6時に起床した。ひどい雨が降り、強い風がふいている。
北海道限定の北のどん兵衛で朝食とした。
台風の影響で天候が大荒れだ。海を見にゆくと泥色の波がはげしくうねっていた。
瞬間的に突風がふくので傘を壊されてしまう。
車のまわりは水浸しでスニーカーを濡らしてしまった。
バイクの横にたてておいたラダーをベットスペースにしていた床に移動するが、カッパを着ないと作業できない。車内の整理がおわると濡れた雨具はバイクにかけて干しておいた。
太平洋沿いの国道38号線を西にすすむ。雨ははげしく降っている。視界は悪いのに後方から追い越しをかけてくるトラックがいて驚かされた。センター・ラインは白線だが、この悪天候でよくやるよ。
浦幌のセイコマで休憩する。ドリップ・コーヒーがないので缶コーヒーだ。ここでフェリー会社に電話をかけて明日の便がでるか確認した。台風のコースからほぼ大丈夫との答えだが、万一欠航や遅れがでた場合は携帯に連絡してくれるそうだ。
集めたフラッグはダッシュボードに飾っておいた。
十勝に入ると広大な畑がひろがる。
原野や利尻富士もよいが、畑の風景もよい。
車をとめたのは中札内のちかくの更別だ。
畑が水浸しになっている場所もあり、心配だ。
近くの芽室は水害の被害がでている。
雄大な畑は北海道を代表する風景だ。
雨の日のための目的地にやってきた。
中札内にある六花亭の運営する中札内美術村だ。
林の中に美術館が点在している。
見たかったのはここ。
以前も来たのだが何度でもたずねたい美術館だ。
入場料は500円だがJAFの割引で400円になった。入場券は作品の絵葉書で洒落ている。
小泉淳作は53歳まで無名だった日本画家だ。その後はめざましい活躍をしていて、鎌倉の建仁寺と京都の建長寺の龍の天井絵をかいている。
自分に妥協せずに、愚直なまでに芸術性を追求するのがその作風だ。
東大寺の襖絵もかいている。大好きな画家なのでじっくりと時間をかけてすごした。
美術館をでて林の道をゆくと、水没しているところがある。そんなところには木がわたしてあった。
六花亭の売店、柏林があった。柏の林を保存しているからこの名前だそうだ。
土産をもとめると雨の日用の丁寧な包装をしてくれた。六花亭の文化活動は敬服に値するとおもう。
昼時となった。食事をするところは決めていた。近くにある、じんぎすかん白樺である。ここのジンギスカンは旭川の大黒屋についで、日本で2番目においしいと私は思っている。今日のご馳走は美術館と白樺、そして札幌ナイトである。
国道236号線から道道56号線に左折する。紫竹ガーデンの案内が目印だ。もう少しで白樺かという川をわたる地点にゆくと、なんと橋が落ちていて通行止めになっていた。大樹町というところで、そういえばニュースで水害の被害がつたえられていたところだと気がついた。
道道56号線で西にゆけないので、北に迂回することにしたが、道がない。南をさがすことにすると、中札内からの広域農道があった。しかしここも橋は通行止めだ。走り回ってルートをさがすのが嫌になったので、白樺は断念することにした。
昼食はどうしようか。帯広までゆけば以前利用した焼肉の平和園・本店がある。しかし帯広までは距離があるなと考えていると、この先は大正で、名寄の三星食堂でお世話になった、HPを相互リンクしていただいているFukishimanさんのツーレポにセパというレストランが紹介されていたのを思い出す。そこにしようか。
大正につくとラム亭という店があり、ジンギスカンを食べたかったのだからこちらのほうがよいし、たしかこちらはやはり相互リンクしていただいているじゃばさんが以前利用していたのを読んだ記憶がある。こっちにしようと決めたら、ここは販売だけでレストランは辞めてしまっていた。そこでセパに入ることにした。
セパはロッジ風の建物で国道沿いにあった。
店内もウッディなよい雰囲気である。フレンドリーなご主人におすすめを聞くと、豚肉をつかった炭焼豚丼かカツ丼とのこと。看板もでていた炭焼豚丼900円をおねがいする。カニの家に泊まる旅人用に、肉質を落として低料金にしたメニューもあるそうだが、通常の豚丼をオーダーした。
10分とかからずに炭焼豚丼はやってきた。
味噌汁ではなく暖かい蕎麦がついているのがうれしい。この太い蕎麦と薬味のネギの風味がよかった。
豚肉は炭火で焼いているから香ばしい。甘辛いタレもよく、肉はぎっしりと敷きつめてある。美味しくて一気にたべてしまった。
セパを出て札幌にむかう。今夜は北海道最後の夜だ。札幌で飲みたいと思っていたので、宿泊地をナビにセットして走りだす。高速にのろうとすると千歳方向にはゆけないと表示がでている。日勝峠と狩勝峠のふたつの大動脈が通行止めなのに、この上高速が通れないわけはないと思ったら、そのまさかの通行止めだった。
高速のゲートの直前で気づいたのでそのまま道央道に入ってしまった。駐車スペースに車をとめて、係員に迂回路を確認しようとしたら、もうすぐ通行止めは解除されるとのこと。じっさいに5分後には通行できるようになったから、タイミングがよかった。
通行再開をたくさんの車が待っていて、解除と同時にいっせいに走りだす。道央道は上下1車線ずつの道路だ。前の車につづいてはしる。道路の法面はあちこちでくずれていて、ブルー・シートをかぶせて補修してあった。
道央道の帯広・占冠間は災害時の迂回路と言うことで無料区間だと知っていた。そこで帯広・夕張間を利用したのだが、通常料金をとられてしまった。どういうことなのかというと、無料になるのはあくまで帯広・占冠で乗り降りしなければならず、夕張までつづけて使うと、帯広・占冠間の料金も無料にはならないのだ。帰ってから知ったのだが、騙されたような気分になった。もっとわかりやすく表示すべきである。知らない者からは金をとってやろうという、行政の作為を感じた。
占冠で晴れた。スマホ・ナビのおすすめルートにしたがい、夕張で高速をでた。実績のあるスマホ・ナビでも、無料区間のわかりにくいルールまでは織り込めない。国道274号線をゆくと滝の上公園がある。以前もここで増水した川を見たので立ち寄ってみた。
千鳥ヶ滝は泥色の濁流となっていた。
夕張から北広島に入ると稲作地帯となった。十勝の畑から札幌周辺の米所にもどってきたのだ。
札幌市街にはいり、ナビにセットしておいた宿泊地に到着した。すすき野交差点のちかく。ここは24時間営業でトイレもあるタワーパーキングである。宿泊施設ではない。料金をはらって車をとめておくところだ。しかし、もしかしたら車内で仮眠をとることになるかもしれないので、準備はしておいた。
札幌の街をぶらぶらとあるく。渋い昭和テイストの居酒屋がある。たかさごや、という店で、場所をおぼえておいた。
新ラーメン横丁というものがあった。店を物色してあるいていたが、この地下に雰囲気のよい割烹があり、ここも今宵の呑みの候補地としておいた。
いつものラーメン横丁も散策する。
通りは変わらないがお店は入れ替わっているのだろう。
入りたいと思っていた店は満席だった。いろいろと見てまわったが、昨日走りにいって、霧と雨で引き返した野付半島の、のつけ、という名前の店が気に入った。すすき野交差点からすこし離れたビルの1階である。
カウンターで飲んでいる男性が見えたのだが、とても楽しそうにしているし、野付半島を走ることはできなかったから、のつけ、で呑んでやれと思ったのだ。
愉快そうに飲んでいる男性のとなりのカウンターに腰をおろした。生ビールでスタートする。お通しは2品で煮物と鮭の南蛮漬けだったかな。
刺身のおすすめをきくと、お得な刺し盛り1200円があるとのことでそれをおねがいした。刺し盛りはきれいな仕上がりだ。四角くて白い皿も刺身の色がひきたってよい。ソイ、タコ、サーモン、マグロにツブである。右下のソイは湯引きしてあり、皮もそえてあった。
となりの方とたのしく語りながら飲んだ。リタイヤした方でアカデミックな語り口の人だった。ビールは飲み干して昆布焼酎の利尻500円にする。大将にソイは湯引きしてあるが、皮といっしょにたべるのか聞いた。するといっしょにではないとのこと。皮も美味いから、それだけでやってみて、との答えだが、料理がすきなの?、と聞かれた。
ギョウジャニンニクの名前は聞くが、たべたことがない。メニューにあったのでおひたしをお願いすると、卵黄をのせて提供された。
まずギョウジャニンニクだけをたべてみるといける。しょう油をすこしつけるのが私は好きだ。玉子をくずすと、卵黄の味しかしなくなってしまうのが惜しいと思うが、それでもよい酒のツマミではある。
利尻から地酒の国希500円と飲みすすむ。コップの水はチェイサーである。大将は野付、根室にくわしい。そこで根室半島の南に人家はあるが、北には牧場しかないのはどうしてなのかたずねた。答えは明白で、冬になると根室の北岸は流氷が押し寄せて船の出入りができないのだそうだ。したがって南側にかたよって発展しているとのこと。
大将が漬物をサービスしてくれた。カブとスケソウダラの漬物でこれはめずらしい。うす口で味はほとんどない。カブはほんのりとにがく、しょう油をかけてたべると酒にあう。どうやってつくるのか大将にたずねるも、職人肌の大将の口はおもい。ただ、料理が好きなんですか、とまた聞かれてしまった。
となりの男性がかえったので、国希をのんだところで私も腰をあげた。大将は若い頃に自転車で日本一周をしたことがあるそうだ。お会計は3450円。
ふたたび札幌の街をあるく。コーヒー・ブレークをして体調を推し測る。今夜はパーキングで仮眠をとるかもしれないから、酔いすぎてはいけない。タワー・パーキングは宿泊施設ではないからね。でも、もう1軒ゆけそうなので、目をつけておいた、たかさごや、にゆくことにした。
すすき野交差点近くのたかさごやにゆく。昭和テイストの渋い店だ。オヤジにはたまらないね。
たかさごやは炉端焼の店だった。いつも飲むホッピーがないのでレモンハイ400円にする。お通しはアサリ焼きと落花生を煮たものである。落花生は新物だそうだが味がない。煮たのははじめてたべたが、こういうものなのかな。
生牡蠣をたのむと品切れだった。そこで宗八カレイはどのくらいの大きさなのか女の子にきく。すると彼女は自分の手のひらをしめしたので、カレイをオーダーした。
注文をうけると大将がカレイに鉄串をうち、尺塩をふって焼きだす。すばやく提供されたカレイは表面は焦げているが、中はジューシーな焼け具合。私はこんなに強く焼けないから、プロの技を感じた。
常連さんがやってきた。サンマの塩焼きをオーダーしている。大将は3匹あるサンマの腹や背をおして、いちばんの魚をえらんで鉄串をうち、尺塩をふって焼きだした。いい店だ。
レモンハイを飲んだので、この店でいちばん安い日本酒、金滴330円を熱燗でもらった。宗八カレイは熱燗だよねと思ったのだ。金滴はつーんとくる安酒だったが、炉端焼にはあっていた。これでお会計は2140円。
これだけ飲んでは動けないので、やむなく車の中で仮眠をとることにする。パーキングにもどったのは22時だった。
車の走行距離 350キロ。
8日目を楽しく拝読しました。
かなりの荒天であることが、写真からもよくわかります。
白樺へ行くことができなかったのは、残念でしたね。
セバの経営者はゆる~い人ですが、炭火はいつでも準備しているということでした。あっさり味かつ、炭火で焼いた肉の香ばしさは特筆ものでした。
トランポ旅は天気に関係なく楽しむことができるのが、嬉しいですね。
では。
白樺はまさかの事態でした。でも、その代わりにセパに行くことができました。とても美味しかったです。昼から飲んでいる人もいて、愉快でした。
Fukishimanさんはポルトガルに行かれたようなので、そのレポも楽しみをしています。