高橋靖子の「千駄ヶ谷スタイリスト日記」

高橋靖子の「千駄ヶ谷スタイリスト日記」

4月6日前後 日々のつながり

2005-04-09 | 千駄ヶ谷日記
夕方から、国立競技場で行われたコレクションにゆく。
実は昼間、大変エキサイティングなことがあって、張り詰めて空を飛んだ凧が陸によたよたと落っこちた時のように(といっても悪いことじゃなくて、たんに昼間の緊張感が解けたということなのだが)夕暮れの中でよれよれしていた。
でも、どこに属するわけでもなく、コツコツと独りで仕事をしている私にとって、わざわざコレクションに招待してくれること自体、うれしいこと。それに、サッカーの歓声が聞こえてくる距離に住んでいるわたしには
競技場はお散歩 コースだしね。10分程歩いて会場へ。
会場で、いつも何故か気になる、何故か親愛の情を感じるファッション評論家(といって良いのかどうかわからない方)に会う。
いつもは30秒か、1分ぐらいしか話をしないのに、10分間お話をした。そのかたの話のセンスが気分いい。私と業界とか、仲間うちとかの接点はとてもはかない。でも、そのはかなさで思い出したように繋がる人間関係を楽しく思う。
(そういえば5日にも、恵比寿 のリキッドルームで行われたコレクションで
懐かしい同業のひとに何年ぶりに、ばったり会った)こんな意味不明なことを書き綴りながら、ふと思う。
2005年と1970年代をブログで行き来しているように、一日の中でも異なった空間で異なった時間を過ごすことが私は好きなのだ、と。
めいっぱいひとつの世界で過ごした後、また違う空気の中にいる。それを面白がったり、必要としているのは間違いなく、私自身の選択によるものだろう。
一日の結末がつけがたいまま、夜が過ぎて、瞬 く間に新しい日になった。 1時間ほどベッドに横たわって、朝1時に起きて、2時半にワゴンタクシーに衣装を積んでロケの現場に向かう。
代官山の現場はそこばかりが異常にまばゆく目覚めている。
その煌々とした光の中に私は飛び込んでゆく。ここで7時間が過ぎて、朝の10時に撮影は終わった。
現場前の旧山手通りを雑誌「メイプル」の編集者が通り過ぎてゆく。
「コマーシャルってすごいのね」と声がかかった。(確かに雑誌の撮影より大げさだ)道の向こう側の「パントリー」でサンドイッチと山羊のチーズを買って家にもどった。寝不足だから、お昼寝をしよう。

写真 (撮影・Yacco) 家の近所の桜です。