KISSYのひとりごと

日々感じたこと、ドライブ日記やDVDのレビューなど…徒然なるままに綴っています。

沈まぬ太陽

2011-02-11 23:58:16 | 映画・ドラマ

 山崎豊子の長編小説を映画化した「沈まぬ太陽」を観ました(11日・日本テレビ系)。「沈まぬ太陽」は、日本航空と実在した同社の労働組合委員長をモデルとしたフィクションです。

 「国民航空」(国航)労組委員長の恩地元(渡辺謙)は、会社側から煙たがられ、「不当人事」でパキスタン、イラン、ケニアへと国外勤務を命じられます。一方で、恩地とともに労働運動に携わった行天四郎(三浦友和)は、会社側に取り込まれ、やがて取締役へ・・・。

 ドラマは、この二人の生き方の対比を軸にすすめられますが、ストーリー全体を貫いているのは、公共交通にとって一番大切なのは、利益追求優先ではなく安全優先だという原作者、そして映画制作者の信念だと感じました(映画の最後には「この映画があらゆる交通機関の 『安全・安心』促進の一助になることを願います」というテロップが表示されます)。

 恩地はなぜ労働運動に身を投じたのか。それを物語るエピソードも挿入されています。「利益優先の合理化政策では空の安全は守れない」からです(組合事務所には「利益優先の合理化政策を断固糾弾」のスローガンが)。

 ドラマの冒頭には日航123便をモデルとしたとしか思えない航空機事故が発生します。遺族の一人が、事故の原因は「修理代ケチったボロ飛行機に520人も乗せたからや」・・・と。そんな大事故があったにもかかわらず、異常のある機体の整備点検が十分ではないのに、「搭乗時間が来たから」と整備を終わらせるという場面も。ドラマの端々で「国航」の安全軽視の体質が表現されています。

 さて、現実の世界はどうか。この映画がモデルとした123便の墜落事故(1985年)を起こした日本航空は、経営再建という名目で、不当な整理解雇を行いました。この人員削減の結果、日本航空では55歳以上のベテランの機長が1人もいなくなってしまいました。「そもそも日本航空の経営破たんの責任は、政府の過大な需要予測による空港乱造や、『国策』で米国から総額約2兆円もの高額なジャンボ機を大量購入するなど、政府と日航旧経営陣にあり、それを労働者に転嫁することは許されるものではありません」(日本共産党の志位委員長の質問=2月2日、衆院予算委員会→こちら)。これと似たエピソードは「沈まぬ太陽」でもしっかりと表現されています。

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