KISSYのひとりごと

日々感じたこと、ドライブ日記やDVDのレビューなど…徒然なるままに綴っています。

ロスト・メモリーズ

2012-10-26 21:23:25 | 韓流映画&ドラマ三昧

 今から103年前の今日、10月26日は、伊藤博文が哈爾浜駅で安重根(アン・ジュングン)に暗殺された日です。「もし、伊藤博文が暗殺されていなかったら?」という世界を描いたのが、2001年に韓国で製作された「ロスト・メモリーズ」(原題:2009 LOST MEMORIES)です。

 哈爾浜駅で伊藤暗殺に失敗した安重根が射殺されるという衝撃的な場面に続き、その後の歴史が早回しで流れていきます。わずか数分ですが、ここで物語の根底となる「歴史」がしめされます。もちろん飛ばしてみても、ストーリーの面白さは損なわれませんが、ひとつひとつをみると、なかなか興味深い(というか、脚本家の苦労がわかる)エピソードがちりばめられています。

1910年 韓国併合 初代朝鮮総督に伊藤博文
1919年3月1日 パゴダ公園のデモ弾圧
1921年 第2代朝鮮総督に井上が就任
1932年 尹奉吉(ユン・ボンギル)、上海の虹口公園で殺される

 朝鮮総督が史実と違うことをのぞけば、このあたりまでは、概ね戦前の日韓関係を表していますね(ただし上海天長節爆弾事件を起こした尹奉吉は逮捕され日本に送られた後、処刑されています)。ちなみに、歴史上の人物ではない第2代朝鮮総督の井上は物語のキー・マンでもあります。

1936年 日本はアメリカと同盟を結び第二次大戦に参戦
1943年 日本、満州を併合
1945年 ベルリンに原爆投下 第二次大戦 終結する

 当時の日本が米国と同盟を結べる条件は皆無に等しいと思うのですが・・・戦争のドサクサで満州併合までしてしまっているし・・・。いずれにしても、「連合国」として参戦した日本は戦勝国として、引き続き朝鮮統治を続けている・・・という歴史設定のようです。

1988年 名古屋でオリンピック開催
2002年 日本でサッカーW杯開催

 1988年のオリンピック開催地はソウルでしたから、決選投票でソウルに負けた名古屋に開催地が変わっています。日韓共催だったサッカーW杯も当然、日本の単独開催。細かいけれどもニクいですね。サッカーW杯では、韓国の有名なプレイヤー(名前は知らないのですが^^;)が日の丸をつけているという写真も登場します。

 そして、場面は現在(2009年)のソウルへ・・・。もっとも日本の統治が続いているという設定なのでソウルではなく京城ですから、韓国語字幕では「경성」となっています。一方、日本語字幕は「京城(ソウル)」と、わざわざ「ソウル」と明記してあります。日本では京城=ソウルが通用しないんでしょうか? この京城の街並み(おそらく引いた映像はCG、アップは日本で撮影か?)も興味深いです。豊臣秀吉の朝鮮出兵で日本軍を撃退した李舜臣の銅像が豊臣秀吉の銅像になっています。

 さて、物語は、壊滅したと思われた、日本からの分離独立を主張するテロリストの一味が、井上財団(第2代朝鮮総督の井上と関係のある財団)が所蔵する美術品の展示会を襲撃するところからはじまります。襲撃は失敗に終わりますが、ストーリーの進行とともに彼らの本当の目的が明らかになっていきます。

 ところで、物語の性格上、テロリストと彼らを追う捜査官が物語の中軸になるのですが、主役のチャン・ドンゴンをはじめ、警察関係者の多くを韓国人俳優が演じています(というか、韓国映画なので日本人俳優の方が少ないです)。しかし日本語が下手過ぎる(泣)。日本統治下の朝鮮で生まれたのだから日本語を話しているという設定で、あえて日本語で語らせているのでしょうが、「それにしても~」という感じ。韓国公開時にはハングルの字幕がついていたでしょうから、韓国では違和感がなかったと思いますが・・・日本人としては少し残念。DVDでは日本語の吹き替えがありますが、それも韓国語を話している場面だけ。韓国人俳優の日本語台詞は吹き替えなし。おそらく、韓国人俳優が日本語と韓国語を使いわける意味を強調するための手段なのでしょうが、緊張感のある場面でのたどたどしい日本語には興ざめしました。

【ここからネタバレあり。注意】

 さて、伊藤博文暗殺失敗につながる歴史は、作られた歴史でした。伊藤博文は哈爾浜駅で暗殺され、第二次大戦で日本は広島・長崎に原爆を落とされ敗戦、その後、朝鮮半島は日本から独立をした・・・これが本当の歴史だということが明らかになります。伊藤博文の暗殺はどうして失敗したのか。その謎をめぐり、本当の歴史を取り戻そうとする者と、作られた歴史を守ろうとする者のたたかいが始まります。

 そして、1909年10月26日の哈爾浜駅。安重根が待ち構えるホームへ伊藤博文を乗せた列車が到着。

 「そして、みなさん。いよいよ今日のその時がやってまいります」(NHK松平アナ風にw)。


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