国道17号を行田駅前方面から上り、下忍を過ぎて吹上駅前を過ぎると、「袋」という地名にあたる。元荒川が北へ流れを変える西側にあり、大きく蛇行して袋状になったことに由来するという。珍しい地名のようだが川の流れが元になるところは意外と多い。行田市で言えば「太井」、「押上」、「深水」などがこれにあたる。慶安二年の『田園簿』という文書に村名が見られることから江戸以前から形成されていたことが分かる。
御祭神は櫛名田姫命(稲田姫命)八岐大蛇神話に登場する素戔嗚尊の妻となる女神で、その父母は国津神である脚摩乳、手摩乳。その父大山津見神は天孫邇邇芸命に嫁ぐこととなる木花昨夜姫の父にあたる。
風土記稿においては当社を「女体社」と記し「村の鎮守なり、祭神は稲田姫命、西福寺持」と表している。
拠って氏子から「鎮守様は女の神様である」と云い伝えられ、本地仏である女体権現像は左手に繭を持つ珍しいもので、当時養蚕守護の神として崇められていたことを物語っている。現在この女体権現像は西福寺に安置されている。
境内にあるもっとも古い石造物は拝殿前の燈篭で宝永五年(1708)のものとされる。小さな燈篭であるがこうした村社で境内に三百年年建ち続けていることを思うと、願主の思いも現代につたわるように感じる。
北武蔵の氏子区域にみられるように、この地区においても榛名講と宝登山講があるという。榛名山の御札は畑などに建てて嵐除けとし、宝登山の御札は火除け盗賊除けとして家の戸口に貼る。
寒の戻りのおかげで、満開を過ぎた境内の桜の花びらも風に耐えながらその美しい姿を留めていた。
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