日本で唯一の地上戦が行なわれた沖縄。沖縄県民は「臣民」という扱いさえ受けられず、沖縄方言を話すものはスパイとされたといいます。そして、そういう扱いを受けながらも、「御国のため」に死ぬことを強要されました。
7日放送の「生きろ」~戦場に残された伝言(TBS)は、その沖縄戦のなかで一人でも多くの沖縄県民を救おうとたたかいぬいた県知事・島田叡(演:緒方直人)、そして彼とともに沖縄県民の疎開に尽力した県警察部長・荒井退造(演:的場浩司)を、生存者の証言者などをもとに構成されたドラマです。
沖縄のことばに「命(ぬち)どぅ宝」ということばがあります。十数年前、沖縄へ仕事で出かけたとき、沖縄のおじいやおばあから教えていただいた言葉です。「命がいちばん大切」と言った意味になるのでしょうか? NHKの朝ドラ「ちゅらさん」シリーズにもしばしば登場した言葉ですね。
島田が県職員や沖縄県民に向って訴えかけたのは、まさに「命どぅ宝」・・・「生きろ」ということでした。劇中で島田は、「友軍と行動をともにするな」と県民を諭します。軍と一緒にいれば、命の保証はない。民間人が投降すれば命だけは助かるとの思いから出た言葉でした。島田と荒井の2人は、沖縄戦の組織的抵抗が終わった6月23日から3日後、摩文仁の軍医部壕を出たのを最後に消息不明となったといいます。あれから68年、いま沖縄県職員や島田の出身地である兵庫のみなさんが、「島田知事を故郷へ帰してあげたい」との思いで遺骨探しを行なっているそうです。
さて、劇中で印象深かったのは野球を愛した島田が語る「ゲームセットまではあきらめない」の一言。最後の最後まで、県民の命をひとりでも多く救うまであきらめない―という意味で用いられていますが、もっと大きな意味が込められているような気がします。
摩文仁の軍医部壕を出て、米艦隊がひしめく洋上をのぞむ岸壁で島田と荒井は短い言葉を交わします。
荒井「ゲームセットはまだですよね」
島田「まだです。まだ大試合が待ってますよ」
米軍機が墜落しても米軍の許可がなければ、たとえ米軍施設外でも日本の警察は捜査ができません。米兵が犯罪を犯しても「公務中」とされれば日本の警察は手を出すこともできない・・・沖縄から米軍基地がなくなったとき、かれらのゲームは終わるのではないのか!と感じさせられました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます