かどうかは、今後のミッションの内容によるので・・」

「そうだな・・ ただ、今後のミッションは、ドンドン過酷になると考えてくれ・・
 そう考えると・・どうだ?」

「このグルフィンは1小隊の運用が過不足なく実施できるって設計ですよね・・
 それを前提とした場合、小隊を増やす事は難しいでしょう・・
 ただ・・ カーゴデッキを上手く利用すれば・・
 でも、そうなると・・ 整備の人手が足りなくなります・・
 まぁ、そのような前提が全て解決するのであれば、MSをあと2機追加して・・
 ・・・
 あっ! そういうことか!」

「察しが良いな・・ そういうことだ・・ ルナ2に要望を出す予定だ・・」

「それは良い!、まぁ彼らの希望もあるかもしれませんが、クマ軍曹はグリフィン
 勤務を希望していますよ♪
 なんと言っても、ベテランの下士官が増えるのは、非常に嬉しいことです。」

「まぁ・・サドとマウイの生存者約30名も、現状では補給艦とのコンタクトが
 無い間は、グリフィン勤務とし、整備班など不足部署に配置する。
 何時までも、ただ飯を食わせる訳にもいかんからな・・
 というか、彼らも何時までも医務室にいるのも辛いだろう・・」

「そうですね・・ ボールの若いパイロットも生存者にいるそうです!
 彼女も戦力になりますね♪」

「何? 彼女? 若い? ・・ もう手を着けたのか!!」

「いや・・ 先ほどお話だけはしておこうと思ったのですが、
 その前に、ここに来る予定があったので・・  まだお話も出来ずで・・ 」

「命拾いしたな♪ もし、その若いパイロットちゃんと色々あって、
 ここに来るのを忘れていたら・・ 良かったなぁ・・ 大尉ぃ・・ ♪
 ・・・
 そもそも貴様は、実力と技術はあるのに、口も軽けりゃケツも軽い!
 艦長狙いのようだか・・これは女の勘だ・・ 貴様は艦長の眼中には無いぞ・・
 そして! 副長だが・・ 彼女のほうが貴様より上手だ!
 『おことの教室』を『おとこの教室』と勘違いし、入会した逸話もある♪
 貴様など、彼女にかかれば一捻りだ!
 あと、貴様の隊には、若く可愛い部下達が一杯いるが・・
 隊長として『部下には手を出すなよ!』規律が乱れる!! 許さんからな!」

「わ・・ 解った・・ 解ったから・・」

ふぅ・・ 貴様呼ばわりか・・
というか、マスミン大尉の目が据わっている・・怒らせないようにしないと・・

「まぁ、要員の話はここまでだ・・
 MS隊の編成も変更するかも知れんぞ!そのときは、対処してくれ!
 で・・ すまないが・・
 本日中に、本日の戦闘記録報告書を出してほしい・・ 解ったな・・
 こちらもルナ2に報告しなければならぬ・・ 頼むぞ!
 ルウムまで来るとフォン・ブラウンとの交信が可能になるからな・・」

「ああ・・艦長にも言われている、了解だ・・
 でも本当に今日は色々あった・・ 一つ間違えば生きてないからな・・」

「ああ・・ それも武運だ! 運も実力のうちだ・・非科学的であろうとな・・
 ところで・・ ワサビィのお守りは、誰のだ?♪」

なんだ・・ 今度は呼び捨てかよぉ・・ で・・ いきなりお守りって・・オイオイ・・

「いや・・ 今はお守りは持っていない・・ 昔は持っていたが・・」

「ふうぅ~ん・・ そうなんだぁ・・ お守りを持って無いのか・・ 
 ・・ では・・ 誰の物が欲しい? フフフ・・♪」

「いや・・ 特には・・ ご利益がある人の物であれば・・」

「そうか・・ ・・きっとご利益はあるぞ!♪・・」

「えっ? 何が?・・」

「ふぅ・・  ほんとに種馬ワサビィなのかぁ? にぶちんだなぁ・・ 
 まぁ良いか・・」

「ああっ!大尉! その呼び名!!・・ 誰から聞いたんだ!!」

「誰でもいいさねぇ・・ で・・ マスミンでいいぞ♪
 ・・・
 でな・・ 本題なのだが・・ 作戦の話だ・・ 軍機だぞ・・良いな!」

ん?・・なに?・・今度は軍機(軍の機密事項)ときたか・・
噂の侵攻作戦のことか?・・ 


「実はな・・本日、星1号作戦が発動された。」

「何? ついに発動されたのか・・ それじゃあクリスマスは無くなっちまうな・・」

「何を悠長な事を言っているのか!」

「そうだな・・ サイド6では、クリスマス準備で浮かれ気分になっていたが・・
 ここは戦場だからな・・ ただ・・ 部下達には少しの休息もあげたいものだが・・」

「無い物ねだりは、後にしろ!
 その星1号作戦だが、ジャブローから100隻を越える連邦軍艦隊が打ち上げられる・・
 というか打ち上げが順次開始された・・
 彼らが終結ポイントに集合するまで、衛星軌道上を出来るだけクリアにし制空権を
 保持せよ・・との通達だ・・
 星1号作戦の最初の標的は・・・ 噂とおり、ソロモンだ・・
 ・・・
 レビル閣下(大将)の指揮する第1連合艦隊を始め、ティアンム中将率いる第4艦隊を
 中核とした第2連合艦隊、さらにルナ2からもワッケイン司令の第3艦隊がソロモンに
 向かう計画だ、ルウム戦役を上回る大海戦になるだろう・・
 この戦争を終らせるためにも、星1号作戦は絶対に失敗できない作戦になる・・
 そのため、ソーラシステムとかいう新兵器も投入されるらしい・・
 いよいよ本気という事だ、解るなワサビィ・・ 」

「ああ・・ で・・大尉・・いや・ マスミン・・
 我らグリフィンの任務は? 特命司令を受けていると聞くが・・なんなのだ?」

「最初に会った時に言ったはずだ・・『ソロモン海域ジオン軍の物資航路の切断
 と、第13独立部隊との連携』とな・・しかし、第13独立部隊も特命で動いている
 あちら側からの支援要求が出ない限り、ジオン軍物資航路の切断が主任務だ・・」

「物資航路なんて沢山あるが・・ グリフィンはグラナダとソロモンの航路担当と
 いう訳か?」

「ああ・・表向きはな・・・」

「ん? 表向きとは?」

「星1号作戦が発令されたら、準備をしているのを悟られないよう、
 ジオンの目を引きつけるのが役目さ・・
 グラナダ近辺で、ドンパチやってくれ!・・と言うことさ・・」

「なんだ・・また囮じゃないか!」
 
「しかしな・・ 他にもあるのだ・・」

「他に・・とは?・・」

「・・・ すまん・・ まだ言えぬ・・ ただ、それも重要な特命なのだ・・
 それに対し、協力して欲しい事がある・・」

「それは虫が良すぎるだろ・・ 理由は言えずに無条件で協力しろ・・ってか?」

「理由無しでは、行動できぬか?」

「そりゃ・・ 誰だってそうだろう・・」

「では・・ ここに若い女の子がいて、貴様の好みだ・・ その子が誘ったら?
 理由は不明だぞ?」

「そりゃ・・ 『据え膳食わぬは男の恥』って、爺さんの遺言だ! 家訓でもあるぞ♪」

「ほら!・・ 理由無く行動できるではないか?」

「いや・・理由はしっかりとあるぞ! この私の!、ワサビィの中にな ♪」

「そうだろ・・ だから・・ 
 ワサビィの心の中で、自分で理由を付けてくれれば良いだけではないか・・」

上手い・・ さすが特務大尉だ 伊達ではない・・ 
迂闊にも納得してしまいそうになった・・
おねぇちゃんは棚に上げておかねば・・ 危ない、危ない・・

「いや・・ おねぇちゃんと、今回の協力とは種類が違うだろ? きな臭いしな・・」

「軍機だからな・・ ただ特務の職務として命令する事はできるが、
 出来れば命令ではなく自発的に行動して欲しいと願っての話だ・・
 どうだ? 協力してはくれないか?」

命令になると記録が残る・・ 記録に残したくないから・・自発的な協力か?・・

「・・・ 難しいが・・ そこまで言うのか・・ 協力の内容によるな・・」

「やはり貴様は良い奴だ♪ 協力して欲しい事は・・
 月を一周でよい 月衛星軌道上の巡回を艦長に進言してくれないか?」

「なんだって? 月の裏に回れと言うのか? グラナダにはジオンの月基地が
 あるんだぞ!」

「ああ・・ 解っている・・ 軸は外しても良い・・ 月の裏に回ればそれで良い
 最大船速で突っ走るだけで良いのだ・・ 何か良い案はないか?」

「それはマスミンが艦長に伝えれば良いではないか・・」

「それが出来れば苦労はせん! 艦長の考えはグラナダを出航するジオンの艦船も
 月の引力を利用したスイングバイ航法を取る・・ 
 そのため、フォンブラウン(月の表)側でも、十分に把握する事ができるとの考えだ・・
 グリフィンのクルーを守る事も考えると一番良い方法だと、私も判断する・・
 ・・・
 しかしな・・ グラナダ(月の裏)側に本艦が行かないとと駄目なんだ!!
 ワサビィ・・ 貴様の優れた口先の技術で、なんとか艦長に月の裏にまわるプランを
 進言してくれないか・・」

「即答しかねるな・・ グリフィンクルーを危険に晒す可能性が非常に高いからな・・」

「頼む・・ もう・・悪夢を見るのは嫌なのだ! 解ってくれワサビィ!!」

マスミン大尉の顔は真剣そのものである・・ よほどの事があるのだろう・・
ただ・・ 気にかかる言葉が出た・・ 悪夢とは? なんだ?

「マスミン・・ 今、悪夢と言ったな・・ 悪夢って1週間戦争と関係あるのか?」

「ああ・・ さすがザーン(サイド1)出身だな・・ 察しが良い・・
 私はな、ムーア(サイド4)の出身だ・・ ムーアと言うだけで解るだろ・・」

「まさか・・ グラナダには南極条約で封印された・・」

「皆まで言うな・・ オデッサ作戦の時にジオンはそれを使用した・・
 何らかの方法で、それは阻止できたとの報告だが・・
 この敗戦続きでジオンも後がない。
 2度あることは3度あるのだ・・ 奴らがそれを使う可能性がある・・」

マスミンから聞かされた話は、サイド1やサイド4出身の者には、絶対に
許す事が出来ない事項なのだ・・ 核兵器でのコロニーの破壊・・
民間人に対する大量殺人兵器の使用・・ それは戦争ではない・・
単なる人殺しに過ぎない!

現在、サイド1とサイド4があるラグランジュポイント5(L5)には、ジオンが
アステロイドベルトから運んできた小惑星ソロモンが浮かんでいる・・
私達の故郷でもある空域を、ジオンの奴らがソロモン海域と変えてしまったのだ・・
コロニーに対する核攻撃で・・

「最後に聞きたいことがある・・ なぜ、私なのだ?・・」

「悪いがな、貴様のProfileを見させてもらった・・
 ワサビィって・・ 私の旦那と同い年なんだな ♪」

へぇっ・・ なんだ・・ マスミンは人妻だったのかぁ・・
まぁ良い ♪ 対処可能!! ・・
ん?・・ 待てよ、サイド4出身と言っていたなぁ・・ そうだとしたら・・

「それを知ったら・・・ 急に話しやすいと思ってな・・
 実は私は・・、 人と話をするのが、ホントは苦手なんだ・・
 周りの人がどのように見ているか・・なんてのも気になるんだ・・」

マスミンは話しながら、椅子を立ち、ベットの私の横に並ぶように位置づいた・・
 
「いや、そんな風には見えなかったが・・?
 でも、そんな事、気にしなくていいじゃないか・・
 人は人・・マスミンはマスミンさ、私がワサビィであるように♪」

「そうだな・・
 ワサビィは・・ やさしいな・・
 どうだ? ちょっとぐらいなら ♪・・」

うっ・・ なんだ・・ この展開は・・ 落ち着けワサビィ!!


・・・ ブー! ブー! ブー! ・・
・・・ 艦内通達!、艦内通達!、現在本艦はルウム(サイド5)空域に入りました。
・・・ このまま、慣性航行を継続します。以上・・・

突然艦内放送が流れた・・ タイミングが良いのか悪いのか・・
混乱した頭が、勝手に言葉を作り、口から出る・・

「あっ・・ そうだ! 報告書を書かなくっちゃぁ・・
 忙しいなぁ じゃあマスミン!  第2戦闘配備だが・・オヤスミ♪・・」

私は部屋のドアを開け、あわてて外に出た・・
私の背中にマスミンの声が突き刺さる・・


   「根性無し・・ 」


どうした、ワサビィ、調子が悪いぞ・・ なにやってんの・・ ほんとにもう・・
混乱した頭のまま、私は自分の部屋に入った・・

とにかく、何らかの必要性があって、月の裏に回らねばならないのか・・
最大戦速でも良い・・ と言っていたな・・ 

そうか・・コンタクトか・・ スパイとのコンタクトだ!・・
必要なのはジオン内部の動きか・・ やはりきな臭い・・
記録には残せん訳だ・・

仕方がないか・・ ここはマスミン大尉のためではなく、コロニーに住む
我らスペースノイドのために・・ 一肌脱ぐしかないか・・
と、私は自分なりの理由を見つけ、納得してしまっていた・・

そうだ・・戦闘報告書だ・・忘れんうちに記載しておかねば・・・


<MS戦闘報告書:No.001>
宇宙暦0079年 12月14日
サイド6-フォン・ブラウン、ライン ポイント21530にて、
<概要>
サラミス級巡洋艦「サド」&「マウイ」の2艦がジオン軍MS隊と交戦。
211号機(搭乗:ワサビィ)、214号機(搭乗:ミィ少尉)の2機が戦闘区域に到着時には
既に2艦は大破(撃沈)。
「サド」残兵力RGM-79が1機、敵3機のMSと交戦中。(後述:サド所属のクマ軍曹機)
上記211号機、214号機は戦闘に参加し敵MS2機を撃破。
1機は逃走。推進剤エンプティのため追跡中止。
<小隊の損傷>
ビーム・ガン1丁、シールド1枚、紛失。(のち回収)
<敵兵力>
ザクⅡ(MS-06Fまたはアンテナが無いMS-06Sの可能性あり)肩部にドクロの
   パーソナルマーク、逃走。
ザクⅡ(MS-06R1-A) クマ軍曹のバルカンによるスラスター&機関部の破壊、
   稼動停止。(撃墜確認)
ゲルググ(MS-14A) ミィ少尉のビームガン狙撃で稼動停止。(撃墜確認)
<特記事項>
巡洋艦「サド」所属のパイロット2名(オーリン曹長、クマ軍曹)を救助、2名とも
生命の危険なし。
同時に上記2名搭乗のMS(RGM-79)2機回収、1機は中破、1機は電気系統の故障。
尚、「マウイ」より、2機のボール(RB-79)を回収。 1機は小破、1機は稼動状態。


<MS戦闘報告書:No.002>
宇宙暦0079年 12月14日
サイド5-サイド6ライン ポイント10400にて、
<概要>
索敵機212号機(ヒロ中尉)、211号機(ユカ少尉)の2機での索敵ミッション中に
ポイント707・・ルウムから25000の距離でガトル型宇宙戦闘機と遭遇し戦闘。
     宇宙戦闘機ガトル型1機撃墜(211号機:ユカ少尉ビームガン使用)
ミィ少尉214号機をエマージェンシー発進。
パプア型輸送船を発見。
敵MS3機(ザクⅡ/F型3機)と交戦に、214号機(ミィ少尉)と合流
     ザクⅡ/F型(MS-06F)1機撃墜(211号機:ユカ少尉ビームガン使用)
(補足:パプア型輸送船とグリフィンは同時期に艦隊戦に突入)
敵MS2機増援(ザクⅡ/F型1機、リックドム(MS-09)1機)
リン少尉213号機をエマージェンシー発進。
MS隊4機対、ジオンMS4機でMS戦。
<小隊の損傷>
212号機、右脚部損傷、スラスターノズルの不調
213号機、胸部、左腕部、左脚部の関節部分の損傷
<特記事項>
戦闘報告書:No.001に記載の肩部にドクロのパーソナルマークと今回も対戦。


<MS戦闘報告書:No.003>
宇宙暦0079年 12月14日
サイド5-サイド6ライン ポイント8620にて、
<概要>
戦闘報告書:No.002に記載の補足:
      パプア型輸送船とグリフィンとの艦隊戦に関与した戦闘報告
グリフィンMS隊の全機の出撃中に、太陽位置からの奇襲。
「マウイ」所属の2機のボール(RB-79:2号機サミー曹長、3号機ワサビィ)を
艦の防衛のため出撃。敵MS1機(MS-09)と戦闘。
「サド」所属のジム(RGM-79:2号機クマ軍曹)、基盤修理中、修理終了後、出撃
<敵兵力>
艦のタイプ不明、戦闘艦1隻:退散
リックドム(MS-09):対艦船型、クマ軍曹ビームスプレーガンで撃墜。(確認)
<小隊の損傷>
「マウイ」所属ボール(RB-79)3号機、稼動停止(小破)
<特記事項>
グリフィン所属外機材の使用とMS隊員以外の要員への命令は、有事判断として
ワサビィ大尉が直接命令をくだした。(マメハ艦長へは報告済み)

          以上、記録 グリフィンMS隊ベリー小隊 小隊長 ワサビィ大尉

ふぅ・・ 報告書はキライだ・・ 
しかし・・今日は長い一日だった・・
机の前で目をつぶるだけで、急激な睡魔に襲われた・・

「<第17話>重力発生装置」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/3d6bb92df8da3656451e713dc79d4c6cに続く・・・

(2007/08/31 09:33)


<第15-2話>ミルクで乾杯♪(2) / ガンダム外伝

2007-08-20 10:38:59 | [小説]ガンダム外伝

<第15-2話>ミルクで乾杯♪(2)  /  ガンダム外伝

<ここまでの話>
「<第1話> から <第12話>までのリンク」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/682baa0483aeeb72a8318be2f14ef424

「<第13話>防衛戦!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/4a661111cb22be7e9be5de0507a92b06
「<第14話>軍法会議か?・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/a36a64d8648ab658f376df17dfe7ba33
「<第15-1話>ミルクで乾杯♪(1) 」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/1f38217a78c9d455e2bb733d9d36650f

・・・
<補講>
「ガンダム外伝を楽しむための補講(1)ラグランジュポイント」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/5568bd9e6a727ee790bc1ebec0e0042c
「ガンダム外伝を楽しむための補講(2)MS運用艦グリフィン」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/6db85f7b1fcf391b3f6bfc42d339cbc1
「ガンダム外伝を楽しむための補講(3)MS小隊の構成と運用」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/f1a12da2cbb09456acce246711ca2997
・・・・・

私もその場を離れ、数人づつ集まって談笑しているグループの幾つかを渡り歩いた・・

幾つか回ったが、皆がボール2機でリックドムと互角に渡り合った事を立派だと言う・・
しかし・・ 今から考えると 迂闊な部分が多いと反省する・・結果が良かっただけだ。
180ミリ砲が敵に当った事で気を良くし、ボールに乗っているで事を忘れていた可能性もある。
リックドムが被弾し、右腕が完全でない状態であったから、私はまだ生きている。
ただ、それだけなのだ・・

ボールの使用方法を考えないといけない、狙撃位置からの援護と対艦だけに絞るべきだ・・
そう考えると、戦術のバリエーションが見えてくる。
白兵位置や射撃位置での戦闘以外では、弾数の多さと機動力と180ミリ砲の威力は、
大きな魅力だ!

簡易ポッドとか、丸い棺おけや、動く棺おけと言われているが、使い方を間違えなければ
十分な兵力である事を理解できた。 それが、今回の防衛戦での成果であったといえる。
絶対に白兵状況に持ち込まれないよう・・という前提条件付きなのだが・・

・・・

幾つかのグループの中でも多くのクルーに囲まれているのがクマ軍曹だ・・ 
すっかり溶け込んでいる・・ 適応能力の高い奴だ・・
彼の経験談や武勇伝はきっと、クルー達には新鮮なのだろう・・

「おっ・・ 彼女は?・・」

その傍らに、オーリン曹長が居るのを見つけた・・ そういえばまだ、会話をしてない・・
私はオーリン曹長の元に近づいた・・

「これはこれは、こんなところに、『ルウムの雌豹』殿ではないですか?」

ルウムの雌豹とはオーリン曹長の宇宙戦闘機隊時代の通り名である・・
振り返ったオーリン曹長の顔が微笑みに変わる・・

「誰かと思えば、『種馬ワサビィ』さんでは?♪」

「ちょっと待った・・ その呼び名は勘弁してくれよ・・
 ここでは、その名は知られてないので・・」

「だって・・ まだ癖は直らないのでしょ?」

「へん! 威張るわけではないが、止めると言う事は死ね! という事と同意だ!、
 私にとって、女性とは、3度の食事というか・・ 空気そのものなのかも知れんな!」

「何を威張ってるのよぉ・・ 変わってないわね 中尉♪・・
 あっごめん・・大尉さんになったの?」

「そうそう・・ 気がついたら星が一つ増えちゃって・・」

「じゃあ・・ 無駄なお給料が増えたって訳ね
 それだったらぁ・・ 遠慮なくご馳走になってもいいわよね ♪」

「おいおい・・ 無駄は無いだろう・・ 
 でも・・ルウムの雌豹さまとご一緒するのも悪くないか・・
 今度、都合が付けば、昔の奴らも集めて、例のバカ騒ぎでも再現するか?」

「そうね・・ 出入り禁止になっちゃうけど♪・・」

「あの頃は・・ バカやってたなぁ・・」

「そうね・・ ジオンのザク相手の戦闘だもん・・ 何時やられてもおかしくない・・
 そんな気持ちが無茶な行動出てたのね・・ きっと・・
 種馬ワサビィさんは、適性ですぐにジャブローに降りたでしょ?
 残った私達は、その後もほんとに大変だったんだから・・
 セイバーフィッシュ(FF-S3)も機数が足りなくなり、トリアーエズ(FF-4)で戦え!とか・・」

「なにぃ!トリアーエズだと? あんな小型の鈍足機でか?・・」

「1週間戦争とルウム戦役で、せっかく生き残った優秀なパイロットも、
 十分な戦闘機が無いばっかりに・・ 」

「でも・・ そんな中で、よく頑張ったなぁ・・」

「そうね、種馬さん直伝の力学を無視した体位(機体挙動)のおかげかしら?」

「おっ、あの体位が役にたったか ♪」

「でも、Gがキツくって、腰にくるのよね・・ あの体位 ♪」

「そうそう・・ ♪
 でもなぁ・・ ジオンの降下作戦を止めれなくって
 地球上の制空権の確保なんて・・ ほとんど無理だったもんな・・」

「ほんと・・
 悪夢の6ヶ月だったわよ、ジムの訓練でルナツーに徴集されるまではね・・」

「そうか・・ そうだろうな・・
 ところで・・ 体の方はどうなんだ?」

「ちょっとね・・
 戦闘機は外が見えるだけ良いなって・・ ジムはトランスが落ちちゃったら、真っ暗で・・
 見えない恐怖って・・ 怖い・・ 」

「そうだな・・ 私も先ほどボールで出て完全に真っ暗になったとき・・
 かなりパニックになっていたと思う・・ あの状態で長時間は拷問だよな・・」

「あっ・・聞いた・・ やられちゃったんだって?
 でも、さすがだよ、 直撃じゃなくって、軸線かわしてたって・・
 直撃だったら、終ってるもんね。
 ・・・
 でね・・ 私なんだけど・・ ちょいとね、MSに乗るのが怖くってさ・・
 他人には言わないでよ・・」

「まぁ・・そういう時もあるさ・・ あんまり思い込むなって・・
 メンタル面は難しい問題だからな・・
 で・・ 今後はどうなるんだ、元隊復帰の原則としても・・」

「どうなるんでしょう・・ このまま、この艦に乗せてもらえたら良いのだけど・・
 でも、MS隊の隊長が種馬だからさ・・ ちょっと危ないかも・・って ♪」

「おいおい・・ 私が襲うとでも言うのか?・・ ちゃんと合意の下で・・ ♪ 
 まぁ良いか・・ ただ、最近ちょっと調子が悪くなってな・・ 誰にも言うなよ・・」

「おやおや? そうなの? まぁ年かもね ♪」

「まぁ・・そういうことにしておいてくれ・・
 で・・ 実はさっきから気になってるのだが・・
 クマ軍曹の向こうに居る、パイロットスーツの子・・ あの子は?・・」

「さすが目が早いわね・・ でも駄目よ! 若い子には手を出しちゃ!
 あの子は、巡洋艦マウイ所属のパイロットさねぇ! ボール3号機の持ち主さ!」

「そうなのか・・ それでは挨拶に行かねばならんな ♪」

「どうぞ~ ご自由にぃ やっぱ、かわってないじゃん・・」

「まぁ・・そういうことだ♪ じゃぁな!」

と、クマ軍曹の向こうにいる、若いパイロットに向かっていこうとした時だった・・

「あっ! 大尉!!」

サミー曹長が声をかけてきた・・

「おう♪ これは人気者じゃないか♪」

「そんな風に言わないでくださいよ・・ みんながおだてちゃって・・♪
 でも・・良い気分です。」

「いや・・ 本当に助かった・・ 私1人ではこの艦を守れなっかただろう・・」

「まぁ・・結果よければ全て良しです♪
 そうそう、例のボールの燃料の件・・
 お願いしますよ。そろそろルウムも近くなりましたので・・
 大尉が乗ってた動かなくなったボールもちゃんと修理しておきますから ♪」

「イヤミかよ・・ 
 まぁ、帰ってくるたんびに、整備班に仕事を発注するお得意様になった事は確かだが・・」


「いいえ、少々壊れても良いです、帰ってくれば、あとは何とかしますから・・」
 で・・ ボールの件ですが・・
 通常時はバーニアは使わないでください・・」

「ん? どうしてだ? 高機動がボールの特徴だぞ?」

「実は作業用のポッドとの大きな違いがあったのです。それがバーニアなんですが・・
 私も乗ってみてビックリするような高機動で・・ 
 艦に帰って見てみたら、固形燃料なんです。燃料と言うより指向性爆薬に近い奴で・・
 あんなのを使ってるんですね、動く棺おけとか言われていますが、そんな物じゃないって
 ボールを見直しちゃいました・・ 良く出来ていますよ。ボールって・・ メンテも楽ですし
 ただあの燃料を入手するには・・ 軍の補給で調達するしかないなぁって・・
 ちょっとやそっとでは入手不可能な特別な燃料なんです・・
 ということで、通常時は使用禁止と言う事で・・」

「そうなのか・・ こりゃ正式ルートで入手するとなると、
 正規のMS隊の備品として登録しないと難しいだろうな・・
 整備班の備品としておきたいのは理解できるが・・ バーニア用の固形燃料か・・
 マスミン大尉に頼むしかないだろうな・・」

「やはり、そうなりますか・・
 ただ、私達が使う分には、バーニアはあまり必要ないのですが・・
 ただ、今回のように、敵と遭遇した場合、高機動でないと意味も無いですよね・・」

「さて・・ あれ・・ 参謀殿のお顔が見えないが・・ 知らないか?」

「そういえば、ここにはいらっしゃらないですね・・ 
 お部屋かなぁ?・・ もう時間も遅くなっていますから・・」

「そうか・・部屋かぁ・・ あっ!!・・ しまった!!」

そういえば『後で部屋に来い!』と言っていた!

「すまん! 曹長、色々他の話もある・・ また後で話の時間を作ってくれ!」

「了解です・・ 何時でも良いですよ・・ ご都合の良い時に、カーゴデッキにでも
 来てください。」

「おう! またな!・・」

と、私はクマ軍曹の向こうに居た巡洋艦マウイのボールパイロットへのコンタクトという
重大な任務?も忘れ、あわてて、食堂を後にした・・

しかし・・ 
地球時間でいうと既に夜になっている・・
そんな時間に女性の部屋に尋ねて行って良いものだろうか・・

期待と股間が膨らむ・・ (だからぁ 股間はまずいって言ってるっしょ♪)
やっぱ、死んでも直らない・・・

私は、マスミン特務大尉の部屋の前にたどり着いた・・・・


「<第16話>お誘い?」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/8c475f90edc1dccae1c3870586d15f11に続く・・・

(2007/08/20 10:38)

 


<第15-1話>ミルクで乾杯♪(1) / ガンダム外伝

2007-08-20 10:38:28 | [小説]ガンダム外伝

<ここまでの話>
「<第1話> から <第12話>までのリンク」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/682baa0483aeeb72a8318be2f14ef424

「<第13話>防衛戦!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/4a661111cb22be7e9be5de0507a92b06
「<第14話>軍法会議か?・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/a36a64d8648ab658f376df17dfe7ba33

・・・
<補講>
「ガンダム外伝を楽しむための補講(1)ラグランジュポイント」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/5568bd9e6a727ee790bc1ebec0e0042c
「ガンダム外伝を楽しむための補講(2)MS運用艦グリフィン」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/6db85f7b1fcf391b3f6bfc42d339cbc1
「ガンダム外伝を楽しむための補講(3)MS小隊の構成と運用」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/f1a12da2cbb09456acce246711ca2997
・・・・・


ヒロ中尉の報告は続く・・

「ただ・・
 ドクロ野郎は、戦闘にはあまり加わってなかったような、そんな感じを受けました
 そこに、リン少尉が加わって・・ 4機対4機の同等となったとき、ドクロ野郎が、
 急に活動を始めたのです・・
 現場に到着したばかりのリン少尉にいきなりかかって来て・・白兵戦に突入・・
 すかざずミィ少尉が援護に入りましたが・・ 2×2での戦闘隊形で対応しました。
 『このドクロ野郎! 大嫌い!』って叫びながら援護していました・・
 ただ・・ どうも、本気でないような、時間稼ぎのような・・
 そうそう・・パプア級にミサイルをかましましたよね、見ててもすごかった・・
 やっぱり、クロヒッツ少佐ですかぁ?・・ さすがっすよね・・
 あの一発でジオンのMSの動きが悪くなりましたから・・助かりました!
 ただ、その後のグリフィンからの攻撃が・・ 無いなぁ・・って・・
 あれは、落とせたかもしれません・・」

「まぁ仕方が無い・・ こっちは急に別の方向から攻められたからな・・
 そして、スカート付きが1機、グリフィンに突っかかって来やがって・・」

「ああ・・ 聞きましたよ、隊長とサミー曹長とがボールで対戦したんでしょ?
 ボールでMSと白兵なんて・・ そりゃ無茶ってもんですが・・
 サミー曹長もやるなぁ・・ 戦闘訓練なんて受けてないでしょ・・
 でも、ザク1機にボール2機で互角ってルナツー通信では言ってますよね・・
 相手はスカート付き・・ リックドムか・・
 まぁ・・野獣の隊長なので、互角っすか?♪」

「いや・・ 俺はやられてしまってな・・ クマ軍曹がジムで撃破してくれた・・
 奴は、エースだな!
 で・・ ドクロ野郎の話だが・・ 」

「う~ん・・ 聞いた内容を繋ぎ合わせると・・ 2隻はグル・・
 奴らの罠にはまっちゃったみたいですね・・
 私達も、ひょっとしたら囮かも・・って・・途中で感じてたのです。
 4機ともこちらに回して大丈夫かなぁ・・って逆に心配で・・
 でも、ドクロ野郎を引き連れて、グリフィンに戻る訳にもいかず・・」

「で・・ なんで、囮と思ったんだ?」

「それは、時間を長引かせるような、敵の攻撃パターンなんです・・
 回避中心の防衛戦に入るのですが、なんか中途半端なんです。
 ですから、こちらも、中々決定弾をぶち込めず・・・
 また、こちらが回避し、艦に戻ろうとするコースに飛んだとき・・
 必要以上に牽制され、艦に戻れないように、はめ込まれましたね。
 そうそう・・ 引き際も見事鮮やかでした・・ 
 躊躇せず、一気に退避ですね・・ 」

「まぁ・・ 長引かせて、グリフィンを落とせば、母艦を無くしたMSなど
 ゆっくりと始末すれば良いって考えだろう・・ 
 というか、ドクロ野郎にこちらの力量を見られているようにも感じる・・
 やな奴だ・・」

「そうね・・ この宙域に奴らが居るのなら・・ 潰して置かないといけない奴らね・・
 検討課題だわ・・ じゃお疲れのようだけど、報告書は出しておいてね♪ 」

う・・ また仕事が溜まった・・ 前の報告書も書けてないのに簡単におっしゃる・・
このままでは、ドンドン仕事が溜まってしまう・・ 容赦無しかぁ・・
艦長さまはやっぱり、女王様?
ああ・・ 中間管理職は・・ 辛いなぁ・・・(ぼそっ・・)


「それはそうと・・ ブリッジへの出頭命令から、来るのが随分早かったが・・」

「そんなの、軍人として当たり前の行動っす♪
 艦長殿に呼ばれたら、クソの最中でも、Hの最中でも飛んでいけ!ってね♪」

「そうなの?・・ ごめんなさいね、大事な『H』の最中に呼び出しちゃって・・ 」

「あっ・・ いや・・ 『H』ってのは 整備中のHでありまして・・」

あちゃ~ 中尉よ・・整備はHではなくSだ・・ 貴様の整備は『へいび』か?
気が動転しているぞ・・♪

「いや中尉・・ なぜ、早くここに来れたのか?・・ ということだが・・」

「そうですそうです♪ 実は、手の空いている奴らが食堂に集まって、
 若きエース達の祝勝会を! って事になって・・ 食堂に行く途中でした・・」

「なんだ・・ そうなのか? 早速やってるんだな ミルクパーティ!」

「ハイ! 艦長殿もいかがっすか? ちょっとだけでも顔を出していただけると
 皆が喜びますので!」

「私が行けば、皆が喜ぶの? ほんとかしら?」

「ねぇ・・たいちょ! ほんとぉ~ですよね~♪」

「ハイ・・ 確かに中尉の言うとおりです。艦長は我々みんなの憧れですから♪」

「じゃ! そうと決まれば、行きましょ!行きましょ!
 艦隊勤務は変化が必要! イベント大歓迎ってね♪・・ 」

「そぉ? 良いのかしら? まだ第2戦闘配備中なんだけどぉ・・・ 」

「い~いから い~いから♪」

「でも・・ 第2戦闘配備が・・ 」

・・・

食堂に行くと、ミィ少尉とユカ少尉、そしてサミー曹長とクマ軍曹の4人は
既にヒーローになっていた。
MS運用艦であるグリフィンクルーの意識として、MS隊があっての艦の存在意義
があるのだろう・・
それに比べ、サラミス級巡洋艦など、元々が戦闘艦に対する附帯兵器としての
MS存在の感覚とは大きく異なってくる。
当初から、艦の要員300人の命を優先する考え、間違っているわけではない
しかし、そのような考えであるから、改造し急遽ボールを搭載した艦などは
敵に遭遇すると3機のボールを放置し、ばら撒いて・・・逃げ帰る・・・
そんな話もクマ軍曹から聞いた・・

前提としての考えの違い。やはりこれは大きい。
この運用艦、グリフィンはクルー100人の命も大事だが、MSが無くなると艦の意味が
無くなってしまう。つまり、モビルスーツを主兵器として位置付けられていることが、
附帯兵器やキャリー(荷物)としてではない考えとの大きな違いになるのだ・・ 

訓練の模様を、艦長が艦内放送で流していたのは、艦の全員が我々MS隊の力量を
不安視していた事に対する情報共有としての対策だろう・・
それが訓練から一転して戦闘になり、いきなりMSを1機撃破したミィ少尉
そして本日2度目の戦闘では、またしても初陣のユカ少尉の2機の撃墜、

もちろん、クマ軍曹も鳴り物入りとしての歓迎を受けている。
母艦を守れなかった事実はあるものの、ジオンの奇襲でありクマ軍曹の落ち度ではない・・
評価は、残り一兵になった段階でも、あきらめずジオンに向かっていた事と、
片手片足をなくしたMSでさえザクを1機撃破したことが、さすがベテランパイロットだ!
との評価を上げていた・・
そこに来て、皆の目の前で起きたグリフィン防衛戦でのクマ軍曹の大活躍!
評価はウナギのぼりである。
そして、サミー曹長だが、正規のパイロットではないのに、母艦を守るため出撃し、
クマ軍曹の活躍をサポートした、簡単に出来る事ではない・・

これらの実績により、信頼度が上げる事は当然の成り行きでもあり、
更にグリフィンクルーのチームとしての連帯感も向上する要因にもなっているのだ。

オデッサ作戦の成功から、徐々に連邦軍がジオンを追い込む戦況に移行しているが、
まだまだ連邦の兵士達は一方的にジオンにやられてきた過去を引きずっている事は確かだ・・
そんな中での我グリフィンの初戦での功績に対し、
艦のクルー全員が好意の目でパイロット達を歓迎したのである・・・

・・・

突然ヒロ中尉が壇上に上がった・・

「あ~、あ~ マイクテスト・・ テス!テス!・・」

「いよ~! 待っていました! 大統領!」あちらこちらから野次が飛ぶ。

「ハイハイ! ちょっと注目してね~
 本艦の初陣となる、本日の激戦でヒーロ誕生で~っす!
 ヒーローだよぉ~ ヒロじゃぁないからね♪
 ということで、今日のミルクパーティーっすがぁ・・
 その前に、撃沈されたサドとマウイの英雄達に 『黙祷!!』・・
 ・・・
 黙祷、ありがとうございます。
 では、艦長殿! ということで・・小さく音頭をお願いしやす!!」 

「じゃ! 皆様、お疲れ様です、艦長のマメハです。
 本当だったら、ビールかなんかでやりたいわね ♪
 戦闘区域内でごめんなさいね・・ 今も第2戦闘配置なんだけど・・
 では! 初陣での大勝利と今後のMS隊の活躍&グリフィンの任務遂行と無事を祈って!
 『ミルクでかんぱ~い♪』!」

「かんぱ~い♪!」・・・

決してミルクで乾杯している訳では無い、戦闘空域では、アルコールはご法度だから
ノンアルコールでの乾杯を『ミルクでかんぱ~い♪』と言っているだけなのだ・・
ただ、このフレーズを艦長は結構気に入ったようではある・・・

その艦長だが・・ やっぱり良い艦長だ・・
単にルウムの生き残りと言うだけでなく、人望も厚い事が理解できる・・
この艦は、沈まない・・ そんな風に思えてならない・・
少々「S」の気があるのだが・・ 

ミィ少尉&ユカ少尉、そしてサミー曹長、クマ軍曹の4人は、皆に囲まれ握手を求められたり、
もみくちゃの状況になっていた。
特にミィとユカの両名などは、若いメカニックなど男の子達に囲まれ、モテモテの状態で
2ショット写真をお願いされたり、かなり上機嫌である。 非常に微笑ましい状況だ・・

   まだ・・・ 第2戦闘配備中なんだけど・・・ まぁ良いか・・♪


そんな4人のヒーロー達を眺めていると、ヒロ中尉とリン少尉がやってきた・・

「たぁ~いちょっ! 4人とも凄いっすね♪」

「中尉の言われるとおりです・・ 凄いなぁって 感心しちゃいます・・
 考えると、旧L4方面警備中隊第7小隊の私達3人は、みんなタコなんですよ!
 MSやボールもちょこっと壊しちゃうし・・
 彼らは、3人で本日撃墜MS4機、戦闘機1機の合計5機ですぅ・・ 
 でも・・私達は・・ タコ・・ まんまる・・ たこ焼きで~す・・」

「なんだリン・・ タコ、タコって・・ 落ち込んでいるのか?」

「あっれぇ~え? リンちゃんらしくないっすよ! 2ショット写真撮ってあげよっか?」

「なによ! 落ち込んでなんかいないわよ! バカヒロ!」

「ふぅ~・・ 上官に向かってその発言・・ こりゃかなりへんこんでますなぁ・・
 いつものリンちゃんに戻ってさ・・」

「中尉の言うとおりだ! リン・・落ち込む事は無いぞ!
 MSは壊れても修理できる。
 というか壊れると言う事は、我ら3人が全員、前衛の白兵担当だからな・・
 これは、仕方が無い事だ。 逆に壊れない方が不思議だ・・
 でも、大事な事は『3人とも無事帰って来ている』って事なんだぞ、
 ある意味我ら3人は、やられないから『無敵』なのかもな・・♪」

「もう・・ 真面目にならないでくださいよ・・ たいちょぉ・・ ♪」

「見直したか? まぁ・・ たまにはな! ♪」

「無敵かぁ・・不死身って事っすね・・ でも不死身というか・・
 グルフィンって、鷲とライオンですよね・・ 鷹の羽・・ う~ん そうだ!
 うん!不死鳥! 不死鳥ってかっこ良くないっすか?
 『不死鳥の旧7小隊!』とか? いい感じっしょ♪」

「なによそれ!・・
 旧って一体・・ ちょっとダサダサですぅ・・ すでに第7小隊は無いんだから、
 これからは『不死鳥のベリー小隊』って言われるようになりたいわね
 私達、3人だけでなく・・ あの子たちも含めて・・ 全員で!♪」

「ああ・・そうだな・・
 絶対に死ぬなよ! 我らは不死鳥のベリー小隊だ! 必ず生還することを誓え!・・ 」

「了解です、たいちょ ♪」

「よし! 解散! 各自の獲物を期待するぜ♪」

「よっしゃぁ~ おねえちゃんはどこかなぁ~ ♪」

「もう・・ バカ注意なんだから・・」

「あっ・・ 付いてくるなよぉ・・ 少尉は邪魔ばっかしするんだからぁ・・
 あれ・・ あの男の子・・ 可愛いんじゃない?・・ほら・・」

「えっ? どこどこ? ねぇ・・ どの子?
 ・・・
 あっ・・ 騙したわね!  もう・・ 逃げ足が速いんだからぁ・・」

 


※当SNSの表示文字数の関係から、2つに分けました。(ichigowasabi)


「<第15-2話>ミルクで乾杯♪(2)」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/5ba12ddc048e622954d6182f88797360に続く・・・

(2007/08/20 10:38)

 


<第14話>軍法会議か?・・ / ガンダム外伝

2007-08-09 12:32:36 | [小説]ガンダム外伝


<ここまでの話>
「<第1話> から <第12話>までのリンク」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/682baa0483aeeb72a8318be2f14ef424
「<第13話>防衛戦!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/4a661111cb22be7e9be5de0507a92b06
・・・・・

ボールなど、所詮簡易作業ポッドなのである。直撃を食らったら、今、この時間
この闇の中で考え事をすることなどできてはいない・・  瞬間的に宇宙の藻屑に
なってしまうのだ・・

想像するに、敵リックドムのバズーカ砲弾はクレイバズーカ(散弾)だったようだ、
私のボールの手前で炸裂し、散弾の雨を喰らったのだろう・・・
しかし、当たり所が良かったのか悪かったのか・・緊急用の豆電球すら点灯しない・・
ボールの機能は完全に落ちている・・・ でも・・私は生きている!

「落ち着け! 落ち着けワサビィ・・」

真っ暗な闇の中で私は手探りで脱出装置を探した 異様に時間が長く感じる・・

艦は? グリフィンはどうした!
サミーはボールは大丈夫か!?
ヒロ中尉達のMS小隊はどうなった? 頭の中で思考が渦巻く・・

手の先が何かに当った・・ ん?

「よし! これだ!」 手動脱出装置のレバーだ!
躊躇せず手動脱出装置のレバーを引き抜くと、ボン!という軽い衝撃の後、
前部のハッチが開いた。
ハッチ越しに、外の景色が見えた瞬間、敵のリックドムが目に飛び込んできた。

「なにぃ!」 私はボールのハッチから身を乗り出した
リックドムはジャイアントバズーカで母艦のグリフィンを照準に捉えてやがる!

「やばい! グリフィンが撃たれる!」

と、その時、見慣れたビームの光束が、リックドムを一閃し、バズーカを叩き落した!

「なにだ? 何が起きた?・・」 私はビームが通過した光の筋を目で辿った、 
そこには友軍のモビルスーツ、ジムの勇姿が! その姿は、正に軍神のごとく、
子供の頃に見たTVドラマのヒーローのように輝いて見えた!

この時点で私は、完全にTVドラマの傍観者状態であった・・・

ジムは的確な射撃で2射、3射とリックドムに打ち込んでいく、
しかし、リックドムも手馴れだった、そのビームを巧みに回避する・・
ボールが1機、ジムの援護位置に着き、180ミリ砲で援護射撃を行っている・・
サミー曹長機だ! 無事だったんだ・・ 良かった!

ジムがスラスターをフルで吹かし、ビームサーベルを抜いてリックドムに襲い掛かった。
敵のリックドムはヒートサーベルで受けるが、リックドムの右腕はほとんど可動していない・・
そうか、ボールの180ミリを1発当てた効果が出ているのだ!
確かに考えると、ガンタンクに搭載されている180ミリ砲と同じ威力を持っているのだ
直撃させると1発で破壊させる事も計算上では成り立つ破壊力である。
(もし、あの1発が当ってなければ、先ほどリックドムがヒートサーベルで私に
  切りかかってきた時に、私とボールは終っていたのかもしれない・・
  ボールが単機でジオンのMSと渡り合い、撃破した記録はまだ聞いていない・・)

2機のモビルスーツは、フル加速の状態でもつれるように絡みあいながら
何度も白兵戦闘状態でクロスする・・リックドムは自らのボディをジムにぶつけるのだ。
ジムも負けていない・・ シールドをリックドムにぶち当てる!

ぶつけられてもモビルスーツの外壁が少々へこむぐらいであり、そんな大きな損傷は
出来ないものだが、中のパイロットはたまった物ではない、途轍も無い衝撃を喰らい、
気を失ってしまうのだ・・
連邦軍が本格的にMSを戦場に配置しだしてから、解ったことだが、
「MS同士のどつきあい」で勝敗が決まるケースが意外と多いということだ・・

五体満足ではないリックドムは、ジムとの白兵戦から何度か逃げようと挙動するが、
逃がすまい!、とジムが近距離で食い下がっていく・・
リックドムの右腕が機能しない事を、ジムのパイロットは見抜いているのだ!
バズーカも無い! サミー曹長のボールでの援護もあり、ジムが圧倒的に有利だ!
それなのに、リックドムは抵抗を続ける・・ やはりパイロットの技術はジオンが上か・・

突然リックドムとジムの間で、太陽のようにまぶしい閃光がきらめいた!
一瞬ジムの動きが止まる・・ リックドムの胸部にある拡散ビーム砲だ!
弱いビームではあるが、目くらましとしては十分な効果を発揮する、
多分ジムのモニターは現在ブラックアウトしているだろう・・
その隙を突いて、リックドムがジムにケリを入れる、
ポーンとジムとリックドムとの距離が開いた・・ 

「あっ! 逃げる!!」

そのときである・・
丁度、リックドムがグリフィンの後部に位置した瞬間の事であった・・

突然グリフィンの補助ロケットエンジンが点火され、火を噴いたのだ!
リックドムは、そのロケットの噴出気流に飲み込まれ、キリモミ状態となり動きを停止する
すかさず体制を立て直した友軍のジムが、ビームを一閃・・ リックドムを貫いた!

長時間戦闘の決着は、意外にも一瞬で決まった・・・


・・・

私はサミー曹長のボールに曳航され、グリフィンのカーゴスペースにたどり着いた。
曳航される途中、ヒロ中尉率いるMS小隊が隣のMSデッキで着艦プロセスを行っていた。
数機が被弾しており、かなりやられている機体もある・・ 激戦だったのだろう・・
しかし、全機が無事帰艦したことが、何よりも嬉しい・・ ここは戦場なのだから・・

カーゴスペースでボールを保持索でロックする。カーゴデッキの中には、先ほど
リックドムを葬った、ジムが着艦しており、ジムのハッチからパイロットが
出てくるところであった。
ジムはオーリン曹長機だ・・ パイロットは誰だ! 私はボールのハッチを蹴り
ジムのパイロットの方向に流れて行った・・ 

見たことがある体格・・ 「巡洋艦サド」のエンブレムが付いたノーマルスーツ・・
そうか・・ クマか! クマ軍曹か!!

私はジムから降りてきたパイロットにすがりつき、ヘルメットをくっつけた・・

「クマ軍曹か? どうしてジムに?・・ でも助かった!・・ 援護・・本当に感謝する・・」

「あっ、大尉どの♪ 間に合って良かったです・・ ただ無断で乗っちゃったので
 軍法会議ものなんですがね・・ でも、借りを返す事ができました♪!」

「そうか・・ 軍法会議か・・ そうか・・うん・・ よくやった軍曹!・・」

「えっ? なんか矛盾していますよ 大尉!」

「いや・・ とにかく空気のあるところに行こう・・」

「了解です 大尉!」

私達は気密ブロックを抜け、MSデッキに入る、
MSデッキは4機のジムコマンドの着艦プロセスの実行中であったため、
2Fのベランダから空気のある艦内に入った。後ろからサミー曹長も付いて来ていた・・ 

「クマ軍曹・・ どうしてジムに?」

3人はヘルメットを外しながら体を食堂に流した・・ 
廊下を流れながら、クマ軍曹が続ける・・

「大きな衝撃が何度かありましたよね・・艦はロール運動もするし・・
 看護室にいても、何も出来ないし気分も落ち着かないので、カーゴデッキに行ったのです
 すると、私の機体から外した基盤をオーリン曹長の機体に設置している最中で・・
 稼動確認がしたいから・・ と、整備班の方よりパイロットの方が良いだろう・・とか
 ですから、ジムのコックピットに入ったのですが・・
 そこにサミー曹長からの通信が入り・・
 聞くと、ボールでスカート付きと交戦中とか・・ それからは、何も考えませんでした。
 気が付いたら、艦の外に出ていました、すると、1機のボールがやられてて、」

「そうか・・ そうか・・ うん、うん!
 そうそう、サミー曹長はクマ軍曹と解ったのか? 援護位置に付いていたぞ・・」

「ええ・・ 出てきたジムを見た時は、解りませんでしたが・・ すぐに軍曹から通信が
 ありましたから・・・」

「いえいえ・・ 曹長殿の操縦・・中々の物ですよ、すぐにパイロットになれますね」

「おっ? 軍曹・・ 推薦してくれるか? ・・ でも やっぱり怖いな・・
 逆に今回はパイロットの凄さを体験させてもらったよ・・ ありがとう 軍曹♪」

「いえいえ・・ 曹長殿にはそんな野暮ったいノーマルスーツでなく、
 パイロット用のノーマルスーツの方がお似合いだと思いますがね♪・・」

「そうか?♪ まぁ・・ 一度は着てみたいパイロット用・・ だけどね・・
 我ら整備班は、いつもこれさ・・ こっちの方が慣れているし・・」

作戦が成功した嬉しさか、ついつい軽口が口からでてしまう・・
まぁ、それもミッションの難易度にあわせ、成功した場合の嬉しさに比例し増大するものだ。
話を聞きながら、食堂の給水機から、パックの飲料水ボトルを3つ取り出し
サミー曹長とクマ軍曹にポ~ンと投げ、残りの1つの封を切る・・

「無事、生還! ミッション成功に対し! 乾杯♪!!」

「乾杯!」
「乾ぱ~い!」・・・

「美味い!」 喉が潤う・・

「ふぅ・・ 生き返ったぁ♪・・」

「で・・ だ・・ う~ん・・ 1つ解決しなければならない問題が我々にはあるが・・」

「はい・・」

「クマ軍曹も解っているようだが、このままでは、無断でのMS搭乗になる。
 サドも小隊長も亡くなった現時点では、クマ軍曹の上官は、先任のオーリン曹長だ
 しかし、戦闘隊が他に吸収された場合、その場の上官の指示に従う事も軍規だから・・
 そうなると、軍曹はマメハ大佐の命令が必要になる。
 しかし、オーリン曹長はもちろん、マメハ艦長からも何も言われちゃあいない。
 軍曹の言うように、軍法会議物だな・・ マスミン大尉にばれては大変だ・・
 サミー曹長・・ 私が命令した事にしておいてくれ・・
 あの時点でカーゴデッキ内での先任は私だと思う・・ その旨を整備の連中にも・・
 口裏を合わせておいてくれないか・・ 頼んだぞ!」

「了解です 大尉! 我ら100人の命の恩人を軍法会議なんかにゃかけさせる訳には
 いきませんもんね♪」

「大尉! ありがとうございます・・」

「何を言うのだ軍曹・・ 私の命令に従っただけだよな? 曹長も聞いただろ♪
 貴様は、私に呼ばれて、看護室からカーゴスペースに異動し、ジムに搭乗した・・
 それだけさ♪!
 あとはこっちでやっておく・・ そうそう・・ また撃墜マーク1機追加だな、軍曹♪
 また看護室でゆっくり休んでくれ!  で・・ 本当にありがとう 助かった!
 じゃ!」

さて・・ MSデッキのメンバー達の話も聞きたいが・・ やはり先に艦長への報告だ・・
私は両名を食堂に残し、コントロールデッキに向かった。


・・・

「ワサビィ! なぜだ!」

いきなりマスミン特務大尉が食って掛かってきた・・

「どうして、クマ軍曹が出撃したんだ! ああん?」

「いや・・あれは私の命令で・・」

「嘘だ! サミー曹長とのボール同士の会話を聞いたぞ!
 また貴様にクマ軍曹に対する命令の権限は無い!
 いいかぁ、クマ軍曹がジムで出撃するための、艦長の承認は出ていないのだぞ!」

「いや・・艦長には報告したような・・
 ミノフスキー粒子が濃くって・・ 伝わらなかったかなぁ・・」

「バカ! 何を戯言を! 軍規は何のためにあるのか!」

「いえ・・ だからですね・・ 私が有事判断でクマ軍曹に命令したわけで・・」

「バカ! ノープランだと言っていたじゃないか・・ 無謀な事を!
 ボールでモビルスーツと対戦するなど・・ 勝ち目は無いんだぞ!
 なぜ、そんな勝手な行動を! いつもいつも! 心配したんだから・・」

「えっ? 特務・・ 今なんと?」

「バカ! 何も言ってない! 貴様はいつもそうだ! バカ!」

「いやぁ・・ バカは承知していますが・・ 
 そう何度もバカバカと連呼されると・・ へこみます・・」

「バカ! そういうことを言っているのではない! バカとは付き合えん!!」

と・・ 散々「バカ」と言い残し、マスミン特務大尉はコントロールデッキから
出て行ってしまった・・


「あらあら・・ マスミン参謀、怒っちゃいましたね ♪
 大尉ぃ・・ ちゃんと後で謝っておいた方が良いと思うわよ
 原因は大尉が無謀で無茶をするからです!・・
 本当に心配したわよ・・ みんなが大尉がやられちゃった・・って思ったもの・・」

「艦長・・ ご心配かけて、済みませんでした。
 また、クマ軍曹の事は・・」

「しっ!それは良いの・・ とにかく艦を守ってくれてありがとう♪
 大尉が命令したのよね、そういえば、私も聞いていたように思えるわ
 そうね♪ ミノフスキー粒子が戦闘濃度ですものね♪ 
 考えたら、あの真面目なクマ軍曹が、軍法会議にかかるような重大な軍規違反、
 『1、無断での軍備品の使用』『2、命令の無い戦闘行為』を行うなんて・・
 絶対にありえないものね♪ 誰かさんとは違って♪・・」

「艦長・・ 本当にありがとうございます・・」(でも・・末尾の一言は・・一体・・)

「それにしても、敵はあっさり引き下がったようね・・ 気味が悪いわ・・
 これからも警戒レベルは維持しておくわね・・
 索敵は継続でお願いね、疲れているとは思うけど・・ ルウムも近いし・・」

ああぁ・・ 艦長ぉ・・ あなたはやはり「S」ですね・・
可愛く優しく簡単に、厳しい命令をさらっと言っちゃうの・・


「MS隊の状況も聞きたいわね・・ オペレーター! MSデッキのヒロ中尉に
 ここに来るように伝えてくださる・・
 そして・・ 第2戦闘配備は継続ね! 頼んだわよ!」

「イエス、マム!
 MSデッキ・・ MSデッキ!
 MS隊ヒロ中尉、至急ブリッジまで、ヒロ中尉、至急ブリッジまで・・
 ・・・
 全クルーに通達、第1戦闘配備解除、第2戦闘配備を継続せよ。
 第1戦闘配備解除、第2戦闘配備を継続せよ。 以上!」


「そうそう・・ 艦長・・ スカート付きの野郎にロケットエンジンの噴射を
 当てましたよね・・ あれは?」

「ああ・・あれはクロヒッツ副長よ、突然
 『にっくきリックドムめ!噴射でもお見舞いしてやろうか!』って言うものだから・・
 そうね、やれば出来そうね・・って満場一致で♪ 
 でも・・ほんと、上手く行っちゃいました!」

「そうだったのですか、さすが少佐殿というか砲雷長ですね・・ あれ?少佐殿は?」

「艦内の損害個所の確認作業にあたっているわ・・
 そういえば、副長も随分心配してたわよ~・・ 良いわねモテモテで・・」

「えっ? そんな事は・・ 私は艦長一筋ですのにぃ・・」

「へぇ・・そうかしら? 全くそうには見えませんけどぉ・・」

「なんか、楽しそうな話っすね 隊長ぉ~!
 マメハ艦長! MS隊4機とも無事帰艦しましたぁ!!♪ 」

ヒロ中尉がコントロールデッキに入ってきた・・
疲れもあるだろうが、いつもの中尉だ! 問題は無いだろう・・

「お疲れ様、ヒロ中尉・・ 被害状況と敵の状況を教えてくださらない?」

「了解っ!!
 まず、ユカちゃんすごいっす! ザクを1機撃破です! ガトルも落としてるから
 今日は2機も・・ すごいっしょ! でね!隊長ぉ・・例の・・」

「中尉!・・ 被害状況からっ!」

「うっ・・ す、すみません・・ つい嬉しくって・・ 」

「ちゃんと、報告してっ! ほんとに『注意人物』なんだからっ・・・ もう・・ 」

おうおう・・中尉・・ 艦長のお目玉を喰らったな・・
こいつはケツに轢かれるタイプかもな ♪・・

「大尉! 何をニヤニヤしているのかしら? 何かおかしなことを言いましたっけ?」

「いえ・・ ♪・・ なんだか艦長殿が楽しそうに見えて・・」

「・・・ ♪ そうかしら? で・・ 中尉! せ・つ・め・い・して!」

「あっ! は、はい・・
 被害状況ですが、ジムコマンド私の212号機の右脚部損傷とスラスターノズルの不調
 リン少尉の213号機胸部と左腕部、そして左脚部の関節部分の損傷があります。
 備品はシールド1枚紛失です。
 これらの損傷は、敵モビルスーツとの白兵戦での損傷であり、他にも随所打撃痕は
 みられますが、それらは軽微です。
 なお、ユカ少尉211号機、ミィ少尉214号機とも、数発のザクマシンガンの直撃と
 急挙動から脚部のきしみは見られますが、目立った損傷はありません。」

「ふ~ん・・ ちゃんと、ご報告できるじゃないの♪・・ 続いて状況を・・」

「先ほども、報告いたしましたが、敵ガトル型戦闘機を追跡中、パプア型輸送船を発見
 その後、敵モビルスーツ3機がパプアから発進。
 その時点でパプアとの艦隊戦に入られましたので、艦は艦・・私達はMSを・・と
 私とユカ少尉は私の判断でその3機と交戦に入りました。」

「敵のMSの機種はなんだ? ザクか?、なにか特徴は?」 
と、思わず口を挟んでしまった・・ ひょっとしたらドクロ野郎が・・・

「隊長・・ ザクⅡのF型が3機です。その後、ミィ少尉が合流してくれたので
 防戦状態だったのが、互角以上になり、ユカ少尉がザクを1機撃破しました。
 すごいっすよ・・ 狙撃位置ではなく射撃位置で、白兵戦チェンジの最中に
 後方援護のザクをしとめちゃってます。 良く見てたなぁ・・って、感心っすよ
 ほんと、ミィちゃんと言い、ユカちゃんと言い・・ 同じ日に生まれた同士って
 なんか繋がってるんですかねぇ コンビネーションが的確で・・
 後ろを任せられるって楽っすよねぇ♪ あっ、すみません・・ 続けます!
・・・
 その後、2機のモビルスーツが飛び出して来て・・ 敵は4機になりました・・
 丁度、ミサイルを撃つのと同時に飛び出してきたので、最初はMSと認識できず、
 実は、数発喰らっちゃいましたが・・ 私が白兵戦に入っても、ミィ少尉とユカ少尉の
 コンビネーションでの援護は、非常に戦いやすく、3対4の戦力差も苦にならず、
 大きな戦力差にはなりませんでした。
・・・
 そうそう・・1機はリックドムですが、もう1機は・・・ 隊長・・ ビンゴです!
 奴でした・・隊長がおっしゃってた、ドクロ野郎です。」

「やはり、居たか・・ それを先に報告しろ!・・」

「だからぁ、最初それを報告しようとしたのにぃ・・ 
 あっ! 艦長! 気のせいです、今の発言は・・」

「えっ?なぁに? ちょっとこの辺、ミノフスキー粒子が濃くって・・♪
 じゃ・・ 続けてね・・」

ミノフスキー粒子は・・ 万能か?・・♪
まぁ・・ この場合は良い使い方だが・・ 艦長もなかなかやるなぁ・・

「<第15話>ミルクで乾杯♪」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/1f38217a78c9d455e2bb733d9d36650fに続く・・・

(2007/08/09 12:32)