その昔会ノ川が利根川の本流であった頃は、坂東太郎の名の通り、流量も多くそのため流域では洪水による被害を頻繁に受けている。旧国道125号(現在は県道になった)志多見の南西に広がる田園地帯は「阿良川」の地名の通り、古利根川の流れを起源とする。
創建は弘安年間と伝えられ北条執権政治の頃であるので、その歴史は古い。菅原道真公を御祭神とし、内陣には天神座像を安置する。
境内地は氏子区内北西部の端にあたり、東側の集落を除くと一面水田が広がっている。北埼玉の米所加須市は広く、羽生市、行田市、鴻巣の四市の境近くに位置する。近くの大型商業施設(イオンモール)にほど近いがなかなかこの地域まで来たことはなかった。
現在でも氏子の多くが農家を兼務することが多く、また戦前までは「天神様分」として社領を有し、地区の名主が管理して小作に出し小作料を神社の費用に充てていたが、農地解放にて失っている。戦後の農地解放は神社にとって大きな政策転換であったことは間違いなく、今日の一次産業の集約化に伴い、多くの地方の神社が社費の集積に苦労している。まさに人口減、都市部との二極化、地方疲弊といった言葉と背中合わせの神社が多くなっている。
本殿裏には天神社らしく多くの梅の木が植えられている。梅の実を氏子が漬けることもあるのだろうか。
古くから洪水の度に村が疫病に襲われた歴史から、当地では疫病除けの神事が行われ、七月には天王神輿の渡御が行われる。十五日には下須戸八坂神社から水を受け、これを天王様の水と称して、飲めば病気にならず、風呂に入ればきれいになるという。
境内東には一足早い夏の花向日葵が丈を競うように花を咲かせている。
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