貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

アズライト vs. マラカイト

2023-10-08 12:20:30 | 単品

アズライト、藍銅鉱というのは、石集めの最初に買った石で、その後も結晶ものとかボールとかちょぼちょぼと買っている。青の色が好きなんだろうと思う。
始めの頃、アズライトはやがてマラカイトに変わってしまうという話を聞いた時には驚きでしたねえ。あまりにびっくりで、石屋さんに行った時に「アズライトってマラカイトになっちゃうんですか?」と聞いたら「いや、数千年の話ですよ」と笑われました。でも一安心。

で、今回はヤフオクで美しい色の標本が出ていたので落札。ちょとお高い。中国安徽省産。



アズライトの深い青とマラカイトの緑の取り合わせがえらく美しい。
両方とも透明度はないので、透明結晶派の方々は敬遠するかも。

しかしこれ、アズライトが徐々にマラカイトに変わっていく、その途中の姿ではないだろうか。つまり、アズライトとマラカイトとがガチでぶつかっている「戦場」。
一部、青とも緑ともつかぬ結晶がある。それは決戦の真っ最中のものか。(そういうことではないと思うけどね)



あちきのコレクションには人が見て「わあきれい」とびっくりするようなものはあまりない。そんな中で、これはなかなかきれいと言えるかもしれない。
これからはプチプラをあれこれ買うのはやめて、数ヶ月に一つくらい、お高い「きれい」なものを狙っていこうかな。
……まあ貧乏性だから無理だろうな。(うん、やめときなさい)


ブルー・タルク

2023-10-07 21:53:42 | 単品

なんかツイッターがぐちゃぐちゃしていて、どうも「ブログの更新告知なんかするんじゃねえ」みたいな感じになってるらしい。URL載せると変なことになるとか。そのテストも兼ねて軽く更新。

青い滑石。
滑石は前に書きました。あれは枯山水の石みたいな枯淡の味わい。
これは青く透明で、表面が輝く。美麗な滑石です。
ちょっと天使の羽みたいじゃないですか?



手に持つと、石けんを持った時のような、やわらかーい感じがする。手というのは対象の材質を敏感に捉えるのだなあと感心。

しかし滑石というのは、橄欖石→蛇紋石→滑石と変化してきたわけで、もう石という世界をはみ出るくらい柔らかーい石。
これもまた進化なのかしら。


隠岐の黒曜石

2023-10-04 21:06:24 | 国産鉱物

出雲鏡石とセットで購入。「めのや」さん、つまり Anahita Style さんもの。

浅学なもので、隠岐に黒曜石が出るとは知らなかった。
新石器時代から産出・流通していたものだという。ただ、流通範囲は中国地方中心で、和田峠とか神津島のように全国津々浦々に広まったわけではないらしい。
隠岐ものの特徴は、不透明であること。光を全然透さない。だから和田峠もののようにもてはやされなかったのかもしれない。
けれど強い光を当てると、内包されている何かがキラリと光る。ちょっとぞくっとする。

出雲大社にはこれを磨いた神鏡があるとか。黒曜石の鏡があるなんて知らなかった。神秘的。しかし真っ黒な石を磨いても光を発しているもの以外何も写らないぜよ。太陽を写したのかな。黒点でも調べたとか。(まさかね)

黒曜石は隠岐の数カ所で産し、海岸でも採れるとのこと。けれど地元の石屋さんのサイトには、かつてはとんでもなく大きなものが採れたけれど「もう絶産」とか書いてある。隠岐の島自体が国定公園だから採取は難しいのかもしれない。Anahita さんのサイトでも今は売っていない。ネットにぽちぽちとある勾玉なんかもえらく高い。レアストーン?

隠岐というのは不思議な土地ですね。流刑の地として有名だけれど、独特の文化がある。
特に、かなり古い、無人島で行なわれる一般人には見せない神楽神事があって、論文を読んだりドキュメンタリーのテレビ番組なんかを見たりしたけど、これ、さっぱり頭に入ってこない。全然わけがわからないのですね。もう具体的な名前さえ思い出せない。あまりにも特殊過ぎるのか。それとも何か心理的抵抗でもあるのか。(前世で流されたのかな?w)

そう言えば、日本最初の石コレクター後醍醐天皇は隠岐に流されている。彼は隠岐の黒曜石を見ただろうか。どんな感想を持っただろうか。コレクションに加えなかっただろうか。


出雲鏡石

2023-10-01 12:49:16 | 国産鉱物

ヤフオクを眺めていたら知らない石が出ていた。
「出雲鏡石・隠岐黒曜石セット」。もうすぐ終了で入札0。割とお安いのでポチっ。
で、調べてみると、ツイッターで知っている「Anahita Style」さんの商品。「“めのや”で購入」と説明があったのだけど、めのや=Anahita Style とは知らなかったのです。
直径20ミリ。





いいですねえ。こういう色々な鉱物がごちゃごちゃっと混じり合った石というのは、あちきは好きです。派手ではないけど、何とも言えない味わいがある。

この「出雲鏡石」は「めのや」さんが近年商品化したものだそうで。

《出雲鏡石とは、島根県出雲市にある「鏡山(かがみやま)」で約1500万年前の噴火によって形成された天然石です。鏡山は、古事記における「ヤマタノオロチ伝説」に登場する斐伊川と、風土記に登場するスサノオノミコトの御魂を祀る須佐神社のほとりから流れ出る神戸川の中間に位置する山で、現在でも地元の人々にとても愛されている山です。
出雲鏡石は7つもの鉱物から形成されており、非常に表情が豊かな天然石であるという魅力を秘めています。その7つの鉱物とは…
 石英(英名:Quarz)
 斜長石(英名:Plagioclase)
 緑色黒雲母(英名:Green Biotite)
 角閃石(英名:Hornblende)
 チタン磁鉄鉱(英名:Titanomagnetite)
 カリ長石(英名:K-feldspar)
 海緑石(英名:Glauconite)
出雲鏡石の商品化は、アナヒータストーンズの担当者自らの手により、鏡山での採掘、企画開発を行い、遂に販売にいたることになりました。》出典

新規開拓したというのは偉いですねえ。

安山岩ないし閃緑岩に近いのでしょうかね。どちらも安山岩マグマ由来。玄武岩よりシリカが多い。
海緑石は雲母の一種で組成は (K,Na,Ca)(Fe3+,Al,Mg)2(Si,Al)4O10(OH)2。えれえ複雑だな。主に堆積岩に産するのだけど、まじゃったということかな。しかしグローコナイトとグローコフェンって紛らわしいね。

     *     *     *

出雲には出雲石という緑系の玉髄がある。こんなん。
磨き石。

原石。

ちょっと地味だけどいい味わい。良品だともっと華麗なのかも。

こういう「地場」の石というのは、なかなか有名にはならないけど、いいですね。
○○石というのがヤフオクにたくさん出ていて、何だろうと思ったら伝統的鑑賞石の世界では知られている地域特産石らしい。玉髄とか瑪瑙とか珪化木とか。
そういう世界と近年のジェムストーン・コレクション(そういうとなんかかっこいいね)の世界とはどうも隔たりがある。
まあ伝統的鑑賞石は「景色」を愛でるものであって、見立てとか幽玄とか、独特の美学があって素人にはなかなか難しい。「わあきれい」の世界ではない。ジェムストーンは「わあきれい」で構わないわけで、簡単。
しかし色とか質感とかなかなか素晴らしい石もある。磨き石にしたら案外売れそうな気がするものもある。幌満の橄欖岩なんか、磨いたらいいルースになりそうな気がするんだけどねえ。
地方の特産石がルースとかタンブルになってもっとジェムストーンの市場に出るようになるといいなあと思っておるのであります。