いちごわさびの徒然草

アニメ大好き! ガンダム大好き! そんなこんなを徒然なるままに・・

<第2話>ソロモン海戦まであと13日 / ガンダム外伝

2007-04-27 19:49:07 | [小説]ガンダム外伝

<前回の話>
第1話「宇宙暦0079年 12月11日・・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/5a747c41d00b1628eb0c8e21e849a9e6


マスミン特務大尉からの異動通知を受取り、そこにサインをしたが・・
こんな紙切れ一枚でチェスの駒のように扱いやがる!ジャブローの奴らって一体・・
まぁ空調の効いた部屋でフカフカの椅子に座って、ふんぞり返って判子を押す・・
それだけなんだろうなぁ・・ 奴らは宇宙(そら)にあがった事があるんだろうか?
宇宙に上がらずして、一体何が解るんだろう・・ そんな減らず口も叩きたくなるが

気が付くとグリフィンのモビルスーツデッキは、人が少なくなっていた。
なんやら、反対側の港に船が到着したらしい・・
こう、頻繁に上がってくる所を見ると、そろそろ大きな海戦があるのかもしれない・・

「うひょ~! 隊長~ぉ! こいつすごいっすよ!」
新型ジムの所に行っているヒロ中尉だ・・ やはり新型には興味がある。

「なにが、すごいんだ?」

「この数値! 見てください!」
それは、新型ジムのスペック表であった・・
---------------------------
■ジム・コマンド宇宙戦仕様 
 型式番号  RGM-79GS 
 頭頂高  18.0m 
 本体重量  44.6t 
 全備重量  75.0t 
 ジェネレーター出力  1,390kW 
 スラスター総推力  74,000kg 
 装甲材質  チタン・セラミック複合材 
 武装  ビーム・ガン、ビームサーベル、60mmバルカン砲x2
 装備 シールド
---------------------------
「ほう! これはすごいな・・
 白い悪魔のガンダムと呼ばれる試作機より、スペック上は上の数値じゃないか!」

「そうなんですよ! 今まで乗っていたRGM-79は、ジェネレーター出力  1,250kW
 スラスター総推力  55,500kgって所でしょ・・それが1,390kW  に74,000kg っす
 また、何がすごいのか!ですが、ビーム・ガン標準装備っす!
 巡洋艦クラスのビーム兵器っすよ! ザクやリックドムなんていちころっすね!」

「そう簡単にはいかないわよ・・
 今まで私たちが使ってきた、ビームスプレーガンより、
 ビームの収束率が上がっているのでしょう? つまり命中精度が下がるって事・・
 早く熟練テスト飛行を行うべきですね隊長?、我々の戦場はソロモンですから・・」

「そうだな・・ テストは・・ えっ? なに? ソロモンだって?」

「隊長ぉ・・・ またやりましたね! どうせ、マスミン特務大尉に見とれてて
 全くなんにも聞いてなかったのではないでしょうね?!」

「いや・・ そんな事はないぞ・・ うん・・ ちゃんと聞いていた・・
 なぁ・・中尉!」

と、ヒロ中尉を探すが・・ 一体何処に行ったんだ・・さっきまでここに居たのに!

「たいちょ~? 聞いてなかったでしょう?・・」

「いや・・ 我々は新型ジムでこの船の所属になるんだろ?」

「それからぁ?」
いやはや・・ まいったぜ! 確かに聞いていない自分も悪いのだが・・
ここは大人の対応だな・・

「すまん、特務大尉のお言葉を復唱してくれ・・」

「やっぱり・・ 思ったとおりだわ!  でね・・」
・・・ とリン少尉から話を聞いた・・ 大変だな・・ ソロモン掃海かぁ・・
ジオンの船がうようよしているし・・ 13独立部隊と連携だって? あのガンダムとか?
それは楽しみでもあるな・・

話を聞き終わって、深刻な状況に追いやられている事が解ってくる・・(解るのが遅い)
暫くは、平和な中立コロニーの酒場のおねぇちゃんともオサラバかぁ・・

さて・・ そうなってくると話は別だ・・ 我々の装備について調査し、理解しておく
必要がある・・ まずは新型のジム・・我々の武器はこれだけと考えた方が良いだろう

「そうだな・・ 本来の受領予定だったRGM-79Gと同じスペックと思っていたが・・
 そのジムよりも、スペックが上だな・・ このMSはじゃじゃ馬だ!・・
 また1人の補充要員もいるのか、3機ではなく4機の戦闘体系訓練も必要だな・・
 特務大尉に訓練実施を進言しよう
 すまんが、少尉は訓練計画案を作成しておいてくれ!」

「了解しました・・ プランを作成し、後でメールで送付しておきます! では!」

リン少尉がその場を離れていった・・

グルっと周りを見渡した・・ 
以前乗艦した事があるコロンブス級に比べ、少々狭く感じる・・
ジムを立てて積み込めば片方で25機は入るカーゴスペースが、異様に狭い・・

4機のジムコマンドGSを整備するデッキが4つ・・ 射出用の簡易カタパルトが
1機・・それにMS用の兵器庫と弾薬庫・・確かに場所を取る物が多いのではあるが

ふと、ジムコマンドGSの胸部に人影を見かけた・・

「誰か居るのか?」

「はぁ?・・・・」

「何をしているのかね?」

「ジムに識別マーキングをしています!こいつは独立21の3号機だから 213です」

「なるほど・・ じゃあ私の機体は 211号機か?」

「えっ・・ あっ! MS隊のワサビィ大尉でありますか!
今後とも宜しくお願いします! 整備班長のサミー曹長であります!」

「いやいや、そんなに硬くならんでも良いから・・で、聞きたいことがあるんだが
どうもこの船のカーゴデッキというかモビルスーツデッキが狭いように感じるのだが」

「ああ・・ それはですね・・ 元々補給艦の設計ですので、壁が薄っぺらなんです
 ですから、内壁を二重強化し、三重隔壁化されています・・
 強度はマゼラン級ですよ・・
 また、外壁には対ビームコーティングを試験的に施しています
 ジオンの新型MSは、どうやらビームライフルを携帯しているとの情報があるそうで
 まぁ、本艦は一種の実験艦でそのための戦略行動も計画されているようですね・・」

なるほど・・ だからジムも最新型だし、特務大尉の乗艦も理解できるか・・

「そういえば・・ 副長のクロヒッツ少佐・・ 砲雷長とか・・?」

「ああ・・ 本艦にはビーム砲が1門、ミサイル8本が装備されています
 あとは・・上部と前部に重機銃が2機ずつ、後部は上部機銃でカバーですが・・
 大尉・・ 下部を敵に取られないようお願いしますね
 下部を狙われたらおしまいです・・ 女と同じで、下から狙えってネ」

「そうか・・ 少佐殿は下半身を狙えば良いのだな・・♪」

どうやら、お仲間が出来たようだ・・ ヒロ中尉にも伝えておこう・・

「あっ! 大尉! このジムの肩の部分に、部隊マークでも入れましょうか?
 何かマークはありますか?」

「いや・・ 今はマークは無いが・・」

「じゃ、思いついたら言って下さい! すぐに書いちゃいますね!」

「おう・・ そのときは、酒でもおごらせてもらおう!
 そうだ・・ さっきまで沢山いたが、みんな何処に行ったんだ?」

「ああ・・ シャトルが向こうの港についたでしょう・・
 あれに新型ガンダムの本体が載ってたんだそうです・・
 我々はおとりだったようで・・」

「なに? おとり・・?」

「どうやら、北極基地がジオンに攻められたようで・・
 ジオンには新型の情報が漏れているようですね・・」

「じゃあ・・このコロニーも危ないのではないか?」

「だから、ここなんですよ・・ なんせサイド6は中立だし・・
 良く見てくださいよ・・ 銃口に張り紙がしてあるでしょ?
 形式上はドンパチ禁止で、軍事行動は取れないはずなのに
 こうして我々は軍事行動の準備をする事が出来る・・・
 ジオンも一緒です
 金さえ払えば、なんとでもなんですよね・・  ああ・・ 嫌だ嫌だ・・」

「まぁ・・ 政治の事は解らんさ!」

確かに・・戦争中に中立を貫くのは容易ではないだろう・・ しかし金とはなぁ・・
少々解せぬ気持ちを押さえつつ、私は、モビルスーツデッキから居住区に向かった・・

・・・

居住区は簡素な作りだった・・ それは仕方がないが、せめて簡易重力発生装置は
欲しいと感じる・・ 長時間の乗艦ではやはり重力がいとおしいものだ・・
このあたりが、この実験艦の課題になるのだろう・・
宇宙酔いにでもなってしまったら大変な事になる、医学の力では直せない不治の病だ、
また、人間の足は第2の心臓とも言われている、つまり重力下で歩く事で、
足に溜まった血液を心臓に戻す事が楽に行えるのである。
更に重力場が無いという事は、食事が宇宙食になる・・これも辛い・
やはり設備が整っているペガサス級の揚陸艦やマゼラン級の戦艦が羨ましくなるが、
それらの居住区の擬似重力発生装置も回転直径がコロニーのように決して大きくは
ないので、船酔いになってしまうのだが・・ 無いのと有るのでは雲泥の差がある。

トレーニングルームには小型の重力発生装置があるだろうが、あれは自分が
ハムスターになったような気分になるので・・ どうも好きにはなれない・・
しかし、お世話になるしかないようだ・・ 贅沢は言えない・・

ふと救護室から声が聞こえて来た・・

「これ! おいしいっすよねぇ~!」

聞き慣れた声だ・・ 間違いない・・

「で・・ 少尉は何処の出身なんすか?
 やっぱりなぁ・・ あそこは美人が多いっていいますからぁ!」

中尉・・絶好調だな どうやらいつもの病気か・・

「ヒロ中尉! 何をしとるか?!」

と救護室の扉を開けた・・ 
そこには2人の少尉に囲まれてヒロ中尉がいちごを食べていた最中であった。

いちごは私の大好物である!

「おい! いちごじゃないか! 中尉! まだあるのか?!」

「隊長・・ 遅いっすよ・・ 救護班のコンペット准尉の差し入れだそうで
 実はこれが最後です・・」

とかじりかけのいちごを私の目の前に差し出した・・

「キサマァ・・ 俺との付き合いは長いくせに・・・
 俺がいちごには目が無い事は知っているだろう!!
 どうして残しておかないんだ!」

食べ物の恨みは怖いのである! これは中尉にペナルティをあたえねば!

「ヒロ中尉! モビルスーツデッキで作業中のサミー曹長の作業を手伝って来い!」

「はぁい・・ 了解でありま~す・・ 隊長どの・・」

「サミー曹長は、出航時からこの艦に乗り組んでいる・・ 色々と情報が聞けるぞ」

「ん? そうでありますか?」

「ああ・・ 多分、気が合うはずだ・・ お仲間かもな ♪」

「はっ!ただ今よりモビルスーツデッキにて情報収集任務を遂行してまいります!
 お二人さん・・ また後でね~ ♪」

ヒロ中尉は残ったいちごをポイっと口にほおばり、モビルスーツデッキに流れていった・・

「あのぉ・・ MSパイロット記章をつけておられる大尉ってぇ・・ 」

ヒロ中尉と一緒になって、いちごを食べていた2人の少尉の1人が声を掛けてきた

「あ・・申し訳ない・・ 自分の部下が粗相をしませんでしたかな?お嬢さんがた
 私は本日からこの船のMS隊を任された、ワサビィというケチなおやじで・・
 こんなお嬢さん方が乗られている船とは・・私も運が向いてきましたかな♪
 どうですか? 今晩、一緒にお食事でも・・」

「あっ・・やっぱりワサビィ隊長ですね・・ ナンパしているしぃ・・ ♪
 私、今度、MS隊に配属になりましたミィ少尉です。
 宜しくお願いいたします。」

えっ・・ しまった・・ 自分の部下をナンパするところだった・・
あぶない、あぶない・・(というか、ナンパしかけてたじゃないか・・)

「ふふふ・・ やはりお噂の通りの隊長ですね・・
 私はMS隊オペレーターのユカ少尉です、以後お見知り置きを!」

うっ・・ こちらも部下だ・・MSオペレータはMSには乗らないものの
小隊の一員である・・
先にマスミン大尉に紹介してもらっておけば、こんな自体にはならないものを・・
ヒロ中尉もヒロ中尉だ・・ ちょっと一言言ってくれれば・・

「そ・・そうか・・ 2人は私の配下になるんだな・・
 うん・・ こちらこそ宜しく・・
 あ・・ 新型のジムのスペックは確認しているか?」

「はい、ルナ2からの航海中に、慣らし運行を各機10時間ずつ実施しておきました
 ユカ少尉もパイロットライセンスを取得されていますので、交代勤務で乗務しました」

「誰がそんな危険な事を! 君たちは士官学校を出たところだろ・・
 実戦経験はあるのか?
 確かに我々連邦軍はジオンをソロモン、ア・バオア・クー、グラナダ、サイド3に
 押し込んではいるが、隠れジオンが、何処に出るか解らんのだぞ!
 もしジオン軍と遭遇したらどうするのか!?
 MSはどうでも良い! でも、お前らの命は1つしかないのだぞ!
 命を粗末にするような奴は、私の隊には必要ない!
 以後、そのような行動は絶対に取らないよう、注意する事! 以上だ!」

戦争なんだぞ・・ やられたら死んじゃうんだぞ・・ もう私の隊から不幸な奴は
絶対に出してはいけない・・ 絶対に・・

そんな事をつぶやきながら、リン少尉に依頼した訓練計画を早く提出しなければ
ならないなぁ・・ と考えていた・・

「さて・・ いちごは何処だ・・ コンペット准尉とか言っていたなぁ・・」

悩み多き年頃である♪

「死んでも直らんなぁ・・」

                        ソロモン海戦まであと13日・・

「<第3話>敵襲!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/febb0ea54cab1eec8a5e43ef3c1fc04eに続く

(2007/04/27 19:49)


<第1話>宇宙暦0079年 12月11日・・・ / ガンダム外伝

2007-04-24 19:11:43 | [小説]ガンダム外伝


飲料水ボトルの先から水が球状になって空中に浮き上がった・・
その水玉を指で飛び散らないようにそっと口に運びゴクンと飲み込む。
このような飲み方は、無重力地帯ではやっちゃぁいけない事なんだけど・・
なんか好きでついやっちゃう、細かく分散しちゃうと水滴が機器に付着して
調子悪くなっちゃうんだよね~ って

ここは、ラグランジュポイントL4を周回する、中立のサイド6リボーコロニーの
中心部・・ つまり、コロニーの遠心力が働かない中心部分にある宇宙港だ、
もうすぐ、私達の新型モビルスーツが到着する。

まぁここは中立サイドであることから、我々連邦軍もジオン軍も駐留軍という
形で駐留している・・おかしな話だが、酒場にいけばジオンの兵士もいたりする
まぁ、このコロニー内でのドンパチは禁止されているのだが・・平和なもんだ・・

「ワサビィ隊長ぉ! 来たっす! ほらあそこ!」

メカニック上がりのパイロットである、ヒロ中尉が指差している先に
コロンブス級輸送船が見えた・・ ん?やはり丸腰では無いな・・
ベースはコロンブス級の船だが、ビーム砲を装備し、両翼にはミサイル発射管も
見える・・ ペガサス級の揚陸艦運用で結果が出たのだろう・・
確か・・ホワイトベース・・とか言ったっけ・・ 随分の武勲を上げているとか・・
コロンブス級を改造し、小型のMS運用艦に改装されているのだな・・と
色々思っているうちに、輸送船はデッキに着岸した・・

「さて、かわい子ちゃん達を受け取りに行きますか!」
我々3人は軽く床をけって輸送船方面に流れて行った・・

船に近づくと、なにやら厳重な警戒態勢である・・
「おい! そこの貴様たち! 官姓名を名乗りなさい!」

「我々は地球連邦軍L4方面警備中隊第7MS小隊、私は小隊長のワサビィ大尉だ!
 そして、パイロットのヒロ中尉とリン少尉だ!
 我々のモビルスーツを受領しに来た!」

「そう・・ ただ、ちょっと待ってくれる?・・先に搬送するMSパーツが1体あるの・・」

「ああ・・じゃ・・ ここで待たせてもらうぜ!」

「いや・・ 軍機なので・・ センター内で待機していただきません?・・」

「なんだって? 何が軍機なんだ・・」

「ここだけの話ですよ・・
 エスパー部隊って噂のホワイトベース隊に送る機体らしいの・・」

「なに? ガ・・ ガンダムなのか?」

「ええ・・ NT-1というらしいわ・・」

「そ・・ そんな奴に乗りたいっすよね大尉!」

「無理よ無理!
 普通の人間には扱えないわ・・ あれを使えるのは人間ではないって・・」

突然、頭の上から

「クロヒッツ少佐! 何を部外者を入れているの? 即刻退去させなさい!」

「あれ・・ まずいわ 艦長のマメハ大佐に見つかった!・・  早くセンターへ!」

「はいはい 少佐どのぉ~♪・・」

ヒロ中尉の悪い癖だ・・ もう軽口を叩いている・・ 
そういう私もそうかもしれない・・ 通常で言えば大尉だと、中隊長クラスである・・
それが、第一線でも無い、しがない中立コロニーの警備小隊の小隊長だ・・
まぁ・・ 女癖の悪さが災いしている事は重々承知しているのだが・・
これだけは死んでも直らん

「中尉・・ 見たか♪・・ あの艦長・・中々のもんだぜ!」

「おっ・・ 隊長は艦長狙いでありますか? 自分は、少佐殿狙いという事で・・」

「いたたた!!」 突然臀部に激痛が走った! 中尉と同時に後ろを振り返ると・・・
目を吊り上げた少尉がそこに・・

「だからぁ、隊長も中尉も出世しないんです! 女を見たらすぐ鼻の下を伸ばしちゃて!」

しまった・・ リン少尉が居たんだ・・
どうも、本部が私たちの2人のお目付け役に配備したとしか考えられない・・
まぁ、MSの腕は、そこそこだが宇宙戦の感は良く、ジムとの相性も良いようだ・・
でも・・ 何かと、我々の行動にチェックを入れてくる・・ 

「ひょっとしたら 焼いてんの~」・・ またヒロ中尉の軽口だ・・
「ばぁ~か!」・・ これが上官に対する口の聞き方だろうか?と思いつつも、
これが、我「L4方面警備中隊第7MS小隊」のカラーなんだろうな・・
と笑みがこぼれた・・

・・・

「隊長・・ どうもあの船、あやしいっすね!」

「何が怪しい?」

「さっき積荷を下ろしたあと、我々のMSを降ろしてません
 なのに物資の補給を行ってます・・  手順が変!・・
 また、チラっと見えたんすが・・ あのジム・・ 違う装備っす・・」

「どう違うんだ?」
さすがにメカニック上がりである・・ 着目点が鋭い・・

「私たちが今まで乗ってきたジムの新型には違いがないんですが・・
 コロニー防戦用って奴はコロニーを破壊しちゃいけないんです
 だから装備はマシンガンなんです・・
 なのに・・ ありゃビームライフルっすよ・・
 またランドセルは大形でスラスターが付いてるし・・外宇宙を航行する奴です」

「確かに、我々のお目当ての機体とは違うようだな・・
 じゃあ・・ なぜ、我々はここで待機しているんだ?
 やっぱり、あれは我々の機体なのか? 中尉どう思う?」

「だったら、積荷として降ろすでしょう・・
 なのに、まるで戦闘配備のようにハンガーで待機しているようにも見えます!
 ほら・・ 艦長さんが走り回ってる・・  ん? 艦長さん・・ 大佐だっけ?・・」

「そうですよね・・ 考えると輸送艦の艦長が大佐って変ですよね・・
 通常なら輸送艦クラスの艦長は少佐が順当です・・」

「つまり、戦艦並みの待遇・・と言うことか? 少尉?」

「ハイ・・ 副官に少佐を配置もちょっと重大ですね・・・・
 更にすごいのを見つけちゃいました・・ あそこに憲章付きが居ます・・」

「えっ? 憲章付きだってぇ?・・ どこどこ??」

「ほら・・ 中尉・・ MSデッキの奥に・・」

「あっ・・本当だ・・居た! ありゃぁ特務大尉っすよ! こりゃ大事だ!!」

特務大尉という事は、中佐相当の権限を持つという事・・ 参謀である・・
戦艦でも無いのに・・あまりにも場違いだ・・
やはり、あの船には何かがあるのだろう・・
我々はセンターの窓越しに悶々とした時間を過ごすしかなかった・・

しかし、まだ誰も自分達とは全く関係ない世界の話だと思い込んでいた・・

突然・・

ブーブーブー「第7MS小隊は至急グリフィンMSデッキに集合の事!」・・

「なんだよ・・ 呼びつけか?・・」

「隊長・・ あの船 グリフィンって艦名なんですね・・」

「グリフィンって伝説の竜っすよね! なんかかっこ良いや!・・」

隊員は好き勝手な事を口にしながら、壁をけりMS運用艦グリフィンのMSデッキに
流れていった・・  そこには、先ほどの特務大尉が待っていた・・

「ジャブローから君たちL4方面警備中隊第7MS小隊に対し、辞令が発令されています!
 私は、特務のマスミン大尉です! 心して聞いてください!
 本日ヒトヨンマルマル時より、ワサビィ大尉以下2名はL4方面警備中隊から排し
 第21独立部隊 MSグリフィン隊として任務に着任する事。
 主な任務はソロモン海域のジオン軍物資航路の切断と第13独立部隊との連携であり
 第21独立部隊はMS運用艦グリフィンと新型ジムコマンド4機で編成される」
 以上! 何か質問は?」

「ハイ!」

「リン少尉、なにか?」

「我々は、今から、この戦闘艦乗務になるのですか?」

「そのとおりよ!
 作戦参謀は私です、また艦長はマメハ大佐で・・砲雷長はクロヒッツ少佐です
 他には質問は?」

「ジムが4機との事ですが、我々小隊は3人です、1機は補機でしょうか?」

「1名パイロットが配属されます、ミィ少尉ですが、後で紹介します。」

「MS隊のオペレータはどなたが?」

「ユカ少尉が担当されます・・ ミィ少尉と一緒に後で紹介します・・ 他には?」

「独立部隊って言いますと・・
 第13部隊のガンダムや第18部隊のガンダム4、5号機など伝え聞いています
 我々21独立部隊にはガンダムタイプが運用されるのでしょうか?」

「我々の運用艦はペガサス級ではありません・・
 ガンダムタイプの運用は特殊なメンテナンス設備が必要で当艦には設備がありません
 搬送を行う事はありますが・・運用は不可能です」

「了解であります・・」

私と中尉は目を見合わせていた・・(リン少尉の質問などは全く耳にも入らず・・)
その目は「この特務大尉さんは、どっちがお相手するの~?」という今まで通りの目で、
やはり死んでも直らんようだ・・

そのような状態である事からも推測できるが
これから起こる事の重大さには、誰1人として気が付いてはいなかった・・・


「<第2話>ソロモン海戦まであと13日」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/3657079adce925aa852a122ddf8467dcに続く

(2007/04/24 19:11)