
昨日の夕方、確かにその声を聞いたのだ。
といっても、
「それを作れば、彼はくる…」
という、フィールド・オブ・ドリームスのような美しい話ではない。
ただセミの鳴き声を聞いただけである。
しかし雨が降らずに1日が終わることはないという、うっとうしい気候が続いている中、今年初めて聞いたセミの鳴き声。
これは本格的な夏の到来を予告するものではないか。
そう思って今日、目が覚めてすぐに窓を開けると、空には雲のひとつも見当たらなかった。

ここは府中市民球場。
10時から始まった第1試合は終盤しか観戦できなかったが(大成高校おめでとう!都大泉もよく頑張った!)、12時50分にプレーボールがかかった第2試合には悠々と間に合った。
都立高校同士の対戦である。

スタンドの椅子は内野だけの、いかにもアマチュア用といった趣の球場だが、かつては巨人の二軍も試合をしていたのだとか。
いかにも高校野球観戦の常連といった感じの、日に焼けたじいさまから教わった。

試合は都富士の中原、都四商の山田の両先発が好投し、ゼロ行進が続く。
本当はもっと試合の詳細を書きたいのだが、スコアボードに選手名を表示してくれないため、細かいところを記すことができなかったのだ。
ただ都富士のレフトを守っていた小柄な「チヒロ」という選手は印象に残っている。
その姿がいかにもすばしっこそうで、塁に出ると投手がかなり嫌がっていた。
走塁の途中で足を滑らせてヒヤッとする場面があるなど、少々おっちょこちょいの感もあった。
こういうタイプは、往々にしてクラスでは人気者になる。

延長12回表、ようやく2点を奪った都富士が勝利。
帰り際都四商の選手が引き上げるのと一緒になったのだが、皆が涙にくれていた。
私だって10年には彼らと同じ歳だったはずなのだが…
曲がった大人になるなよ。
曲がった大人にならないためには、相当な努力が必要であることに気付かせてやるのが「教育」であるように、最近思う。