皿尾城の空の下

久伊豆大雷神社。勧請八百年を超える忍領乾の守護神。現在の宮司で二十三代目。郷土史や日常生活を綴っています。

SDGSと三方よし

2021-09-25 22:36:15 | 物と人の流れ

『三方よし』とは江戸時代に活躍した近江商人が大事にした考え方で現在でも多くの企業が受け継いでいるという。学習机で有名な小泉産業(大阪)地元行田では清酒日本橋を販売する横田酒造、そして『better Life with community』を社名の由来とするスーパーマーケットのベルクなど企業の業種、規模を問わず多くの企業が存在する。
今でも長男の学習机はkoizumiで、神社の祭事の折りには清酒日本橋が奉納され、日常の買い物にはBelcへ足を運んでいる。
三方とは売り手、買い手、そして世間のことで、それぞれにとってよいことを商売の目的とする。
売り手よし=自社の黒字経営、社員教育
買い手よし=商品の品質安定、高利を求めない姿勢
世間よし= 環境保全などの社会貢献、伝統産業、文化財保護
この『三方よし』の考え方が国連の標榜するSDGS=持続可能な開発目標に共通する理念として世界的に注目されているという。

近江商人とは琵琶湖周辺の出身者で,中世から近世にかけ活躍した、日本三大商人の一つである。(残り二つは大阪商人と伊勢商人)通常近江から離れて商売し、地元に残ったものは『地商い』といって区別した。
地元産の麻布を売り歩く一方、現地で魚や昆布を仕入れ商いを展開している。見知らぬ土地で信頼を築くため、土地の人々を大事にしたのが特徴だという。

その土地ごとに橋をかけたり、寺社へ寄進したりするなどして受け入れられていったという。ただし『三方よし』というのは後に研究者がつけた造語だという。
近江商人はその商いの目的を事業拡大ではなく、事業の継続性に求めたという。言うなれば『儲けること』ではなく、『続けること』
結果時代が流れても多くの企業が残ったという。
持続可能な開発目標を掲げる国連の考え方に合致し、世界的な注目を集めている。
自分の勤務する会社にも『商売六訓』という企業理念が存在する。まさしく近江商人の三方よしに繋がる考えであり、この理念に基づいて行動することが求められている。
一、損得よりも善悪を優先しよう
二、お客様の立場にたって物事を考えよう
三、働いている従業員も、健康で幸せになろう
戦後の個人主義優先の思想が広がるなかで、所謂『世間体』という表現に後ろ向きな考えが広がっていった。自由主義の行き着く先は実は日本の近世、あるいはそれ以前からの考え方、誰が見ていなくても『お天道様が見ている』と言った正直、誠実の思想に回帰している。神道も商売もすべて繋がっているのだろう。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 駅からの帰り道 | トップ | マリーゴールド »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

物と人の流れ」カテゴリの最新記事