音楽という食物

ジャズ系を中心に好きな音楽について

Stefano Bollani/Stone In The Water

2009-10-03 22:50:33 | ジャズ
今まである程度の一流どころのミュージシャンのライブは一通り見に行ったと思います。

しかし一番純粋に乗れたのはこのStefano Bollaniでした。


二年前のブルーノート東京でのピアノトリオでした。「I'm in the mood for love」が出た頃なのでレパートリーも同じだったと思います。ピアノの真ん前を陣取ったんですが、あまり見ず、集中して聴いてました。

今までは「本物だー」とか言いながら動きをみてはしゃいでいたライブがほとんどでしたが、Bollaniに関しては強烈なスウィングに引き込まれたのでした。スウィングってベタですが、本当にそんな感じです。

また、ピアノソロの後半でタオルを使った激しいプレイがあり(それでも良く歌っていましたが)、ソロが終わり次第ピアノを丁寧に磨き始めたのには大受けでした。ベースソロが終わるとベースまで磨いてました。

自分がこのライブで受けたBollaniの印象は「陽気なkeith」。資質には性格も大きく関係していると思いますが、keithがお茶目な性格だったらこんなかなと思ったのでした。全然違うという気もしますが、アドリブの純度が高そうに感じられるところが自分にそう思わせたのかな、と思っています。



で、このECM盤です。過去に出ている「Gleda: Songs from Scandinavia」とかと同じメンツということで期待は大きいです。Venus盤とは打って変わって制御された演奏が素晴らしくて、brad mehldauの「songs」と同じような統一した世界観を出していました。Venus盤も好きですが、「Gleda」のほうが彼独自の美学が分かりやすく出ていると思います。

今回の「Stone In The Water」ですが、このメンツでECMなんである程度予想通りではあります。でもすぐに「gleda」の世界観が蘇ってきました。暗闇をトツトツと,時にははしゃいで照らすbollaniとそれに寄り添うJesper BodilsenとMorten Lund。このトリオの音、といういうものを確実に持っている事自体にちょっと感動です。

輪郭は今までよりぼんやりしていて、「gleda」では白夜的な景色を感じさせたのですが、ここではまだそういう道しるべ的な親切なものは見えてきません。が、わかりません。今後聴こえ方が変わってくるかもしれません。

輪郭がぼんやりした分、トリオとしてはさらに有機的に絡んでいて、たまにぞっとするほど静かですが劇的なインタープレイが聴けるからです。これは狙えるもんじゃありません。まさにインタープレイです。その時その時にしか見えない道を3者がちゃんと見ているという感じです。

全容が見えないくせに、何かありそうと思える盤はたまに出ますが、これは自分を引き上げてくれる時ですね。ジャズにはこういうありがたい瞬間がたくさんありますよね。



、、、しかしbollani、お茶目にピアノを磨いていた陽気な彼がこういう演奏もするんだからまだまだ分かったなんて言えませんね。
ライブはまた行きたいです。


お好み度:●●●●● ●●●○○




Stefano Bollani/Stone In The Water



1. Dom de iludir
2. Orvieto
3. Edith
4. Brigas nunca mais
5. Il cervello del pavone
6. Un sasso nello stagno
7. Improvisation 13 en la mineur
8. Asuda
9. Joker in the village

Stefano Bollani-piano
Jesper Bodilsen-bass
Morten Lund-drums


2009年作品