(日本の法務省に“Justice”はない!)
先週からニュースやワイドショーを騒がせた(喜ばせた?)アニータ嬢の来日騒動。しかし、あの毒婦の映像を見て、ある疑問を抱いたのは、私だけだったのだろうか?
昨年から、NHKや民放キー局のニュースでは、不法滞在で法務省入国管理局から国外退去を迫られているイラン人一家について何度か取り上げている。日本育ちの娘さんたちは日本語しか話すことができず、またひとりはこの春から大学進学も決まっている。父親はきちんと仕事を持ち、生計も立てて、もちろん犯罪を行なったわけでもない。にもかかわらず、杓子定規に不法滞在と決め付けた入管の決定を、最高裁が「追認」する判決を出してしまったのだから、法律は一体何のためにあるのか?法治国家としての日本国そのものまで疑いたくなってしまう。
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/photojournal/archive/news/2007/01/12/20070113k0000m040104000c.html
もし、娘さんたちがこのままイランへ強制送還されれば、言葉とともに、いやそれ以上の「地獄」が待ち受けている。イスラム教国家であるイランでは、チャドルの着用をはじめ、宗教上の理由から女性の権利は極端に制限されているからだ。いかに国籍がイラクにあっても、日本社会で教育を受けてきた若い女性がそんな生活に耐えられるはずはないし、またそんな苦労を日本のクソ官庁とアホ裁判官によって強いられるいわれもない。もちろん、ある程度の文化的相対性は尊重されるべきだが、イスラム教国家の中でも世俗主義を取り、女性の国家元首まで誕生した国もあるのだから、やはり宗教の名のもと、女性を男性の下に置いたり、あるいは所有物とみなすような価値観は、「人を傷つけたり殺したりしてはいけない」「物を盗んではいけない」「だましてはいけない」という、世界共通の倫理観に加えられるべきだと私は考えている。
いずれにしても、イラン人一家は日本での生活を望み、地域社会やお嬢さんたちの通う学校関係者も彼らを支援しているのだから、一家がこのまま追放の憂き目にあったら、われわれ日本人はいよいよ世界に恥をさらすことになる。
こうした罪なき市民が危機と恐怖にさらされる一方で、アニータ嬢は(おそらく)信じられないことに日本への入国を認められた。だが、彼女が「主犯」ではなかったにせよ、彼女の夫である地方公務員は14億円もの公金を横領し、うち11億円が彼女に貢がれ、夫は実刑判決を受けて服役したのである。もちろんアニータ嬢が故国に持ち帰った青森県民の血税はいまだ取り返されていないのだ。
しかも彼女は日本在住の間、売春行為を行ない、また同胞の女性たちを日本に送り込んだ管理売春の疑いもある。なぜこのような「札付き」の人物が、すんなり入国を認められたのか?
同時に呆れるのは、イラン人一家の問題を報じていた民放キー局のニュース番組が、なんの矛盾も感じずに、アニータ騒動の映像を垂れ流していたことである。「何の罪も犯していないイラン人一家が国外退去の危機にさらされているのに、なぜ公金横領の原因となり、自身も日本国内で売春行為をしていたチリ人女性の入国が認められたのか」と叫ぶべきだったのは、当然こうしたニュース番組だったはずだ。しかし、そうした根本的問題を追及した番組はもちろん皆無で、それどころか某民放キー局の「ワイドニュースショー」番組などは、アニータご一行の移動のタクシー代まで出していたらしいのだから、呆れるほかない。
そもそも、今回の問題に限らず、法務省をめぐっては、おかしな問題が多すぎる。たとえば、離婚後300日を経過していなければ、その間に子供が生まれると、たとえ再婚していても、前夫の子供と認定される民法規定の問題。DNA鑑定など科学的に親子・血縁関係の判定が容易になった今日、こうしたシーラカンスのような法規定が生き続け、その犠牲となっている母親や子供が数多くいることじたい、絶対に許されることではない。しかも法務省は法不備の犠牲になっている親子や、その問題に直面している地方自治体から法改正の要望が出ているにもかかわらず、それを無視しようとしているのだ。
また、法務大臣の人選にも大いに問題がある。法相は内閣発足の際、外相や財務相よりも先に、首相に続いて名前が呼ばれることからも分かるように、本来は住職であるはずだ。死刑執行の承認を行なうことからも、それは当然だろう。ところが、近年はとくに、とてもそうした重責を担うにふさわしいとは思えない人物が相次いでこの職に任じられている。南野元法相の、あのひどすぎる国会答弁を思い出せば、この人選がいかにいい加減に行なわれているかは一目瞭然だ。
法務省、あるいは司法省と呼ばれる官庁の英語名は「The Ministry of Justice」である。Justiceとは正義、公正を意味する言葉だが、残念ながらわが国の法務省の現状は、「看板に偽りあり」と断じざるを得ない!
追記:その後の報道では、イラン人一家は長女が大学に進学するための特別再入国を入管に認めてもらうことを条件に、出国に応じることを家族会議で決めたようだ。いずれにしても、一家は当面引き離される。「不法滞在は違法行為じゃないか」との声もあるようだが、背景には移民を容易に認めようとしない(しかも杓子定規なザル規定であるため、本来入国を阻止したい犯罪者などは入り放題に近い状態)我が国の入管・移民政策の問題点が存在するのは確かである。まあ「女は子供を産む機械」呼ばわりするような御仁が、厚生労働行政のトップにいるような国で、それをテレビで擁護するような発言をする「著名法律家」もいらっしゃいますからね。法務省や入管だけがまともだっていうのも考えてみればおかしいか……。
アニータのような犯罪人が堂々と歩き回り(離婚のためらしいが)、純真な少女が育った国を追い出される・・・。
ホント、安部さん好みの美しい国になったものです。
アニータはチリで裁判に勝ったらしいですね。それでトラブルに巻き込まれるのをおそれた政府が彼女の入国拒否に弱腰になったのかと、邪推したくなります。彼女が入国できるなんて、びっくりしました。
イラン人家族の件は知りませんでした。m(_ _)m あとで私のブログでも取り上げます。(こういうニュースは日刊ゲンダイが大々的に取り上げてくれればいいのだが)
一部のマスコミと馬鹿な野党のヒステリックなオバサン連中の反応しか見ていないとは思いませんが、私も発言の原文読むと「女=子供を産む機械」とは思えない1人です。
>一部のマスコミと馬鹿な野党のヒステリックなオバサン連中の反応
他人を批判するのに、こうした貧しい表現しかできないあなたの国語力も大いに問題ありですね。それから、「通りすがり」なんていかにも責任回避のペンネームなど使わず、もう少しこちらがプロファイリングぐらいできるような名前をお使いになったらいかがですか?
いずれにしても、このエントリーは法務省と入管の問題点と、それをきちんと伝えないメディアの怠慢が主題なのであって、本来は「エントリーのテーマと直接関連のない」コメントとして、投稿規定では削除の対象としているものです。それでもあえて掲載したのは、まあこういうヒトも世間にはいらっしゃるという「嘆かわしい現実」を多くの閲覧者の方々に知っていただくのが目的です。
この文章は載せる載せないはお任せします。
コメントというより意見です。
まず本題と関係ないコメント寄せてしまったことには申し訳ありません。
だた最後にまさに関連があるように書いてありましたのでコメントしてしまいました。
ここからまた外れますが…柳沢氏の発言は確かに行き過ぎた部分あると思いますが、「なかなか今の女性は一生の間にたくさん子どもを産んでくれない。人口統計学では、女性は15~50歳が出産する年齢で、その数を勘定すると大体分かる。ほかからは生まれようがおない。産む機械と言ってはなんだが、装置の数が決まったとなると、機械と言っては申し訳ないが、機械と言ってごめんなさいね、あとは産む役目の人が1人頭で頑張ってもらうしかない。」から「女=生む機械だ」と言ったとしまうのは乱暴すぎないか?と思ったのです。それ以上に実際に言ったと言われて紹介されている文章が上記とかけ離れたものがあります。原文を読んで思ったのならともかく違ったものが出てきて非難されているところに危うさを感じました。
柳沢発言については、たとえトークの間に何度も断りを入れていたりしていたとはいえ、「機械」とか「装置」という言葉を比喩として使うこと自体が実に品性を欠いていると思います。また、
「なかなか今の女性は一生の間にたくさん子どもを産んでくれない」という部分には、むしろ「機械」以上の問題点があると思います。
今日ここまで深刻になった少子化問題は、果たして「女性が子供を(たくさん)産まなくなったこと」だけが原因なのでしょうか? むしろそういう事態に至るまでのプロセスや社会背景にこそ、最大の原因があるはずです。
「職場における真の男女平等」を獲得するためには、現在の日本では、時間外労働や休日出勤など、男性と同じく劣悪な労働条件を受け入れなければなりません。大企業でも女性社員が妊娠すると陰に陽に退職を迫られる例は依然としてあとを絶ちませんし、育児休暇にしても十分な期間が与えられているとは思えません。過日の民放テレビ局アナウンサーの死は、間接的にせよ、その問題点が背景にあったと思います。育児休暇などについては比較的恵まれているはずのテレビ局で働いていても、あのような悲劇につながる可能性はあるのです。彼女を襲った病魔も、(年齢に関係なく)妊娠・出産がきっかけとなったことは十分に想像できます。
法律では男性の育児休暇も認められていますが、実際には取得するためにはさまざまな困難が伴います。
さらに「いじめ」「差別」「格差」が蔓延する教育現場や地域社会の問題も、少子化に拍車をかけているといえるでしょう。
こうした問題が叫ばれ始めたのは、昨日や今日のことではありません。何十年も前からです。にもかかわらず、厚生労働省は「厚生」「労働」両省の時代から、抜本的な問題解決を怠ってきていました。
にもかかわらず、所轄官庁の長が、自身と所属する省庁、政権政党がなすべきことを認識しないまま、軽率な発言をしたからこそ、世間は怒っているのではありませんか?
結局、頭の中身が「富国強兵」「産めよ育てよ」の時代からほとんど進化していない人間ばかりが政権や中央官庁の中枢に座っているわけですから、抜本的な少子化・人口減の克服など、できっこないわけです。それに子供ひとり生むのって、女のヒトにとってはやはり命がけですからね。妊娠中や分娩時の医療事故が相変わらず少なくないことを考えても、厚生労働大臣たるもの、あの発言はしちゃいかんでしょう。自分たちの無為無策を棚に上げてね。「機械」とか「装置」の部分をクローズアップする以前の問題として、発言全体がなっちゃいませんよ。不見識! 不謹慎!! 不真面目!!!
また、あなたは「一部のマスコミ」「バカな野党のヒステリックなオバサン連中」を嫌悪されているようですが、私に言わせれば、表現方法はどうあれ、発言に重大な問題があったのは事実なのですから、それに対して噛み付かないようなメディアや野党など、私から言わせれば逆に存在意義がないと考えています。わが国はどこぞの将軍様が君臨するお寒い国のような「全体主義国家」ではないのですから。
なお、エントリーの趣旨からこれ以上逸脱するのを避けるため、「柳沢発言」問題に関するコメントやトラックバックはどの方からのものであっても今後受け付けませんので、あしからず。