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大陸地殻をめぐって ⑤安山岩生成過程はまだ謎

2023-06-03 11:21:50 | 地球のお話

以上追ってきたのは、「プレートテクトニクス」に全面的に依拠した仮説です。
プレートテクトニクスは今はほぼ定説のようになっていますけれど、果たして初期地球でもそれがあったのかは、わかっていません。プレートの動きだけですべてを説明できるのか、そもそもプレートを動かしているのは何かわかっていないではないか、といった疑義もあります。
しかし、有力な仮説であることは確か。近々行なわれるというIBM海底の掘削で、安山岩中部地殻の存在が確認されれば、「海洋プレート同士の沈み込みで大陸地殻が作られる」という説はより有力なものとなるでしょう。

ところで、以上を通して巽先生が提示している「私たちの新たな安山岩生成モデル」というのがあります。

簡略版なのでしょうけど、要するに、
「玄武岩マグマが玄武岩地殻を融かし、安山岩(と「反大陸」)ができる」
「反大陸」というのは巽先生の命名で、玄武岩から軽い安山岩ができて、残りの重い成分だけが集まったもの。とても重いのでマントル最下部まで一気に沈み込んでいくという。

ただ、これを見ていてふと思ったのは、
「あれ? これだと沈み込み云々が要らなくなっちゃわない?」と。
「初生地殻で、沈み込みがなくても、玄武岩マグマさえあれば同じことが起こったりしない?」
恐れ多くも巽先生にお尋ねしたところ、「それはあるでしょうけれど、大陸ができるにはプレート移動が必要になり、プレート移動が起こるのなら沈み込みによる生成があるでしょう」とのお答え。

「プレテク版大陸発生説」に疑義を抱いているわけではありませんけど(そんな不遜な)、もしかしたらキンバーライト噴火のような大規模な安山岩マグマの上昇があって、一挙に大陸ができたなんてこともありはしないかな、などと妄想したりもします。橄欖岩に水が混じると安山岩マグマができることもないではないらしいし。
あるいは、初期の地球では今の最高知性が想像もしていないようなとてつもないことが起こっていたのかもしれない、などとも。妄想するのは自由。

いずれにしても、大陸地殻生成論は、まだ未解決の問題。
というか、実は安山岩も花崗岩も、どうやってできてきたのか、本当のところはよくわかっていない。
人類にとって一番大切な「大地」の生成は謎の中であるようです。
「ふふ、内緒だよ」と誰かが言っているような気も。


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