聴覚障害者制度改革推進中央本部ブログ

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(2010年4月16日付で、名称を変更いたしました)

■聴覚障害者「自立支援法案」対策中央本部決起集会が開催されました

2005年05月11日 | 報告
集会の最後に、参加者全員で「がんばろう三唱」を行った。


全国より210名が結集し緊急アピールを採択

去る5月5日、東京・国立オリンピック青少年記念センターにおいて、聴覚障害者「自立支援法案」対策中央本部決起集会が開催されました。全国から210名もの参加者があり、非常に熱気あふれる集会となりました。
この集会では、中央本部より「国の責任によるコミュニケーション保障の確立を求める緊急アピール」(下記参照)が提案され、参加者の皆さんによって採択されました。

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【聴覚障害者「自立支援法案」対策中央本部決起集会にて採択】
国の責任によるコミュニケーション保障の確立を求める緊急アピール
-障害者自立支援法案の審議にあたって-


 2004年10月、厚生労働省は突然、「今後の障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン案)」を発表しました。この内容は、障害者福祉施策の根本を抜本的につくりかえる重大な内容を含んだ提案であるにもかかわらず、国はわずか4ヶ月後の今年2月に「障害者自立支援法案」として国会に上程し、今年10月から実施に移そうとしています。
 法案は、障害の種類に関わらず福祉サービスを統合し、実施主体を市町村に一元化し、公費医療負担制度を含む障害者福祉施策を全般的に見直し、現在の施設や事業を再編するなど、多岐にわたる抜本改定の内容となっています。特に、「法案」には、これまで障害者施策で行われてきた「応能負担」を「応益負担」の仕組みへ転換するとともに、「食費等」を新たに自己負担とすることが盛り込まれており、所得保障の拡充がないままに、障害者に大幅な負担増を強いることになります。
 こうした重大な内容をもつ「法案」の策定を、障害者や関係者の意見を十分に反映しないまま推し進めるやり方に、多くの障害者団体から疑問や不安の声が上がっています。私たちは、国が一方的に「改革」を押しつけるのではなく、障害者や家族、関係者の願いを反映するより良い制度をめざして慎重な審議を行うよう、強く求めます。
 「法案」は枠組みだけが示されたもので、具体的なものは今後、政省令で示されることになっていますが、聴覚障害者福祉の関連では、「法案」の第2条第3項で「意思疎通について支援が必要な障害者等が障害福祉サービスを円滑に利用することができるよう必要な便宜を供与すること」と明記し、コミュニケーション保障を市町村の責務としています。また、同第77条では、手話通訳等の事業を市町村の基本事業とするなど、制度的な位置付けが明確になっています。
 しかし、手話通訳等の事業が組み込まれる「地域生活支援事業」は国や都道府県の補助金を受けて市町村が実施する仕組みとされています。そのため、国や都道府県・市町村の厳しい財政事情のなかで、手話通訳等の事業が安定的に運営される見通しがあるのかどうか懸念されます。また同事業は、実施体制や利用者負担金については市町村が決定することとなっており、「応益負担」の仕組みが導入される恐れもあります。
 それに、自立支援給付においては、サービスを利用する聴覚障害者に対するコミュニケーション支援が制度的に位置付けられていなく、相談・調整・支援やサービス提供場面でのコミュニケーション保障が不十分であるなどの課題が見られます。これは現行の支援費制度や介護保険制度の課題でもあり、ろう重複障害者などへの支援が円滑に行なえない恐れが十分にあります。
 言うまでもなく、人間が、自ら考えたことを表明し、他の人々と話し合い、協働作業を行う前提条件としてコミュニケーションは必要不可欠なものです。よって、コミュニケーションは基本的人権として保障されるべきであり、その支援については、その重要性を認識し、国の責任で財源確保を十分に行い、サービス水準の後退や市町村格差を生じさせないよう、私たちは下記の通り要望します。

           記


1.市町村・都道府県に聴覚障害者との相談など専門的な技能を有する手話通訳者等を配置し、障害者福祉サービスの適切な利用を促進するための方策を講じること。

2.聴覚障害者が地域の社会資源を自由に利用できるように各種方策を講ずること。

3.障害者福祉サービスなどの利用に係るコミュニケーション保障の基盤となる手話通訳事業及び要約筆記事業の拡充及び新規実施を図ること。
(1)市町村は、手話通訳派遣や要約筆記派遣のための予算拡充及び新規予算化を図ること。
(2)都道府県は、手話通訳者及び要約筆記者の養成の責任を担うとともに、手話通訳派遣事業や要約筆記派遣事業の広域的対応や単独での実施ができない市町村の受け皿として、広域手話通訳等派遣事業所を設置すること。

4.障害福祉計画の策定にあたっては聴覚障害者の意見が十分反映される体制を保障すること。

5.コミュニケーション保障はあらゆる制度利用の根幹に係るものであり、利用者負担はなじまないため、地域生活支援事業における手話通訳や要約筆記の利用については全て無料とすること。

6.障害程度区分の判定及び支給決定における審査判定業務を行う市町村審査会の審査には聴覚障害関係者の意見を反映させること。

7.中途失聴・難聴者のニーズを反映した方策を講じること。



                                       2005年5月5日
聴覚障害者「自立支援法案」対策中央本部決起集会 参加者一同
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国の責任によるコミュニケーション保障の確立を求める緊急アピール(PDF版)

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