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メディアは報道における「優先順位」を間違えるな!

2008年02月26日 | えとせとら

 

 ここ数日、新聞やテレビの「報道」に接するたび、ウンザリさせられている。原因は例の「ロス疑惑再燃」によるメディアの「お祭り騒ぎ」である。

 

 スポーツライターの玉木正之さんは、あるテレビ局から「緊急の出演依頼があって」引き受けていた番組出演が、前日になって「企画が三浦事件に変更されましたのでまたの機会に」 と一方的にキャンセルされたそうである。

http://www.tamakimasayuki.com/index.htm

 

 

 事件の真相についてここで論じることはしない。ただひとつ言えるのは、先週から起こったさまざまな出来事のなかで、「ロス疑惑再燃」は決して新聞の一面やテレビニュースのトップ項目に持ってくるような事件ではないということだ。

 

 先週末に関していえば、全国で強風が吹き荒れ、数多くの被害を出した悪天候について、今後の予報や注意の呼びかけも含めて、紙面や時間が割かれるべきであったし、いまだ被害者が行方不明のままで、しかも漁船に衝突したイージス艦側の怠慢、不手際、証拠隠滅ともとれる行為が日を追って明るみに出ている重大事故についても、メディアは追及の手を緩めるべきではないはずだ。

 

「ロス疑惑再燃」に関しては、あの疑惑自体が、民放キー局の夕方ニュース枠に象徴されるような「ニュースのワイドショー化」のきっかけを作った一件であり、今回の報道でも疑惑の「再燃」をあおる姿勢ばかりが目立ち、そもそも最高裁で無罪が確定した事件について、外国の捜査機関が自国(州)の法律を適用して、外国人である被疑者の身柄を拘束することが国際法上通用することなのか、あるいは日本政府や捜査機関がこうした捜査に協力するべきか否かについての議論や分析などがほとんど見られない。

 

 玉木さんはご自身のHPで、「まさかイージス艦事件潰しとちゃうやろな」と半分ジョークを交えながらコメントしているが、私自身も逮捕の一報を聞いたとき、真っ先に同じことを連想した。実際にはそうしたことはないのだろうが、しかしここ数日の報道ではまさに「イージス艦事件」に費やされるべき報道のスペースや時間があきらかに「ロス疑惑再燃」によって少なからず削られている。私に言わせれば、「ロス疑惑再燃」に割くのは、新聞なら三面記事で2、3段、テレビニュースでも1分あれば十分であり、一般紙が一面に持ってきたり、テレビニュースのトップ項目で延々と伝える事件ではない。

 

 ロス疑惑は依然として「疑惑」のままであるが、「イージス艦事件」や「悪天候」は実際に起こったり、現在進行中の「事件」「事故」である。イージス艦側が衝突直後に漁船乗組員親子の捜索・救助活動を行なわなかったことなどは、もっと厳しく追及されなければならないのに、メディアはそれに費やすべきスペースや時間を削減して「ロス疑惑再燃」報道に狂奔しているのである。私は少なくともこうした無責任・無神経な報道を行なっているメディアに対しては、新聞の不買、NHKの受信契約解除、民放キー局ニュースの提供スポンサー賞品不買などの「実力行使」で、抗議の意思を視聴者・読者の側が伝えるべきであると考えている。

 

 

 



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