+3Kの牛の如く

前に向かってひたすら歩く。
感動し、希望を胸に、明るく楽しく元気に。
大地を踏みしめて歩く。牛の如く。

霧立越を縦走(往路)

2010年08月26日 | 脊梁山系
霧立越登山口のゲートを9時25分に通過し、五ヶ瀬スキー場で一通りの準備をして白岩登山口(ゴボウ畑)に着いたのは9時50分であった。
登山口には、既に10台ほどの車が停まっていて、「もしかしたら黄色い花目当て?」と少し不安になった。
何故なら「大勢で行ったら折角の保護区域を踏み荒らしてしまう恐れがあるから」である。
 

私は、スキー場目指して林道を五ヶ瀬川源流の碑があるところまで歩いた。
冷たくて美味しい水がホースから勢い良く飛び出していた。
源流の豊富な湧き水を確認し、下山したら一番にここで汗を流そうと思った。

今日は扇山小屋までの縦走で、長距離となることを思い出し、スキー場から向坂山経由で縦走するのを諦めた。
再びゴボウ畑に引き返し、「黄色い花」探しの『助っ人』『ミラさん』に縦走に向かうことを断って、白岩峠(杉越)に向け歩き始めた。
10分程歩いた辺りから、霧が出て「霧立ち越」を実感する風景に変わった。


登山口から20分程で白岩峠に着いた。向坂山分岐にある温度計は18℃を指していた。

『霧立越関所』に登山届を出して、縦走路に通してもらった。
役人がいなかったので、リュックの水分(ビール1ℓ、水1.5ℓ、清涼飲料水2ℓ、プラス焼酎若干)を巻き上げられずに済んだ。
山小屋泊まりといいながら、15キロくらいの重量である。長距離の縦走が出来るのであろうか?
水呑の頭山頂までは2007年11月に歩いたことがあり、喘ぐほどの急坂の登りはなかったという記憶があった。しかし、その先は未知の歩きである。
山馬鹿さんからのアドバイスでは、扇山まで5~6時間掛かるということだ。
出来れば15時までに山小屋に着こうと計画していたので、霧がかかり展望も利かないことから、出来るだけ今日は歩きに徹しようと思った。
白岩山の手前にネットを張った保護地域が設けてあった。
足を踏み入れた途端に沢山の花たちが迎えてくれた。








山頂周辺では何組もの人達が、花の写真を撮ったり、早めの昼の食事をしていた。
ゴボウ畑の車の台数に匹敵するほど賑わっていたので、登山口での「黄色い花目当ての不安」が安堵に変わった。


山頂から、急坂を下って水呑の頭に向かった。縦走路から5分ほどで三等三角点がある水呑の頭山頂に着いた。

11時30分を過ぎていたので、昼食を取った。リュックを降ろして少し寛いでいると二人の登山者がやってきた。
彼らは、ここまでで、縦走はしないという。今日は縦走者はいないのだろうか?
再び、縦走に戻った。11時58分、水場分岐の指標があった。


扇山山小屋6,800mとなっていた。果たして15時までに辿り着けるだろうか。
縦走路は、今日は日差しもなく暑さを感じない。縦走路には大木が多く、秋の紅葉もまた素晴しいだろうと想像しながら、快調に進んだ。
ただ、霧に覆われて、見えるはずの稜線が見えず、立ち止まっての息抜きが出来ない。
そんな時『黄色い花』が足下で輝いて、歩きを停めてくれる。
 

約50分で「馬つなぎ場」に着いた。ペースとしたら、計画より上回って順調である。


更に20分ほど行った所に、色づき始めた木が立っていた。


ここを過ぎた辺りから、久々の長距離とリュックの重さからか、足が重くなってきた。
馬つなぎ場から1時間程の所で、漸く扇山方向から歩いてきた登山者一人と出会った。
聞けば彼は、復路を戻っているということで、「誰とも会わなかった」という。
まだ夕方までには時間があるから、後続が来るだろうと期待しながら、先を急いだ。
計画ではもう『平家ブナ』に着く時間である。14時03分、12分遅れで『平家ブナ』に着いた。

『巨木』が想像できる大きさの、朽ち果てようとする根元だけだ残っていた。
この『平家ブナ』は「どれほどの子孫を残してきたのだろう」「いろんな時代を」「人よりも長く」
「どんな思いで見つめてきたのだろうか」そんなことを思い巡らせながら少し眺めていた。

ここからは、40分ほどである。漸く走破の目途が立った。重かった足も少し軽くなったようだ。
30分程行くと大木が横たわって道を塞いで通せんぼをしていた。

私は、大木を「跨いで」ではなく、「横を少し開けてもらって」通り過ごした。

14時45分、山小屋が見えてきた。


立派な山小屋である。鍵を開けて早速入らせてもらった。
小屋の中は、板張りの通路より一段高い寝室部分が二箇所、土間には、自在鍵が設けられた囲炉裏まであった。


久しぶりに長い距離を歩いたので流石に足がパンパンになっていた。
そんなことで「扇山登山は明日朝から」と決めて、小屋の先の水場に汗を流しに行った。
小屋の中は、気温22℃で過ごし易い。
着替えをし、時間は早かったが夕食を始めることにした。
水分を減らすべく早速ビールを開けた。
ツマミは豚バラの野菜炒め。鳥もも肉の塩コショウ炒めである。
 

早く始めたこと、今朝が早かったことなども重なり、焼酎は一杯飲んだだけで段々眠くなってきた。
それでも、17時頃までは誰か来るかもしれないと期待をしていたが、結局貸切となった。
飲みながら、ウトウトしながら贅沢な時間が流れていく。
いつの間にか陽が傾き、ほんのり夕焼けが空を染めていた。


1時間ほどまどろんでいると、いつの間にか辺りは暗くなっていた。
早速窓辺に行くと澄んだ夜空に煌く星たちが散りばめられていた。
北斗七星やカシオペア座といった私が知っている星は、山陰に隠れて見れなかった。
暫くすると、月が昇ってきた。折角の星空が月明かりで見えなくなってきた。

明日も早いので、シュラフに潜り込んだものの今度は寝付けない。うたた寝のせいか?
ラジオを聞きながら、メールをやり取りしながら、暫くは起きていた。
しかし、「いいなあ~」と羨ましがられ、一人では「もったいない」と思いながら
いつの間にか深い眠りに就いていた。
鹿くらいは夜中に訪ねてきたかもしれないが、私は知らない・・・。



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1 コメント

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美味しそうなご馳走~ (山馬鹿)
2010-08-27 22:20:44
美味しそうなご馳走ですね~
これなら酒も、進みます♪♪♪

計画との計算、お花&紅葉&☆観察、余裕があり素晴らしいです。 
それになによりなのは、ぐっすり眠れることです。 
山泊で、最も大切なことかもしれません。
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