いちごわさびの徒然草

アニメ大好き! ガンダム大好き! そんなこんなを徒然なるままに・・

<目次> 第1話 から 18話までのリンク / ガンダム外伝

2007-09-25 19:39:26 | [小説]ガンダム外伝

「いちごわさび の ガンダム外伝」 第1話 から 18話までのリンク

<補講>
「ガンダム外伝を楽しむための補講(1)ラグランジュポイント」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/5568bd9e6a727ee790bc1ebec0e0042c
「ガンダム外伝を楽しむための補講(2)MS運用艦グリフィン」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/6db85f7b1fcf391b3f6bfc42d339cbc1
「ガンダム外伝を楽しむための補講(3)MS小隊の構成と運用」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/f1a12da2cbb09456acce246711ca2997

<目次> 第1話 から 18話まで!

「<第1話>宇宙暦0079年 12月11日・・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/5a747c41d00b1628eb0c8e21e849a9e6
「<第2話>ソロモン海戦まであと13日」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/3657079adce925aa852a122ddf8467dc
「<第3話>敵襲!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/febb0ea54cab1eec8a5e43ef3c1fc04e
「<第4話>ESFSグリフィン 発進!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/442a20813586f90d0374f30ede983102
「<第5話>訓練開始!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/69b4168945e2ac0387709862e531bf2d
「<第6話>MS戦闘論」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/8c95957df215b12e4eb73b298b0bc0f5
「<第7話>索敵!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/261f46ba13114524daf67b7b59e8b46a
「<第8話>初めての戦闘!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/2735929407d935b8ffe65adba543f819
「<第9話>捜索・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/b0d54d30299ac0b2dd3cbc2f50ff1da2
「<第10話>地獄耳?」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/fce28cf5b960fc78bf7e731c7ea0714b
「<第11話>連邦軍の内情・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/4ceb149cd5bc66d3b05140f580d79a39
「<第12話>艦隊戦!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/5eb7d34311a4712d15ee730d4f493f8c
「<第13話>防衛戦!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/4a661111cb22be7e9be5de0507a92b06
「<第14話>軍法会議か?・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/a36a64d8648ab658f376df17dfe7ba33
「<第15-1話>ミルクで乾杯♪(1)」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/1f38217a78c9d455e2bb733d9d36650f
「<第15-2話>ミルクで乾杯♪(2)」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/5ba12ddc048e622954d6182f88797360
「<第16話>お誘い?」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/8c475f90edc1dccae1c3870586d15f11
「<第17-1話>重力発生装置(1)」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/3d6bb92df8da3656451e713dc79d4c6c
「<第17-2話>重力発生装置(2)」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/8b2a66c9eb5a5d42ed124cda0e4f2838
「<第18話>お宝探しに出発!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/d35b80bdf1536027f40f97d277297dd3

・・・・・


<第18話>お宝探しに出発! / ガンダム外伝

2007-09-25 19:37:38 | [小説]ガンダム外伝

<ここまでの話>
「<第1話> から <第16話>までのリンク」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/db812e820f927a8fe6b4ad02703b5e32
「<第17-1話>重力発生装置(1)」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/3d6bb92df8da3656451e713dc79d4c6c
「<第17-2話>重力発生装置(2)」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/8b2a66c9eb5a5d42ed124cda0e4f2838
・・・・・

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カーゴデッキは、戦闘で損傷を受けたハッチも修復され、空気が満たされていた


私が乗っていたボール3号機(チコ伍長機)であるが、表面に残った傷跡は痛々しいが、
既に可動可能にまで修復されている。
サミー曹長の2号機は、完全整備終了していた・・ 
我グリフィンの整備班の力量は連邦軍でも1、2を争える腕前ではないだろうか・・
素人目に見ても凄い・・

奥では、クマ軍曹機ジムの大修理が実施されている・・ おや? あれは?・・・

「おーい、中尉! 何をしているんだ?」

「あっ たいちょぉ~ 聞いた話ですけど、この子たち、グリフィン所属になるって
 聞いたものだから、少しでも早く使えるようにしないと・・って・・」

「聞いた話って・・おいおい・・ 誰から聞いたんだ?」

「・・・ えっとぉ・・  軍機っす ♪」

(中尉の情報収集力も素晴らしい・・ 乗艦してまだ間が浅いのに、すでに情報網を
 確立している・・ さすが、ベリーツーだ♪ でも・・一体どこから?
 というか・・ この艦には軍機は無いのか? なんかみんな知っているみたいだ・・)

「まぁいいか・・ で、直りそうか?」

「そうっすね・・ MSデッキのコマンド4機は全部終らせちゃって・・
 あとは、この子ぐらいですが・・ ちょっとかかりますね
 基盤も、オーリン機に入れちゃったので設定もあるしなぁ・・
 でも、整備の連中・・みんな凄いっすよ・・ モチベーションが高くって♪」

「そうだな・・ 私も感謝している・・ 良いチームだ!
 それが終ったら、中尉も簡易重力発生装置に入っておけよ・・ 艦長命令だ!」

「うぃっっす♪!!」

中尉は元整備の虫が疼くのだろう・・ 朝早くに来て手伝っていたようだ・・
既にMSデッキ側の私達のジムコマンドは、修理&整備が終了し、ミィ少尉と
リン少尉がスクランブル待機に入っている・・

「そんなに褒めてもらっても、何も出ないですよ♪ 大尉!」

後ろから声がした。サミー曹長だ・・

「おう・・ サミー!・・」

「いやぁ・・中尉には感謝しています・・ 整備の腕もさすがですよ!
 要員不足状態でもあったので、本当に助かりました♪」

「そう言ってくれると中尉も嬉しいだろう・・
 奴に直接言ってあげてくれ♪」

「了解です・・」

「じゃ・・ 行こうか♪」

「えっ? 行こうか?って・・ ひょっとしたら例の奴ですか?」

「ああ・・本日の索敵は、私が担当なんだが『ボールを使いたい』と艦長に申請したら
 OKが出たんでな・・ どうだ? 今日は私と2人で索敵だ!
 これは正式なミッションだから コソコソしなくて良いぞ♪
 勝手に乗ると軍法会議物だからな♪」

「私も索敵ミッションに出れるのですか?」

「ああ・・ なぜか、簡単に承認されてな・・ ちょっとビックリだ・・」

「やったね!了解です大尉・・ 嬉しいなぁ♪」

「おう! お宝探索大作戦だ!!」

「じゃ、行きますか・・」

私とサミー曹長はクレーンハンガーに吊るされたボールに飛びつきハッチを開け
コックピットに入った・・

メインスイッチをオンにする・・軽いモーターの音がして機器に命が吹き込まれる
機動が早い・・ これがボールの良いところだ・・

通信をオープンにする、

「こちらボール3号機、ワサビィだ、コントロール誰かいるか?」

「・・・ こちらコントロール・・ オーリンよ♪
     どうしたの? ワサビィ・・」

「おう・・雌豹さんか・・って・・ えっ、どうしてお前が?・・」

「・・・ いつまでもタダメシ食っている訳には行かないジャン!
     で・・ 何の御用事かしら?」

「おう・・艦長に伝えてくれ・・ 索敵に出る、承認をもらいたい」

「・・・ 了解・・ ちょっと待ってね・・
     ・・・
     艦長の承認を確認したわ・・ で・・ ボールね
     じゃMSデッキじゃないんだ・・カーゴデッキね・・
     発進シーケンスを開始するので、もう少し待っててね・・」

「了解だ・・ 3号機ワサビィ 2号機サミー曹長だ・・ 
 これも艦長に報告済みだ・・ 確認してくれ!」

「・・・ ベリーベース・・ 了解・・」

コンコン コンコン・・ (ん?なんだ?・・)
ボールのハッチを誰かが叩いているのか?・・ 私はハッチをあけてみた・・

「たいちょぉ~ なんか、2人でコソコソとぉ! ズルいっすよぉ!」

「いや・・ その・・ 中尉・・ 索敵には熱源の小さいボールが良いか?と・・」

「言い訳はいいっす! なんか隠してる・・ どこに行くんすか?
 で・・ どうして、サミー曹長となんすか?・・
 俺だってボールの操縦は出来るのにぃ!!  なんか臭うんですけどぉ!」

(さすが中尉・・ 鼻が利く・・)

「じゃ・・ 一緒に行くか?」

「了解!♪ シートの後ろにお邪魔しま~す ♪」

ボールには後ろに若干のスペースがあり、人が1人ぐらいは入れるようになっている・・

「今度、2人が確実に乗れるようにちゃんとした椅子でも付けるべきかもな?」

「そうっすね♪」

「簡易用のベルトは装着しておけよ! 何があるか解らんからな・・」

「了解・・ でも・・ちゃんとベルトが付いてんのになぁ・・
 こんな鉄板じゃケツが2つに割れちゃいます・・」

「まぁ有事の際の最低装備だろ・・ あるだけマシってもんだ!
 しかし・・ ケツは最初から2つに割れてはないか?・・」

「ですね・・ ♪」


「・・・ ブー、ブー、ブー・・ ボールの発進シーケンスを開始します。
     カーゴデッキの減圧開始まであと30秒・・
     カーゴデッキの要員はノーマルスーツにヘルメットを装着の事。」

「・・・ 大尉! 12時方向、完全クリアですが、コロニーの残骸は随所にあります。
     ご注意を!
     ・・・
     ボール3号機、2号機、発進準備よろし!・・」

「ボールスリー 了解!」

「・・・ ボールツー、サミー了解!・・」

「・・・ ブー、ブー、ブー・・ カーゴデッキハッチオープンします!
     カーゴデッキハッチオープンします! 」

ゆっくりとカーゴデッキの扉が開いていくのをモニター越しに確認する・・

「・・・ ベリーベースより、ボールスリー、ボールツーへ
     シグナルオールグリーン 進路クリアです 出発OKです! 」

「オーリン曹長・・ ありがとう♪ ボールスリー! ワサビィ 出るぞ!」

「・・・ ボールツー 続いて出ます!」


2機のボールは軽くロケットを吹かし、グリフィンのカーゴデッキから飛び出した
2号機の背後に回り、マニピュレーターで2号機に触れる・・
震動を利用したふれあい通信だ

「サミー聞こえるか? バーニアを使いたくなるなぁ・・」

「・・・ ですね・・ でも、通常は使わないでロケットだけで動けるよう練習しましょ」

「でな・・ 1つ報告すべき重要な事象がある・・」

「・・・ えっ? な・・なんですか?大尉・・」

「こっちにな・・  実はヒロ中尉がくっついてきた・・」

「・・・ ええっ!! 中尉がですか?」

「ああ・・ さすがベリー小隊だ・・ 鼻が利く・・」

「・・・ まぁ良いじゃないですか・・ リン少尉じゃなくって♪」

「そうかもな・・ じゃ・・ どこに行く・・」

「・・・ 28バンチに行きたいと思っています・・ 外壁に穴はあいていますが、
     シリンダー部分の形状はそのままですので・・
     宇宙港は破壊されていないと思い・・
     あと、とあるお店もあるんですよ ♪」

「そうか・・ 了解だ・・ では29バンチから調査し、その後28バンチに向かうぞ!」

「・・・ 了解です!」


「たいちょぉ・・ とあるお店って・・ 何ですか?」

ヒロ中尉が聞く・・

「それはなぁ お宝さ♪」

「やりぃ♪!・・ やっぱ、付いて来て良かったね♪って」

「でもな・・ ジオンが居なかったら・・って条件付だがな・・」

「28バンチかぁ・・ ジムコマンドで全速だしたら、何分ぐらいかなぁ」

「カタパルトを使用して、約5分って所かな・・」

「じゃ、見つかったら5分頑張れば、なんとかなるっすね・・
 でも・・ 会いたくないっすね・・」

「まぁ・・そうだが・・ 見つけるのが我らの任務って、解ってんのか?」

「あっ・・ そっか・・♪」

2機のボールは軽くロケットで方向を修正し、慣性で宇宙をゴミのように流れて行った・・
目の前には、幾つもの破壊されたコロニーと連邦軍の戦艦や宇宙戦闘機の残骸が
見えている・・・ ルウムの戦役での傷痕は今もそのまま放置されているのだ・・

しばらくすると29バンチコロニーが近づいて来た・・ 間近で見るとコロニーの
大きさに驚愕するが・・ このコロニーも30バンチコロニー同様に 完全に崩壊している
割れたコロニーの中に街が見えるが、1年前まではここに人の暮らしがあったのだ・・
戦争という物は、破壊しか生み出さないという事実を突きつけられ
こんな下らない戦争は、早く終らせなければ・・との決意を再認識させられる・・

見えるコロニーに対し、外から見た状況を記録する・・

「29の外観は・・大破・・と・・ 28は小破だな・・ 内側に11,10か・・
 今回の索敵範囲はこの辺が限度だな・・」

「たいちょぉ・・ 1チームじゃ滅茶苦茶時間がかかっちゃいますね・・
 1つづつ上陸して確認しないと駄目なんしょ? 
 俺らは外観とちょっと中を索敵して、あとはランチに要員を乗せて、
 調べるって方法もありじゃないっすか?」

「ああ・・ そうだな・・
 安全なのか?の判断基準が難しいがな・・ 検討課題になる・・
 上陸必要性の判断も同様だろう・・ 現場での感性は大事にするべきだろうな・・」


コロニーが近づくと、浮遊するデブリの数も増えてくる、デブリに当たらないよう
調整しながら進むのだが・・ 休み暇もなくなるぐらいのデブリが漂っている・・
しかし、このデブリ地帯を通過する方が、敵に見つかる可能性も格段に低くなるため
このコースを進むしかない・・

こうなるとロケットだけでは上手く行かず、バーニアも使用する・・

「ボールツー サミー曹長、聞こえるか?」

「・・・ サミーです・・ 聞こえます・・」

「29バンチの宇宙港は完全に破壊されているなぁ・・
 外観をセンサーで確認するぞ、各種センサーをMAXにしてくれ!
 私は宇宙港を含むコロニー外側を確認する、
 サミーは破損しているコロニーの内側を捜索してくれ!」

「・・・ 了解!」

小一時間ほどだろうか・・ 色々な個所を探索したが、センサーの反応は
相手のボールを示す光点以外には発見できない・・ 29バンチは問題ないだろう・・


「サミー 次のコロニーに行くぞ! お目当ての28バンチだ!」

「・・・ 待ってました! じゃ、行きますか!・・」

私達が宇宙港側から外に回り込むと、すでにサミー曹長のボール2号機は前を
流れていた・・ ミノフスキー粒子の濃度をチェックするが、異常はない・・

「コロニーに上陸しなくても、思った以上に時間がかかるな・・
 このペースだと2つのコロニーで一杯一杯になるか・・」

「コロニーってデカイっすもんね・・やっぱ、ランチ作戦決行っすか?
 ジオンがいたら、センサー探索だけでも大きな反応が出るんじゃないのかなぁ・・」

「いや、機能が残っているコロニーだと、センサーに多数反応するだろう・・
 そうなったら細かな部分は解らんと考えている・・
 またな、ジオンの探索機など、小さな機器が設置されていたら・・
 見つける事は不可能だし、逆に相手に見つかっている事にもなるからな・・
 小さい部隊で小規模に・・ と思っているのだが・・」

「そうか・・ スパイ装置かぁ・・ 
 ん? 隊長・・ 逆にかかっちゃったら駄目? 相手を呼び出すって方法・・
 駄目っすか?・・」

「ほう!?・・ さすが中尉だな♪・・ ボールで飛び回って、察知させ
 相手が出てきたら、ジムコマンドで叩く! ってことか・・
 良いかもな、ちょっと考えてみるか!」

「・・・ 大尉! 28バンチに近づきましたが、宇宙港の入り口はきれいですね
     ただ・・停止しているので、コロニーの回転と一緒に回ってます・・」

「そうか・・ 中からハッチを開けるしかないか・・・
 サミー、私が外に出て、メンテ入り口から中に入ってみようと思う・・」

「・・・ 了解・・ ボールはヒロ中尉ですね・・」

「ああ・・  中尉、ボールを頼む!」

「アイアイサー♪」

ボールの操縦をヒロ中尉と交代した。
外に出るために、ヘルメットの装着を確認し、移動用のエアノズル噴射機を腰に装着
ボールのハッチを空けた・・

目の前一杯にコロニーの宇宙港ハッチが見える・・ 
肉眼で見るコロニーは巨大だ・・
こんなとてつもなく巨大な建造物を作り上げた人類の偉大さと、
そのコロニーを破壊する愚かさとを、同時に見ることが出来、複雑な心境になる・・

そんな事を考えながら、エアを噴射し、私は宇宙港ハッチの下部にあるコロニー公社用の、
メンテナンス入り口に取り付いた。

電源が落ちているため、ロックの解除が出来ない。緊急用カバーを叩き割り、
中の緊急レバーをマニュアル位置に引き倒した。
メンテナンス入り口に隙間が開き、その隙間から勢い良く空気が噴出し、
その勢いでメンテナンス入り口が開いた。

暫くすると吹き出していた空気も勢いが無くなってきた。
私はメンテナンス入り口から、コロニーの中に入り込んだが、
案の上、小さなエアールームである。
電源が落ちているため、奥のハッチも閉ざされたままである・・

(そういえば、エアーがあったなぁ・・)
あんちょこにハッチを開けることはエアーの噴出による危険が伴なう・・
私は、中から宇宙港ハッチを開ける事のリスクの高さを察知した・・

さて、どうしたものか?・・
外からボールの180ミリ低反動砲でハッチを破壊する方法が一番早いか・・
ただ・・近辺にジオン軍が潜んでいない事が条件である。
180ミリ低反動砲を使用すると、確実にサーマルセンサーに引っかかる・・
敵を誘き寄せる事になりかねない・・

お目当ての、小型船舶用化学ロケット燃料の調達は、このコロニーでは難しいと感じた・・

「サミー曹長・・ 聞こえるか?・・
 電源が完全に落ちている、また随所にエアーが残っている・・
 ハッチを開けるリスクは高いと思うが・・」

「・・・ 大尉・・ そうですか・・ 仕方ないですね、了解です。
     では・・化学ロケット燃料は次のコロニーということで・・」

「そうだな・・ ボールに戻る・・」

「・・・ たいちょぉ~ ・・ 次に行くんすか?」

「そうだな・・」

「・・・ 大尉・・ 次に行く前に、ちょっとだけ・・寄りたい所が・・
     破損した穴からコロニーの中に入リたいのですが・・」

「そうだな・・ 目的はボールの燃料だけでは無かったなぁ・・」

「・・・ おっ! 待ってましたってばぁ! お宝っすね ♪」

「ああ・・ そういうことだが・・
 サミー・・ 中は空気が無い・・ 回転を合わせて亀裂から入り込んでも、
 コロニーの地上部分はかなりのスピードで回転している。
 コロニー内壁にボールで着陸するリスクは非常に高いぞ・・
 また接地した瞬間に重力がかかる、その衝撃度合いが未知数だ・・
 それでも入るか? 」

「・・・ 難しそうですね・・ 中に入ってロケットでコロニーの回転スピードに合わし
     接地するまで、低空に下げ着地かぁ・・  出来るかなぁ・・」

「・・・ サミー曹長ぉ・・ こいつにはマニュピレータがあるでしょ・・
     コロニー内でなにか掴まるものを探し、それに掴まれば楽かもね♪」

「・・・ そうですね、中尉・・ 」

「じゃ・・ 掴まれそうな物があるか・・探して見るか・・
 中尉! ボールのハッチを開けてくれ!」

「・・・ 了解っ!」

私は、ボールに戻るためにエアノズルを噴射した・・ その時・・

「・・・ あれぇ・・ たいちょ~ぉ・・ なんか光りませんでした? あのコロニーっす・・」

「なに? 光っただと?」

ハッチを開け、ボールから身を乗り出したヒロ中尉が指差す方向に、1つのコロニーが見える・・
この28バンチの1つ内側に位置するの10バンチコロニーだ・・

「どのように光ったのだ?」

「・・・ デブリが太陽を反射しての光じゃないっすね・・
     人工的な・・ バーニア炎かロケット噴射のような・・」

10バンチは一見すると破損していないような綺麗な外見を保っているコロニーだ・・

「サミー・・ 非常に申し訳ないが、お宝は後回しのようだな・・」

「・・・ 了解! ジオンですか?」

「可能性はあるな・・
 中尉!・・ グリフィンにエマージェンシーコールだ・・・
 29バンチの陰にジムコマンドを配置だ・・」

「・・・ 了解っす! 隊長はサミー曹長のボールに搭乗してください!」

「そうだな!・・ サミー・・ボールのハッチを開けてくれ!
 10バンチコロニーを偵察するぞ!・・」


「<第19話>10バンチコロニー・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/87f8316d9259230698040d84e13931c3に続く・・・
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(2007/09/25 19:37)


(第1話)きっかけ・・ / 甘い誘惑

2007-09-23 14:23:32 | [小説]甘い誘惑


会社に入社して気が付けば20余年、それなりの職位と仕事にも恵まれ
子供達も大きく成長していた・・

ごく平凡な毎日・・
毎日、決まった時間に満員の電車に揺られ会社に出勤し、
女房が作ったお弁当を食べ、仕事が終わると同じ道を我が家に帰る・・
そんな毎日を繰り返していた・・

何も気になることも無く、その毎日にも違和感を感じず、ただ単に
毎日を消化する生活に、完全に慣れてしまっていたのだが、

それは突然に私の前に現れて来た。

・・・

会社の現場から上がり、本社勤めになってから、もう10年・・
なにも変わらない、いつもの流れの繰り返しだった・・

初夏のある日、突然に1通の電子メールが舞い込んでくる。
仕事上での問合せ?・・ 知っている女性からのメールだ!
そういえば、彼女とは昨日本社の廊下ですれ違ったなぁ・・
「久しぶりだね? 元気にやっているの?」など、社交辞令の挨拶を
交しただけで、なにも変わった事は無かったようだが・・

メールを読むと、仕事上でのトラブルが書かれている・・
その事について、相談に乗って欲しいとの内容だ・・
私は即座に返答を返していた。

「今度、本社に来る時を知らせてください。時間を取ります。」

彼女からの返信はすぐに届いた。
本社だと上司の目などもあるので、出来れば外で会えないか? との
内容である・・ 私の仕事は現場の支援が主な作業であり、現場での
トラブルには職務として対応する必要があった・・
事の重要さを感じた私は、次のようなメールを速攻で返信した。

「だったら、いつ、どこで会いましょうか?」

ちょっとドキドキしていた・・
会社以外で女性に「会いましょう」と言っているのと同じなのだ・・
仕事をしながら、メールボックスの確認をする・・
何度も・・ 何度も・・
やはり、文面がまずかったかなぁ・・ と少々後悔もする・・
相手は男性ではなく女性なんだから・・ 
でも、男女雇用均等法があるじゃないか・・
対等に扱わないほうがおかしい・・ 私は間違っていない・・

多分・・ そのはずだ・・  いや・・ ・・

こうなってしまったら、もう仕事が手につかない・・
メールボックスは見るが、他の仕事のメールばかりである・・
時間だけが過ぎていく・・ どうしたんだ・・
社外で会いたいと言ってきたのは彼女ではないか!
悶々とした時間が過ぎ、夕方の定時が近づいて来たとき、
メールボックスに新しいメールが届いた! 彼女からだ!・・

明日にでも郊外に出る私鉄の出発駅で待ち合わせしましょう、との内容だ!
私は即座にスケジュールを確認する。
明日は同じ方向の営業店に出かける予定だ! いけるぞ!

「では、その駅の改札で19時に会いましょう。」

と返信を書き、返送しようとしたが・・
いや待てよ・・ 返事を送るのが早過ぎないか?
まるで、彼女のメールを待っていたかのような即答は、
印象が悪いのではないだろうか・・ 
と 返信ボタンを押す手前で止まってしまった・・・

そんな事はない・・ きっと彼女はメールの返信を待っているぞ!
いいや・・ 速攻で返したら、暇なオヤジだ・・と馬鹿にされるぞ!

バカ!ちょっと待て! 何を考えているんだ・・ 仕事じゃないか・・
そうさ、彼女は困っているから、私に会いたいんだ!
自分に「仕事だ!」と言い聞かせ、彼女と会う約束のメールを送信した。

仕事だと割り切っているはずなのだが、帰り道では
彼女と初めて会った頃の事を思い出し回想を重ねる自分がそこにいた・・

10数年も前になるか、ある組織変更で同じ部署になったことがあるのだ、
と言っても、そんなに話をした訳でもなく、ただ、笑顔が可愛い、
洋服のセンスがある、おとなしい子だった事を思い出していた。

「仕事で会うんだ!」と思っているのだが、なにかワクワクして
早く明日にならないかな・・と考えている自分が面白くもあった・・


「(第2話)待ち合わせ・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/4a0956c28ba3c0413de448371d2801d8に続く
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(2007/09/23 14:23)


<第17-2話>重力発生装置(2) / ガンダム外伝

2007-09-12 18:20:55 | [小説]ガンダム外伝

<ここまでの話>
「<第1話> から <第16話>までのリンク」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/db812e820f927a8fe6b4ad02703b5e32
「<第17-1話>重力発生装置(1)」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/3d6bb92df8da3656451e713dc79d4c6c
・・・
<補講>
「ガンダム外伝を楽しむための補講(1)ラグランジュポイント」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/5568bd9e6a727ee790bc1ebec0e0042c
「ガンダム外伝を楽しむための補講(2)MS運用艦グリフィン」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/6db85f7b1fcf391b3f6bfc42d339cbc1
「ガンダム外伝を楽しむための補講(3)MS小隊の構成と運用」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/f1a12da2cbb09456acce246711ca2997
・・・・・


簡易重力装置に入った・・ 久々の重力が心地良い!

「あっ! 隊長!」後ろから声を掛けられた・・
そこには、ユカ少尉と昨日声を掛ける事ができなかった、若いボールのパイロットが・・

「おう! おはよう! ランニングか?」

「ハイ! また索敵でしょ? MS内での待機時間が長いと、血行障害起きそうで・・
 そうそう♪ 隊長らしくないですよぉ~
 この娘に聞いたら、『まだナンパされてません!』って言ってましたよ ♪」

「こらこら、こちらにも都合って物がある・・
 でもな、昨日声を掛けに行こうとしたんだが・・ で・・ 紹介はしてくれないのか?」

「さて?・・ チコちゃん・・ このおぢさんがゆ~め~な種馬ワサビィ隊長で~っす♪」

「おい! ユカ! 何を勝手に適当に教えているんだぁ?・・ で・・
 おじさんの『じ』を『ぢ』にするな! 印象が悪い・・(ブツブツ・・)
 ところで・・ チコちゃんか?」

「さすが隊長! ちゃんと聞こえているのね♪ そうです、マウイのボールパイロット
 チコ伍長です・・ さぁチコちゃん・・ 隊長さんにご挨拶を!」

「あっはい!・・ はじめまして! チコ伍長であります! 以後お見知りおきを!」

「そんな、かしこまらなくって良いわよ!」

「でも、大尉殿ですよぉ・・そして隊長でぇ・・」

「ほら! チコ伍長の言うのが正しいぞ! そもそもお前らは・・ と・・
 今日はミィ少尉はいないのか?」

「ミィはスクランブルスタンバイに入っています・・ だからMSデッキかな?・・」

「そうだったな・・ 索敵要員とスクランブル要員で、休みなしになってしまう・・
 チコ伍長もそのローテーションに入ってもらいたいが・・」

「えっ! 私がグリフィンに配属されるのですか?」

「うっ・・ それは・・ 軍機だ!♪  でも、私の顔を見たら解るだろ?」

「ハイ! ユカ少尉! 私!私! この艦に乗れるのね!!」

「良かったわね! チコちゃん・・
 隊長・・ 彼女ね・・ かなり落ち込んでたの・・ でも、大丈夫かも!♪」

「そうだな・・ でも、まだ他言するなよ・・ 
 で・・ チコ伍長には謝っておかないといけない事がある・・
 この前の出撃でボールの3号機を・・ ちょっぴり壊した・・  すまん・・」

「その話は、クマ軍曹から聞きました! でも、あそこまでボールでも戦えるんですね!
 私にとっては、あの子だけが、私の愛機・・だから、あの子が私の最高の兵器なのに・・
 周りは『動く棺おけ』って・・
 口では、そんなことない! って言っても、どこかで『MSに乗りたいなぁ・・』って
 気持ちがどこかに有って・・・ でも、ワサビィ大尉の昨日の戦闘で、
 あの子の性能をもっと引き出してやれば、十分に戦える!って解りました!♪
 感謝しています! あの子の事、もっと好きになれると思います!!」

「おう・・ 私もそのように感じていた・・ 思ったより良い機体だぞ・・
 使い方だ・・ 使い方を間違えなければ、十分に活躍できる!
 良い目をしているな♪ その目の輝きを忘れるな! 伍長ならできる!
 で・・ 表面がボコボコになっているが・・ それはそれでゆるしてくれ・・ 」

「チコちゃん・・ チャンスよ! 何かを、ねだっちゃえ ♪」

「そうですね! 何にしようかなぁ・・ なんて ♪・・
 別に良いです許しちゃいます!」

「よし!いい子だ♪  で、ユカ少尉はくだらん事を教えるなって!
 で・・チコ伍長・・ こんな事を聞くのは失礼かもしれんが・・ 学生か?」

「はい・・ 大学から曹候補生に志願し、今回配属になって・・ 」

「そうか・・ では、まだ戦闘を経験していないな?」

「・・・ はい・・」

「じゃ・・その辺は、ユカ少尉にでも聞いてくれ♪ 初陣で2機撃破のエースだ!♪
 彼女も志願だからな・・ 士官候補生から軍楽隊に入ったが、この戦争だ・・
 適性検査を志願し今はパイロットという変り種だ・・ しかし、センスは一流だ!」

「たいちょ~お・・ 止めてくださいよぉ・・ 昨日から『エース』って言われ続けて・・
 その気になっちゃったら、どうするんですか?
 私って『ほめられて伸びるタイプ』らしくって・・ あっ!だから良いのか・・」

「良いじゃないか! その気になっちゃっても・・ ただ 功労をあせるなよ、
 常にマイペースだ! 成績は後から付いて来るもんだ!
 じゃ・・ チコ伍長には必要な事だけ色々教えてやってくれ!
 チコちゃん またな!!」

私は手を上げて、2Fのランニングスペースから1Fの区域に下り、ラウンジに腰掛けた・・

ソファーが自分の体重で沈み込む・・やはり重力は心地よい・・
やはり人間には重力が必要なのだろう・・
そのままウトウトと・・ この感じが気持ちよい・・

・・・

「大尉! ここにいたのね?」

「ん? あっ副長・・ 申し訳ない・・寝ちゃってましたね♪」

「だからぁ・・ また寝は駄目よ♪ って言ったのにぃ・・」

「ですね・・ で、少佐は走らないのですか?」

「いや・・走るのは後でいいわ・・ それより索敵プランだけど・・
 2チーム出せないかしら?」

「メンバーの過労もありますが、モビルスーツの整備も手不足みたいで・・
 整備班に申し訳なくって・・」

「そうね・・ 聞いているわ・・
 何人か機関部と相談して整備班に配属変えを検討中なの・・
 実は、良い人がいるので・・」

「ほう・・ 機関部にですか?」

「そうなの・・ 私の仕事も手伝ってくれた人・・
 機関部はこの艦のシステム保守やインフラ整備も担当しているってご存知?」

「へぇ・・ 主計班じゃないのですか?」

「システムは専門家でないと駄目・・ だから、機関部内にシステム室があるの・・
 その中に、システムにも強く、機械にも強く、幅広く対処できるメンバーがいるの
 その人を中心に、整備班を増員しようか?って話・・」

「そうなんですか・・ 」

「カタパルト使用時の艦への影響を相殺する制御・・ 出来ているでしょ?
 もう、やってくれているのね・・ 彼がね ♪」

「へぇ・・ そいつは凄いですね・・ で・・一体誰なんです?」

「機関部システム室のビジー軍曹・・ ちょっと変わり者ですけど♪」

「えっ・・どんな?」

「辛い物が大好きなの♪」

「へぇ・・ なんだか楽しい人ですね・・ どれぐらいの辛さで?」

「聞いた話では・・ タバスコの500倍とか1000倍とか・・」

「ええ!!! そんな・・ 死んじゃいませんか?」

「どうでしょ? でも、彼は生きているわよ?」

「へぇ・・ そうなんだ・・ 一度ご馳走になってみたい・・って
 ちょっぴり考えちゃいますね・・ でも 5倍でも私は駄目だ・・
 ビジー軍曹かぁ・・ いろんな人が乗ってるんですね・・
 ・・・
 で、技術的な要員はローテーションで可能って事なんですね
 じゃあ、抜けた機関部への補充は?」

「サドとマウイの要員を配置したら、大丈夫でしょ?
 すでにマスミン特務からルナ2へは打診しているはずだから・・
 ・・・
 でもね・・ 異動させるとなると、何らかの肩書きなども必要だ・・との
 意見もあって・・ 整備班には班長のサミー曹長がいるでしょ・・」

「そうですよね・・ 抜く機関部への仁義もありますね・・」

「そうなの・・ 頭が痛いわ・・ 
 で・・くれぐれも、サドとマウイの要員の話は秘密よ♪」

「了解です♪」 (知っているって・・言えないなぁ・・ )

「じゃ、パイロットも増員ですね♪(ジムもボールも増えるし・・)」

「えっ・・そこまでは言ってないわよ・・
 何かご存知なの?
 それとも、誰かさんから聞いたのかしら? ♪ ふふふ・・」

「いや・・ それは・・
 というか、増員しないと、索敵2チームは無理ですから・・
 スクランブル待機要員も要るのですよ・・
 サドとマウイの機体は艦長が使用しても良いと、先ほど確認したので・・
 あとはパイロットか・・と・・」

「そうね・・ じゃ・・ 4名増員・・って聞いたら・・ 出来る?」

(えっ 3人ではなく4人って・・ あと1人誰だ・・)

「4人ですか・・ それなら可能ですが・・ モビルスーツが・・」

「うんMSは良いの・・ どうもありがとう♪ 増員したらOKということね・・
 じゃ・・ 走ってこようかな・・ ちょこっとね♪」

「ちょこっと?」

「もう若くないんですから、ちょこっとがいいのよ~♪  じゃぁね!!」

クロヒッツ少佐が片手を上げて席を離れていく・・
後姿を見ていると・・ うん・・ やはりナイスバディだ♪ 目の保養になる!

「少佐ぁ! 作戦が終ったら、飲みに行きましょうね!」

「いいわよ~ぉ でもお酒は少々ね・・ あれが出来なくなっちゃうでしょ♪」

(えっ・・ あれって何? ねぇねぇ あれって なぁに?? ♪)

朝から何を悶々としているのか? 突然マスミンの顔が脳裏に浮かぶ・・

(なにやってんのぉ・・ 飯でも食って索敵にいかなくっちゃ・・)

私は頭をボリボリと掻きむしりながら、朝食を取るためにスナックルームのカウンターに
向かった・・

(食べたらボールで索敵だ!・・)


「<第18話>お宝探しに出発!」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/d35b80bdf1536027f40f97d277297dd3
に続く・・・

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(2007/09/12 18:20)


<第17-1話>重力発生装置(1) / ガンダム外伝

2007-09-12 18:20:01 | [小説]ガンダム外伝

<第17-1話>重力発生装置(1)  /  ガンダム外伝     2007.09.12
<ここまでの話>
「<第1話> から <第16話>までのリンク」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/db812e820f927a8fe6b4ad02703b5e32
・・・
<補講>
「ガンダム外伝を楽しむための補講(1)ラグランジュポイント」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/5568bd9e6a727ee790bc1ebec0e0042c
「ガンダム外伝を楽しむための補講(2)MS運用艦グリフィン」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/6db85f7b1fcf391b3f6bfc42d339cbc1
「ガンダム外伝を楽しむための補講(3)MS小隊の構成と運用」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/f1a12da2cbb09456acce246711ca2997
・・・・・


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ふと目がさめた・・ 3時間ばかり寝たらしい・・
物静かだ・・ 慣性航行中か、それとも駐留地点に到着しているのか・・

そろそろグリフィンはサイド5(ルウム)の残骸が広がる地域に近づいた筈だ・・
ルウム戦役で有名なサイド5は、戦闘でほとんどのコロニーが損害を受け、
現在民間人は住んではいない。
元観光コロニーであったテキサスコロニー等、幾つかではあるが、生きている
(機能している)コロニーもあるが、ほとんどのコロニーはラグランジュポイントに
浮遊するデブリと化している。

隠れるには絶好の場所とも言え、ジオン軍の戦闘艦が多数行動しているとの情報だ。
それを証明するようにかなりの数の民間や連邦軍の輸送船がこの海域で遭難しており
潜伏するジオン軍が、輸送船などへ奇襲をかけているとの司令部の見解だ。
この海域の安全確保は連邦軍の戦略上の問題だけでなく、サイド6やフォン・ブラウン
などの中立地帯の望みでもあるのだ!

前回の戦闘で交戦したパプア級やザクが逃走したことからも、確実にジオンの艦艇が
このエリアに潜んでいる事は確かである・・

その危険なエリアにグリフィンは到着した・・


マイクのスイッチを入れる・・

「こちらMS隊、ワサビィだ・・ 現状を教えてくれ・・」

「・・・ こちら、コントロールデッキです・・
     艦はルウム空域に入り、外郭バンチのコロニー
     30バンチあたりの残骸内に係留索を張り、滞留中です。
     副長が居られますが、代わりましょうか?」

「ああ、代わってくれ・・」

「・・・ はい、おはようさん♪」

「おはようございます、副長・・
 今日の索敵ですが、艦長からは継続するよう言われています・・
 ただ・・どこを索敵するかなのですが・・
 シングルバンチの内部に立ち入るのは危険だと・・
 外郭バンチを1つづつ索敵する方法を取ろうと思っていますが・・
 副長のご意見を聞きたく・・・」

サイドに作られるコロニーは中央から1バンチ、2バンチと三角形の
らせん状に並べられて作られている・・
そのため、1から9までの1桁数字のサイドの中央に位置するバンチを
「シングルバンチ」などと呼称する事があり・・ それの反対の意味で
外側のコロニーを外郭コロニーと呼称する。
外郭コロニーは外宇宙に面していることから、外部からの攻撃に弱い。
(30バンチは外郭コロニーであり、コロニー群の三角形の頂点に位置する。
 300度も外宇宙に面するため、宇宙貿易には向いているが、戦争となった
 場合、非常に守りにくい位置のコロニーと言える)

「・・・ そうね・・実は艦長とも話をしたのね・・
     待っていても拉致があかないし、まずは安全な区域を確保して
     そのエリアを広げていく方法を取りたいの・・
     だから、大尉が言うように、外郭バンチコロニーから
     安全を確保して行く方法が良いのかもしれないわね・・
     ただ・・時間がかかるのも問題ね・・
     どこに敵が潜んでいるか・・ 全く解らないもの・・」

「外郭バンチからの索敵で良いとのご判断ですね・・
 ありがとうございます・・ ちょっとボケているので♪
 頭に活を入れた後に索敵プランを作成することにします・・」

「・・・ あら?寝ぼけているの?・・ また寝、はしないようにね♪
     たまにはトレーニングルームにでも行ってみたらいかがかしら・・
     スッキリするわよ ♪
     私も交代したら、行こうかな・・ って思っているの・・」

「そうですね それも良いですね・・ じゃ・・ 御一緒しますか?」

「・・・ ふふ♪ じゃあ、先に入っててね!」

「了解です♪」

クロヒッツ少佐との通信を切り、私は部屋を出た・・
「これもお勤めだからな・・」とハムスターの気分は好きになれないが・・と
私はトレーニングルームに向かった・・

簡易重力発生装置の入り口がトレーニングルームの中にある・・というより
トレーニングルームそのものが簡易重力発生装置を指すのかもしれない。


・・・

トレーニングルームの中に入ると、丁度艦長が簡易重力発生装置から出てきた
所であった・・

「あ・・ 艦長・・ 今からコントロールデッキですか?」

「そうね・・ これから忙しくなりそうな気配でしょ?
 今の内に入っておこうとおもって・・ 重力は良いわね♪
 MS隊のメンバーも時間を作って、必ず重力装置に入るよう調整してね・・」

無重力では骨と筋肉が弱くなり、カルシウムの新陳代謝や免疫システムの調子が
悪くなることが立証されている。長時間無重力で生活をすると、ほとんどの人が
鼻づまりや鼻炎となり、そのまま放置すると不治の宇宙酔いとなってしまう。
定期的に重力発生装置入り身体を重力に晒す事が義務付けられているのだ!

「了解です。メンバーには順次入るよう調整しておきます。
 ところで・・ ちょっとお願いが・・ 次の索敵はボールを使ってみようと・・」

「えっ?どうしてボールなの?」

「ボールは熱源が小さい事から、敵に見つかりにくいと想定されます。
 また、コロニー内でグリフィンに補給できるようなものがあった場合、
 ボールの方が扱いやすい事もあり・・
 また、グルフィンにはジムコマンドを残せますので、ジオンのMSが襲ってきても
 対処可能です・・ いかがでしょうか?
 ボールは巡洋艦マウイ所属ですが、現在は艦長の管轄内であるので、
 使用の許可と合わせご許可をお願いしたく・・」

「その件ね、サミー曹長も言ってたわねぇ・・ 大尉が問題がないと思ったら
 それでよくてよ♪ MS運用は大尉にお願いしている事ですから・・」

「どうも、ありがとうございます・・ では、そのよう計画いたします・・」

「サミー曹長には大尉の方から伝えておいてね♪」

「了解です! ありがとうございます!
 で・・ 乗れるメンバーがいないので今日はサミー曹長と索敵に出ますね!」

「それは・・ 曹長は整備班でしょ・・ でも・・ そうか・・ 良いわよ♪」

(あれ??・・ OKが出ちゃった・・ こんなに上手く行くとは♪)

「ありがとうございます では!!」


艦長が微笑とかすかな残り香を残し、トレーニングルームを出て行った・・
気が付くと思わず鼻を膨らませていた・・ 悲しい男の性だ。
(でも良い香りだ・・♪)

・・・

擬似重力(遠心力)では、半径100m未満で3rpm以上の回転速度で回転する中では、
人々は乗り物酔いとなってしまうのである。
快適に生活するにはコロニーのように、半径500m以上で1rpm以下で回転する条件を
満たす必要があるのだが、艦船などでは大きな直径の物を設置する事は不可能だ。
(新型艦でも、移住区自体を全て取り込むのが精一杯の大きさになっている)
直径が小さければ乗り物酔いにはなるが、船乗りは酔いには慣れているとの設定か?
艦船にはこのような、簡易重力発生装置が設置されてるのが通常なのだ。

18メートルの大車輪と、入り口用の小車輪(直径10メートル)とおもり用の車輪の
3枚の車輪でサンドイッチされているのが、この簡易重力発生装置構造だ。 
  
簡易とは名が付いているが、直径18メートル、幅15メートルもある巨大な装置と
なっており、艦の中央部に配置されている重要な機関にもなっている。
簡易の意味は「居住区域ではない」という意味であり、居住区域を重力区域にする
ためには、もっと大きな重力発生装置が必要になるが、艦の構造上設置は不可能
なのは理解できるだろう。


大きさが異なる車輪が3重の構造になっているが、一番奥の車輪は回転モーメントを
打ち消すために逆回転しているおもりで、機関部の点検時にしか見ることはできない。

重力発生区域となる真中(2番目)の大車輪は、誰かが入っている間は常に回転し、その
遠心力で重力を発生させているが、戦闘中など誰も利用していない時は停止する。
尚、停止中には中に入る事は出来ない。
必ず安定速度での等速度回転になった後でないと、人は入れない仕組みになっているのだ。

常に回転している重力発生区域(2つ目の大車輪:直径18メートル、幅10メートル)に
入る事を実現させるのが、手前の小車輪(直径10メートル、幅3メートル)なので
ある。
この一番手前の小車輪には入り口があり、常に停止している。
入り口はトレーニングルームの中央に位置し、エレベーターの入り口のように見える
だけで、トレーニングルームからは、3つの車輪は全く見えない。

簡易重力装置に入りたい人は、まずその入り口から中に入る、
中には座席が一列に並んでいて、利用者は座席に付きシートベルトで固定する。
この入り口用の小車輪の底部の長さは、小車輪が直径10メートルであるので、
円周約30メートルになる、地球上の有名な鉄道の新幹線車両が25メートルなので、
中は新幹線の車両の中のような感覚で椅子が縦に25席並んでいると考えていただけば
解りやすい。(ただ、上を見ても座席があるので違和感は感じるが・・)

シートベルトで体を固定したら、スイッチを入れると、直径10メートルの手前の
小車輪が回りだし、体に重力を感じるようになってくる、小車輪の回転が、
まん中の大車輪の回転の速度に合った時、2つの車輪は固定され、2つの車輪を行き来
できるようにドアが開く、ドアが開くと、歩いてドアから大車輪に入る事ができるのだ。

大車輪の中は2階建てで、乗り込み用の小車輪と同じ直径の2階部分は、
単純なランニングコースとなっている。
ハムスターの気分になる・・というのは、このランニングコースがあるからだ・・
あまり好きではないのだが、走るほうが重力時の効果が増徴され、調子が良い・・
約4メートルの階段を降りると、1階部分(底部)になっていて、そこは、
約50m×10mの広さがあり5つの部屋に分かれている。
簡易ベッドがある仮眠室、アスレチックの用具があるトレーニング室、飲み物等が
とれるスナックルームなど、時間を潰す事が可能なように工夫されている。
もちろん2階部分のランニングコースより、1階部分の方が重力が高く、
その1階部分で0.7G程度となっている。Gを低く設定し回転数を低くする事で少しでも
船酔いを押さえる工夫がされているのである・・ 
尚、定員は30人程度となっている・・。 

 「<第17-2話>重力発生装置(2) 」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/8b2a66c9eb5a5d42ed124cda0e4f2838に続く・・・

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(2007/09/12 18:20)