KISSYのひとりごと

日々感じたこと、ドライブ日記やDVDのレビューなど…徒然なるままに綴っています。

NHK「基町アパート」

2013-09-11 20:35:37 | 映画・ドラマ

 録画してあった番組をようやく観ることができました。NHKが8月24日に放送した「基町アパート」です(NHK広島放送局制作)。

 「基町アパート」は、広島の被爆者や中国残留孤児の生活の場として広島市によって造られたアパートだといいます。アパートの中には学校も商店街もあり、ひとつの「町」をつくっています。ドラマは小学生の龍太(加部亜門)が、「基町アパート」に住む祖父・晃(石雋 シー・チュン)のもとを訪れるところからはじまります。龍太の母親(田中美里=石雋の娘役)が海外で仕事をする夏の間、祖父のもとに預けられるという設定です。

 龍太が祖父と会うのは、これがはじめて。さらに二人の間には、大きな壁がありました。祖父はいわゆる中国残留孤児で、妻と娘(龍太の母)を連れて日本に帰ってきました。日本語を話すことは出来ません。晃は、はじめて会う龍太をもてなしたいと思うのですが、言葉が障壁となって、なかなかコミュニケーションがとれない・・・。一方の龍太も、生活全体が「中国風」の祖父と一線を画してしまいます。このあたりは観ていて切ない思いをさせられました。

 その2人を接近させたのが「戦争」です。龍太の担任は被爆3世、そして龍太は中国残留孤児3世です。龍太は担任教師と話しをするなかで、はじめて過去の戦争と向き合うことになります。「おじいちゃんの話を聞きたい」と。しかし大陸で苦しい思いをしてきた祖父は体験を語ろうとしません。これは、当然のことだと思います。

 しかし晃は、龍太のために8月6日の被爆の日、龍太のクラスで自分の戦争体験を語ることを決意します。晃の口から出た言葉は、当時、子どもだった晃にとっては思い出すだけでも辛いような体験談でした。

 いまでは少なくない戦争体験者が、戦時中に経験したことを語ってくださいますが、この体験を言葉にするのにどれだけの勇気がいったことでしょう。兵士として戦地へ赴き、上官の命令のままに罪もない人の命を奪った体験をもつ方はもちろん、一市民として空襲で家族の消息も分からなくなった方々が、当時の話をするということは、断腸の思いだと思うのです。私たち戦後世代は、「二度と戦争を繰り返さない」ために戦争体験者の方々の体験を後世につなぎたいという思いがありますが、その思いは、同時に、実際に戦争で苦しい思いをされた方々にとっては、そのつらい過去を思い出させることを強要することにもなります。戦争体験者の言葉は、それだけの重みがあるのです。体験談を聞いて戦争の実態を知ることは重要ですが、それを聞いたわれわれはの責任は、さらに重いのではないかと感じさせられるドラマでした。

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